初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

廃駅の旅31 「正院駅」

のと鉄道能登線も残りあと二駅…

廃駅の旅、31回めだ。

今回は珠洲市にある旧正院駅に行ってきた。

 

 

能登国際芸術祭以来

のと鉄道の旧線を中心に使われなくなった駅を巡る個人的な旅「廃駅の旅」も31回めだ。

4回目から旧能登線を巡ってきたわけだけど、その能登線の駅も残り2駅となった。

穴水方面から回り、能登町を経て、珠洲市に入って、前回では市の中心であった旧「珠洲駅」に行ってきた。

その次が正院駅となるのだが、そこは一年前の奥能登国際芸術祭2020+で作品の展示場所になっていたので、実はすでに一度足を運んだことがある。

昨年の芸術祭でやってきたときの記事はこちら

そのときに廃駅の旅に数えてしまっても良かったのかもしれないけど、芸術祭は芸術祭として廃駅の旅と分けてしまいたいとの考えが自分にはあったものだから、こうして一年ぶりに芸術祭のとき以外で向かうのであった。

珠洲駅や飯田駅同様に芸術祭以外のときの正院駅がどういったものか見てみたいとの思いがまずある。

さらには芸術祭のときに芽生えた「紅葉の季節にまたやってきたい」との願望を叶えたいとの思いもあった。

まずは地図

こんなところにある。

その名の通り正院町というところにあり、周りには民家が並んでいるので住宅地にある駅という印象が自分の中にはある。

到着

これが正院駅だ。

住宅地の中にあるとは言え、駅舎の前には駐車場スペースもあるので車で来ることも可能だ。

自分がやってきた時、ドライバーはいなかったけど先客の車が停まっていた。

駅舎の外観は、芸術祭で来たときとほぼ変わりがない。

強いて言うなら入り口の扉が閉まっていることだろうか。

うむ、飯田駅のこともあるので嫌な予感がする。

近寄ってみると…

げっ! 開かない

2つ前の飯田駅のように鍵が閉まっていて駅舎の中には入れないようになっていた。

ホームの方にて常設展示されているであろう芸術祭の作品を見られると思っていたのに…

芸術祭の展示場所は芸術祭のときに来いということだろうか?

ほんとに入れないのか?

ちょっと下がって駅舎を広く見てみると、左端の通路の柵が開いていることに気づく。

通れるんじゃなかろうか?

いや、この開き方は通ってOKということなのだろう。

そう信じることにしよう。

ということで芸術祭の作品が展示されているホームの方に足を踏み入れてみることにしたのだった。

 

ホームの方へ

能登国際芸術祭の作品案内板

駅舎左端の通路の柵を通るとすぐにこの案内板を目にできる。

芸術祭のときと色が違うけど、なつかしい。

この正院駅が作品の展示場になっていたのは昨年の奥能登国際芸術祭2020+からで、この駅の存在やどこにあるかなどは、実は自分、去年初めて知った。

そのときの予習があるから、こうして廃駅の旅でやってきても迷うことなくやってこれている。

住宅地の中にあるので、芸術祭がなければ今回しばらく迷っていたと思う。

ホームに到着

この日は11月初旬だったので、約一年ぶりだ。

大岩オスカールさんの「植木鉢」という作品がいまもちゃんと残っている。

かつて線路があったところにいくつも置かれている円柱状の大きな鉢がそれだ。

葉が赤い

かつて桜がきれいだったこの駅で紅葉も楽しめるようにと葉が赤くなる木を植えてあるそうで、芸術祭のときには季節的に見られなかった。

だからこそ紅葉のシーズンにまた来たいと思っていたので、こうして赤く色づいている「植木鉢」を見れて自分の気持ちも高揚してしまう。

近寄ってみる

きれいな朱だ。

紅葉って、色がすぐ移ろいでベストのタイミングで見られることってそれこそ毎日通わないとまず難しいんだけど、これだけ赤いものが見られれば自分としても満足だ。

他の鉢も見てみよう

鉢それぞれで植えられている木の種類が違うのか、黄色く色づいているものもある。

その奥ではだいぶ枯れているものもあった。

やはりすべてキレイに見れるタイミングというのはむずかしい。

ホームの落ち葉も良い

プラットホームや線路のあったところが落葉に覆われている。

この秋の季節のよく見られる光景だけど、この敷き詰められたような落ち葉もアートのように見えてくるから不思議だ。

これも「植木鉢」という作品の力によるものだろうか?

