初心の趣

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奥能登国際芸術祭2023を地震に負けず回る第二日目その14(河口龍夫「小さい忘れもの美術館」)

能登国際芸術祭2023の鑑賞旅二日目、飯田エリアでは久しぶりに旧飯田駅にある「小さい忘れもの美術館」も観てきた。

芸術祭の最中だと黒板に書き込めるので、何度来ても楽しい。

 

 

ひさしぶに旧飯田駅

能登国際芸術祭2023でも旧飯田駅にある河口龍夫さんの「小さい忘れもの美術館」が鑑賞できる。

この作品は第一回目の2017の時からの展示されていて、芸術祭がある度に鑑賞することができ、また芸術祭以外のイベントでも開放することもあったため、自分などはこれで4回目くらいになる。

とういうことで旧飯田駅に到着

ここには個人的な廃駅の旅でも訪れているので、自分としては約一年ぶりだ。

廃駅の旅で訪れた時の記事はこちら

その時は扉が閉まっていて中には入れなかったが、芸術祭なのでオープンしている。

 

32番 河口龍夫「小さい忘れもの美術館」

32番だ

2023でももちろん鑑賞スタンプの対象作品だ。

今回は32番だった。

この作品は過去二回の芸術祭でも観て、当ブログでも記事にしているので、今回深く掘り上げて記すつもりはない。

ライトに雰囲気だけを載せたい

知っている人は知っていると思うが、「小さい忘れもの美術館」は黄色い

駅舎の中がとにかく黄色いのだ。

このように

特にこの一室は壁も床も天井も、何もかもが黄色い。

インパクトが有りすぎて頭がおかしくなりそうな空間だ。

色温度というものだろうか? 自分などはこの部屋にいると何もしていないのに暑く感じてしまう。

あれ、こんなのあったっけ?

懐中電灯、蝶ネクタイ、プレゼント用の包装紙に包まれた箱…

4回も来ているのに初めて目にしたような印象がある。

以前もあったような気がするが、なかったような気もする…

この記憶の曖昧さが「忘れられることの意味」を問うこの作品の作品たる所以と言うか、魔力と言うか、ここにやってくると何か(頭かな?)がおかしくなるんじゃないかと、そんなふうに思えてくる。

こんな空間にいたら、頭もおかしくなるわね

何度来てもすごい空間だと思う。

この空間にいる自分をさらに混乱させるために…

鏡も撮影

こんな鏡もあったっけ?とここでも記憶が曖昧になるが、それくらいこの空間に魂ごと浸かってしまっているのかもしれない。

なんてミステリアスなんだろうか…

4回めにしてそんな感想も抱いてしまったよ。

 

今回も書きました、黒板に

この作品、しかし黄色の空間ただそれだけではない。

確かにインパクトあるのはこのイエローカラーなんだけど、個人的にこの作品で1番気に入っているのはプラットフォームにある貨物車だ。

正確には貨物車の中だ。

プラットフォームに行ってみよう

駅舎よりもプラットフォームのほうが高いところにあるのが、この駅のちょっとすごいところ。

線路のほうが高いところにあるのだ。

こちらがプラットフォームにある貨物車だ

ホームの屋根、吹っ飛んでいるな…

骨組みだけになっている。

地震によって崩れ落ちたのかもしれない。

貨物車は、見た目そのものは普通の古びた貨物車両で何のアート性もないのだけど、中に入ってみると、思い出づくり、思い出残しの空間になる。

どういうことかと言うと…

車両内の壁面が黒板になっているのだ

チョークも置かれていて、鑑賞者が思い思いに好きなことを書いて行っていいのだ。

作者の意図としては「忘れたくない言葉」を書き残せるようにしているそうなんだけど、実際に書かれてあるものを読んでみると多くは感謝の言葉であったり、願望だったりする。

いや、それらこそ忘れたくない言葉というものなのかもしれない。

願いや感謝を常に胸にとどめておけば、充足した人生を確かに送れそうなものである。

よし、自分もそれらに倣って書き記そうじゃないか!

これが2023に自分が書き残したものだ!

「スズ、ありがとう! 廃駅がどんどん活かされますように!」だ。

自分、ただでさえ左利きで字が汚いのに、書いた場所が黒板の上の方で背伸びしないと届かないところで、腕を伸ばしプルプルさせながらチョークを動かしていたものだから、我ながらさらに字がド下手くそになってしまったと思う。

それでもまあ、こんなものは気持ちだ!

精神の問題なので、字が下手くそでも、まあいいさ。

気持ちが乗っかっていれば、それでいい。

このみんなで参加できるアートって、やっぱりいいね。

書き終えて「帰ってきたな~」との感慨があったよ。