初心の趣

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奥能登国際芸術祭2023を地震に負けず回る第四日目その3(牛嶋均「松雲海風艀雲」)<完>

9月23日(土)から始まり11月12日(日)まで開催されていた奥能登国際芸術祭2023の鑑賞旅も残り一作品となった。

11月3日(祝日)に行った第四日目で最後に観にいった作品No.5について記したい。

初日(第一日目)で見れなかった作品だ。

 

 

初日に見れなかったものを観に旧西部小学校へ

能登国際芸術祭2023が11月12日に閉幕した後も続けてきた鑑賞旅を記すこのブログ記事も今回で最後の作品となる。

ここまで読んでいてくれた奇特な方がいらっしゃるなら、全てのエリアを終えたじゃないかとご指摘ありそうなところだけど、初日に行った最初の大谷エリアで、当時では見れなかった作品があったので、観に行ってきた。

それがスズ・シアター・ミュージアム(旧西部小学校)のグラウンドにあるNo.5の作品だ。

作者の牛嶋均さんが福岡県在住の方なんだけど、7月に起きた福岡県の大雨災害のために牛嶋さんの作品を手掛ける近隣業者さんが被災したため制作が難航していたそうなのだ。

公式HPなどを確認していると、完成予定が10月19日だったので、それ以降に見に行くしかなかった。

自分の場合、鑑賞旅第三日目でも10月7日に来ていたので、こうして11月に入ってやって来た第四日目、しかもその最後に観ることになったのだった。

芸術祭初日の段階でスタンプだけは設置されていたので、作品を観なくとも鑑賞パスポートをコンプリートすることは出来たのだけど、自分はスタンラリーをしに来ているのではなく、作品鑑賞を楽しむために来ているので、観ないという選択肢はなかった。

ということで旧西部小学校のグラウンドへ再びやって来た

旧西部小学校は作品No.2、No.3、No.4、No.5の四作品が展示されている場所で芸術祭初日にやって来た第一日目でもやって来ている。

さらにいうと、10月7日にやってきた第三日目の公開時間が過ぎた夕方に作品No.3の潮騒レストランでカフェをしにやってきてもいたので、実はそれ以来ぶりとなる。

あのとき、だいぶ日も暮れかかっていたというのに、おそらく牛嶋さんと思われる方がこのあたりで一人黙々と作業を続けている姿を遠くから目にしていた。

そうしてこの日、11月3日にやって来てみると、グラウンド奥の方に緑と赤の大きな遊具が目にできたので、ちゃんと完成したんだと一安心した。

と、その前に、初日に来たとき牛嶋さんの作品であるNo.5の作品看板が置かれていた場所に別の作品看板が置かれていることに気づく。

写真でいうと、手前のそれだ。

確認してみると…

「02-3」とある

作者名は「株式会社キノ花園計画」

作品名は「メドウガーデン」

とある。

調べてみると「キノ花園計画」は北海道帯広にある景観設計を手掛けるの会社のようだ。

「メドウガーデン」とは「草原の庭」といった意味で、ガーデニングの設計の一つなんだそうだ。

敷地はそんなに大きくないが、草原が

できつつある

懐かしい風景だ。

これ、いつの間に出来たのか自分にもわからない。

作品No.の「02-3」だが、「02」はスズ・シアター・ミュージアムのことで、本館の他に今回出番のなかった民具が保管されている「02-2」の分館があり、その「02-2」には鑑賞スタンプもちゃんと用意されていた。

この「02-3」はスズ・シアター・ミュージアムと関連する事業なんだろうけど、鑑賞スタンプはなく、もちろん鑑賞パスポートにもスタンプを押すような場所はなかった。

というか、奥能登国際芸術祭のHPでアーティスト一覧やお知らせを見ても、「株式会社キノ花園計画」による「メドウガーデン」の情報は確認できなかった。

おそらく牛嶋均さんの作品が公開された10月19日あたりに、同じように公開になった作品だと思われる。

スタンプだけを押さず、牛嶋均さんの作品をあらためて観に来た鑑賞者へのちょっとしたご褒美のような作品なんじゃないかと、自分などは思った。

では、そんな再びやって来た人にしか見れない牛嶋均さんの作品を見ていこう。

これがラストの作品だ。

 