 

駅ノート発見

ホームの上を歩いて屋根のあるベンチの方へと歩いてみる。

できればそのベンチに座り紅葉を見ながら弁当でも食べれたらと考えていたが、あいにく近くでお弁当を手に入れる事ができなかった。

ここの一つ前の旧珠洲駅の「すずなり」(お土産屋さん)でお菓子ではなく弁当を買えばよかったと後悔した。

購入したお菓子は結局封を開けれなかったし…

ともあれひとまずベンチに座って、ホームから紅葉を眺めるかと考えたのである。

こちらがベンチ

広いのでお弁当も食べやすそうなのだ。

ベンチに座って眺める

もの寂しさも感じられるが、心落ち着く景色だ。

これを見ながら、やはり弁当を食べたかった。

弁当じゃなくてもお菓子でも良かった…

ホームからの景色もう一枚

「植木鉢」という作品は、こうしてホームから眺めるのが自分としては好みだ。

それだけに、何度もいうがベンチに座ってこれらを眺めながら弁当を食べたかった。

弁当は食べれなかったが、そのベンチになにか忘れもののようなものが置かれていた。

なんだこのプラスチックケースは?

遠くから見ると放置されたか忘れたもののように思えたが、近づいてみると何やらノートが入っている。

しかも目を凝らすと「駅ノート」の文字も見えるじゃないか。

駅訪問者が訪問の記念に好きな言葉や絵を記しておけるものだ。

駅ノート能登町の旧七見駅にもあったね。

廃駅の旅で七見駅に行ったときの記事はこちら

駅ノート・正院駅

「2022年4月30日~」とある。

今年の春から置かれたものじゃないか。

たしかに去年の芸術祭のときにはなかった。

こういうの嬉しいね。

廃駅の旅なんて個人的な訪問をしている者としては軌跡を記せるこういうノートは、この廃駅やこの町と会話をしているみたいでほっこりする。

もちろん自分もなにか一言記すさ。

ということで開いてみた

………なにこれ、この絵の巧さ。

最初に開いたページでいきなりこんなすごい絵が目に入ってきた。

プラスチックケースの中にはボールペンの他に色鉛筆も置かれていたのでこういう事もできるようだ。

自分には絵心というものが全く無いので色鉛筆があってもこんな絵は描けないですけどね…

いいなぁ、こういう画が描ける人。羨ましい…

文章で伝える自分は文字で

自分の字が汚いの、バレるな…

左利きなので変な文字になるのです。お許しを。

芸術祭のときに記事で書いた「紅葉時の再訪問」をこうして果たし、それを駅ノートに報告できて満足だ。

弁当は食べれなかったけど、それはまた今度来たときの楽しみにしよう。

つまりはまた来るということだ。

駅ノートがあると、そういう再訪問の意思も高められる。

駅ノート、いいね。

芸術祭のときを「廃駅の旅」に数えず、またこうして日をおいてやってこれて良かった。

 

感想

正院駅、一年ぶりに改めて廃駅の旅としてやってきて正解だった。

芸術祭の作品はそのまま、通路の柵も開いていてホームにも中に入っていけるので芸術祭以外にやってきても作品を拝むことができる。

入っていいのか最初は少し迷ったけど、季節によって植えられた木の表情が違うし、入らないとそれはわからない。

さらには駅ノート

この存在がまた嬉しくて、旅をした思い出を残すことができた。

っていうか、駅のホームのベンチにこのノートがプラスチックケースに入って置かれているってことは、つまりはホームまで入ってきていいってことだよね。

入ること、肯定されたと自分は信じるよ。

線路があった横にある木、これ桜かな?

桜の季節にもまたやって来たくなった。

春にはこの「植木鉢」がどのように見えるのか知りたくなったよ。

ついでにいうと紫陽花もまわりに咲いていた

11月だったので流石に枯れていたけど、これは梅雨のシーズンも見に来たくなるじゃないか。

四季を感じれる場所だ。

このツボは何なのか謎だったけど

駅舎左端の柵の前にあったツボだ。

意外と夏にやって来たらカエルが隠れ家にしていたりして…

想像すると楽しい。

また来たい。