奥能登国際芸術祭2023は終わってしまったけど、その鑑賞旅を綴る第三日目その2では正院エリアへ。
2020+のときにも足を運んだ旧正院駅に行ってきた。
久しぶりの旧正院駅
前回の飯田エリアから、第二日目に先に足を運んでいた直エリアを飛ばして、次に向かったのはそのお隣である正院エリアだ。
正院町は5月の大地震で震度6強を観測したところなので、作品、特に以前からの常設展示作品がどうなってしまったのか不安であったが、特に除外されることもなく芸術祭2023が開催された。
今回向かった旧正院駅も2020+のときから展示されている作品なので、どれ具合の被害が出ていたのか確認したい気持ちもあった。
ということで旧正院駅に到着
芸術祭としては2020+以来だから二年ぶりになるが、個人的な「廃駅の旅」で一年くらい前にも訪れていたりもする。
その頃と比べても、見た感じ、駅舎にダメージがあるようには見えなかった。
無事だったのだ。
24番 大岩オスカール「植木鉢」
24番だ
奥能登国際芸術祭2020+の時よりこの旧正院駅に常設展示されているのは大岩オスカールさんの「植木鉢」という作品だ。
以前にも観た作品なので、今回2023では深く掘り下げて紹介するつもりはない。
プラットフォームへ
「植木鉢」は以前線路があったところに巨大な植木鉢を模したものが並んでいる。
そこには広葉樹が植えられていて、紅葉のシーズンになると赤や黄色に色づいてくる。
かつて桜で知られていた駅が、紅葉も楽しめる庭園のようなものに生まれ変わった… そんな作品だ。
あいにく、今年は夏場が記録的な暑さで、10月になっても夏日や真夏日を記録していて、この日、10月7日はまだ紅葉が見れるような状態ではなかったが、それでも薄っすらと赤く染まり始めていた葉もいくつかあった。
こちらなんかは黄色くなって枯れ始めているものも
巨大な鉢に植えられている木は種類がどれも違うようで、先に色づくものもある。
使われなくなった焼酎貯蔵用タンクを利用してつくった鉢も、二年の時を経てだいぶ汚れ、サビなど劣化も見られるが、地震によって破損したりだとか、そういった大きなダメージは受けていなかった。
むしろ色づき枯れていく葉のように、味わいが増している。
コチラの丸いものも無事
大地震で転がっていったりしなかったのか心配していたけど、そんなことはなかったようだ。
この巨大な鉢、しっかりと大地に固定されているのかもしれない。
待合所の方も無事のようだ
屋根が落ちていたりだとか、そういったこともない。
鉄の柱もしっかりとしているので、なんなら傾きすらないのではないだろうか。
あ、駅ノートも置かれたままだ
芸術祭2020+のときにはなかったが、2020+が終わってからこのベンチの上にプラスチックケースに入れられ、駅ノートが置かれるようになっていた。
自分も一年前に廃駅の旅で訪れたときに初めて見つけた。
というか一年前に見つけたときのノートだ
開始が「2022年4月30日~」と書かれてあるように、昨年自分が目にした駅ノートそのものだ。
なんならこちらに書き込んでもいる。
うむ、ちゃんと残っている
ノートを開いてみたら、見事に自分の汚い字が残っていた。
昨年は11月3日に来たのか… ここの「植木鉢」もちゃんと紅葉していたなぁと思い出す。
(昨年に廃駅の旅で訪れた時の記事は→こちら)
この駅のホームでお弁当を食べたくなった過去があるから、本当は今回2023でこの場所にやってくる際は食べ物を持参しようと考えていたのだけど、忘れてしまった。
やってしまったと思ったが、今回の奥能登国際芸術祭2023では、この旧正院駅にて食べ物の販売も行われていた。
念願だった駅のホームでお弁当
駅舎に入る前にこんな物を見つけていた
駅舎の壁にこんな黒板が立て掛けられていた。
「お寿司屋さんのキンパ 1パック 750 yen」だ。
キンパってなんぞ?って思って駅舎内に入ってみると…
海苔巻きが売られていた
「キンパってどういう意味ですか?」と駅舎にいたスタッフの方に聞いてみると、韓国の海苔巻きをこう呼ぶんだそうだ。
知らなかった。
張り紙にも書いてあった
製造元は同じく正院町の「かつら寿司」さんだそうだ。
お昼ご飯には少し早かったが、小腹がすいていたので、もちろん一つ購入した。
購入した際、プラットフォームの方で食べていいですかと聞いてみると、どうぞどうぞと言われたので…
駅のホームの待合所のベンチの上で食べることに
一年前に願ったことが、一年前に望んだことが、駅ノートにも書き込んだことが、こうして2023で実現できた…
嬉しい。
いただきます
キンパ、初めて食べたけど、日本の海苔巻きとまた味が違うね。
入っている具材も似ているようで違うし、これコチュジャンなのかな?
韓国料理らしい味が口の中に広がってくれた。
美味しいは、これ。
景色を眺めながら
一気に食べてしまう自分
駅の「植木鉢」の景色を見ながらだと食も進む、進む。
紅葉には少し早かったものの、念願叶って感無量だ。
感想
奥能登国際芸術祭としては二年ぶり、個人的な旅としては1年ぶりにやってきた旧正院駅にある大岩オスカールさんの「植木鉢」。
ただ鑑賞するだけではなく、一年前にやってきたときに駅ノートにも書き込んだ、「この駅のホームでお弁当」の夢も叶える事が出きて大満足だ。
何ならその夢、二年前の2020+の時から願っていたことなので、今回の芸術祭2023で実行できて、達成感もひとしおだった。
以前の芸術祭から常設展示されている作品は、一度見たからスルー、もしくはスタンプだけ押してしまえば良いとするのではなく、前回できなかったことなど忘れ物を取りに行くような感覚で、その作品を別の視点から楽しむのが醍醐味だと思う。
今回も駅ノートに書き込みました
あいかわらず字は汚いが…
もしかしたら一年前にこの駅ノートに書き込んだから今回食べ物が販売されたのだろうか?
いずれにせよ、達成できて感謝の気持でいっぱいだった。
旧正院駅、ありがとう!