5番 牛嶋均「松雲海風艀雲」

5番だ

牛嶋均さんの「松雲海風艀雲」だ。

「松雲海風艀雲」はこう書いて「マツクモウミカゼハシケグモ」と読む。

初日にその作品名だけ見てどんな作品なのかあまり想像できなかったが、出来上がったものは大きな遊具だった。

遊具には登ることもできるようで、その説明書きも図説付きであった。

「おりる人優先」「あたまに注意」「ネットにはのぼらない」とのことだ。

「対象年齢は6才以上」とのことなので、大人だって登ってOKだ。

これが「松雲海風艀雲」(マツクモウミカゼハシケグモ)だ

能登の強い海風にも耐える松の枝葉のようでもあれば、青い空を泳ぐ雲のようでもあれば、舟のようでもある…

そんな大きな遊具だ。

人と比べてみるとその大きさの具合もわかるだろう。

お子さんがおじいちゃんと

緑の舟っぽい部分の高さは小さなお子さんの背丈より少し高いくらいだ。

大人が乗ると、腰から上が出る。

定員は、大人で4~5人位になるのだろうか?

小さなお子さんはスイスイと登っていたけど、大人はなかなか難儀していた。

階段が狭いのだと思われる。

もちろん自分もの登ってみる

自分が登り始めるまで保護者以外の大人は登らず、お子さんばかり登っていたので、大人が遊具で… なんて思われるかもしれないけど、ここまで来たら最後までこの作品を味わいたいので登った。

実際に登ってみてわかったけど、案の定、階段が狭い、そして階段の天井が低い。

大人は、いや小学生くらいの子供でも身をかがめるようにして階段を上がっていかなくてはいけないのだ。

そりゃ「あたまに注意」なわけだ。

幅もないから人がすれ違うことももちろんできない。

自分などはカメラの入ったカバンを肩に下げながら登ったものだから、引っ掛かりそうになって苦労した。

なんとか登った末の景色が…

こちら

珠洲の空と海が青い… そして空が高い…

苦労して登っただけに、また奥能登国際芸術祭2023の鑑賞旅最後の景色なだけに、染み入るものがあった。

珠洲、やっぱりいいところだわ…

帰りはまた、ここを降りていくんですけどね

降りるときのほうが頭や肩をぶつけそうになったりして大変だったことは、内緒だ。

 

コンプリートしての感想

能登国際芸術祭2023の鑑賞旅も全48作品を観終えて完結だ。

前回の2020+のときと同じで、やはり合わせて4日間かかっている。

早い人は3日間で、あまり見ずにスタンプだけ押しているような人は2日間で回れてしまうと思うが、一気に見ないでじっくり観ていく自分のようなやつだと、これくらいは掛かってしまう。

自分はむしろ、何度でも珠洲にやってくる口実になっていたので、4日間掛かってもまったく苦にはなっていない。

第四日目のこの日は、正午を少し過ぎたところですべてを見終わったので、後の時間はお土産を買ったり純粋に珠洲観光を楽しむこともできた。

鑑賞パスポートコンプリートの証

全てのスタンプを押してから市内各所に設置されているインフォメーションセンター等に持って行くとコンプリートスタンプを押して貰える。

No.5の作品があった旧西部小学校敷地内の潮騒レストランの売店でも押して貰えるのだけど、その日は多くのお客さんでやって来ていて混雑していたので、飯田エリアのラポルトすずまで行って押してもった。

飯田でお土産を買う予定だったので、ここまで来たのだ。

コンプリートすると景品がもらえる

今回もクリアファイルをもらった。

同時に今芸術祭のアンケートにも答えると、同じくクリアファイルをもらえたので、計二枚手にすることに。

景品はおまけみたいなもので、それよりも自分としては今回も48作品全てを鑑賞できたことが嬉しい。

いい思い出になった。

そして刺激をもらえた。

能登の現状も知れたし、その打開策のためにこういった芸術祭が開かれ、多くの人の思いが集まっているんだということを改めて理解できた。

今回に至っては5月に大地震があったにも関わらず開催されているので、その被害を近くで目にし、それでも元気に復興していこうとするこの土地の人達の強さも見れたので、心に響くものがあったね。

こうしてコンプリートするくらい何度も珠洲にやって来て、僅かながらでも助力になれたのであれば幸いだ。

 

一作品ずつ記事を書くのは大変だったけど、全て書き切れて自分としても満足です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。