初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

奥能登国際芸術祭2023を地震に負けず回る第三日目その5(アレクサンドル・コンスタンチーノフ「珠洲海道五十三次」)

能登国際芸術祭2023の鑑賞旅第三日目、正院エリア最後に立ち寄ったのはアレクサンドル・コンスタンチーノフさんの「珠洲海道五十三次」。

2017のときからあるこれらを一気にまとめて記したい。

 

 

正院のバス停がアート

能登国際芸術祭2023、正院エリアには先に紹介した3つの作品の他に、もう一つ(場所では二箇所に)作品がある。

2017の頃からずっとある作品でバス停のものだ。

あれだ、アレクサンドル・コンスタンチーノフさんの「珠洲海道五十三次」だ。

この作品は外裏側にも2箇所あり、合計四箇所で展開している広域展開作品と呼ばれているんだけど、そのうちの二つが正院エリアにあるのだ。

過去作であるので深くは掘り下げず、今年2023での現在の姿を簡単にまとめたい。

では正院のバス停から

正院エリア内のメインの道路を走っていると、このように「正院」バス停の前を通ることになるんだけど、その待合所が格子状に囲まれている。

これ、現役のバス停だ。

バスを利用する町の人たちはこの見るからにアートな建物の中でバスを待つことになる。

道路を走っていると、これ、目立つんだよね。

正院町は5月の大地震震度6強の最大震度を観測したところだけど、このバス停に被害はないようだ。

アルミの角材が補強材になっていたのかもしれない。

中にはこんな洒落たものが

ここが現役の待合所として使われていることがうかがえる。

地震があっても、まだまだ元気なのだ。

 

48番 アレクサンドル・コンスタンチーノフ「珠洲海道五十三次」

同じく正院エリアにはもう一つ同作品が展開されているバス停がある。

珠洲川尻のバス停だ。

ここが珠洲川尻

蛸島漁港にも近いので自分はここを蛸島エリアだとずっと思っていたら、ギリギリ正院エリアだった。

自分にとって2023で見た「珠洲海道五十三次」の中では4つのうち最後の所だ。

ここでしっかりと作品看板も撮ったのでひとまず載せたい。

48番だ

あらためて言う、アレクサンドル・コンスタンチーノフさんの「珠洲海道五十三次」だ。

2017の時からあり、2020+でも鑑賞しているので本当なら一箇所でスタンプだけ押して残り3つは飛ばしても良かったのかもしれないのだけど、こうして4つとも回ってきている。

地震の影響も知りたかったので、見ておかなくてはならない気持ちになっていた。

この珠洲川尻といえば、すぐ近くに稲荷神社があるのだが、2017のときにそこも参拝しているから、久しぶりにまたやって来た報告をしようと、そちらにも立ち寄ることにした。

かわいい狛犬もいたのだ。

すると…

鳥居がなくなっていた

石の鳥居があったはずなのに、きれいになくなって、代わりに細い竹を拵えて結界のようなものを鳥居代わりにしていた。

いや、なくなったのではない、崩れたのだ。

5月の大地震で。

当時のニュースでどこかの鳥居が崩れたと聞いていたが、ここだったとは。

参道を眺めてみると

奥に拝殿も見える。

社そのものは崩れていないようだけど…

近づいてみると、違和感が

狛犬もいなくなっていた

きっと倒れたのだ。

阿吽、両方ともいない。

マジか…

そんな言葉が口から吐いて出ていた。

拝殿で参拝だけでもしようと思ったが…

こんな状態だった。

地震のエネルギーの大きさ、被害の甚大さが、奥能登国際芸術祭2023を回っていた中で一番強く、はっきりと感じ取れた。

あらためて待合所に戻って見てみると

よく見ると後ろの家屋の屋根が崩れ、建物全体も傾いているようにみえる。

アルミで出来た格子は支えが効いて無事のようだけど、それがないところはこれだけダメージを受けていたのかと思い知る。

震度6強の破壊力は半端なかったのだ。

待合所の中には作品の説明書きもある

そんな被害の裏で、我々はアートを楽しんでいたのだ。

 

内浦側の「珠洲海道五十三次」の写真も

正院エリアには第三日目に巡っているが、外浦を回っていた第一日目には同作品の残りの二つも目にしている。

その写真も簡単にまとめたい。

こちらは笹波口のバス停

大谷エリアにあるバス停で、外浦側からスタートした2023で最初に目にした「珠洲海道五十三次」だ。

ボロボロっぷりは相変わらずだけど

ここ2017の時から待合室はボロボロでいつか崩れ落ちるんじゃないだろうかと思っていたけど、大地震が5月にあっても、こうして残っている。

天井は抜けているところもあったけど

外側はガッチリと支えてあるのだ

こんなところに注目したのも、地震があったからだろう。

そしてこちらが日置エリアにある能登洲崎のバス停

なんだろうか、もう要塞のようじゃないか。

2017にも2020+でも鑑賞しているここだけど、今年2023ではそんな感想が生まれた。

5月の大地震を経ても、このように無事残っている。

中だってもちろん利用できる

崩れていない、壊れていないのだ。

中から外の海を眺める

なんだろうか、この安心感…

守られている感じがある。

 

感想

鑑賞パスポートには4つのスタンプを全部押してきた

能登国際芸術祭2023で目にした4つの「珠洲海道五十三次」、その全てがちゃんと残っていた。

待合所が以前からボロボロだったところもあったのに、そこも5月の大地震を乗り越えて、外から見た感じ何の被害も受けていないんじゃないかと思えるくらいの状態であったので、この「珠洲海道五十三次」という作品は家屋の補強という観点からもなかなか優れているんじゃないかと思えてきた。

群発地震が続く珠洲市にあって一石を投じているアート作品なのかもしれない。

地震を経た2023にそれを発見できたことは、どこかエモいものがあった。