初心の趣

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奥能登国際芸術祭2023を地震に負けず回る第二日目その6(SIDE CORE「Blowin‘ In The Wind」)

能登国際芸術祭2023、内浦側から回っている第二日目その6ではSIDE COREというユニットによる「Blowin‘ In The Wind」という作品を紹介したい。

ここは、到達するまでが大変だった…

 

 

作品展示場所に向かうまでが大変

能登国際芸術祭2023の鑑賞旅二日目、前回で宝立エリアを終え、次には上戸エリアにむかった。

上戸エリアは過去の芸術祭にて、数種の作品が結構近いところに展示されている印象があったので、今回も回りやすいエリアなんだろうなと思っていた。

ところが、2023の上戸エリア一発目に向かったNo.37の作品は、そんな甘い考えをガツンッと叩きのめしてくれた。

向かってわかったのだけど、ここ、すごい山道を登っていくことになる。

ガイドブックによると上戸の風力発電所に展示されているとのことで、正式名「珠洲風力発電所」をマップで見てみよう。

こんなところにある

航空写真で見るとよりわかりやすいのだけど、緑の中にある。

山なのだ。

ずっと山の中の峠道を、しかも勾配のきつい登り坂を通っていくので、ヒルクライムのラリーをやっているような感覚すらあった。

ずっとこんな道が続く(ここはまだ見晴らしがいい方)

狭いところは車が2台すれ違うことができないような細い道なので、対向車のケアにも神経を使い、運転しているだけでなかなか疲れた。

しかも、距離が長い!

一つの作品から次の作品まで掛かった時間が、今回の芸術祭で1番長かったんじゃなかろうか。

自分、今回の芸術祭で自転車で作品を見て回っている人と何度も顔をあわせて仲良くなったのだけど、その方、ここも自転車で向かったのなら、冗談抜きで大変だったんじゃなかろうかと心配になった。

なんとか到着

ここに来るまでで、疲れた。

車で来ていても疲れるここ、展示場所まで到達するまでの大変さが、今芸術祭でナンバー1だ。

なんでこんなところに展示するんだろう?作家の人たち(ユニット)、性格悪いな…と思ったくらいだ。

 

37番 SIDE CORE「Blowin‘ In The Wind」

開いたゲートを入っていくと、誘導員の方がいて、どこに車を停めればいいのか教えてくれる。

結構、中の方まで入っていくことになった。

ゲートの近くに小屋のようなものがあり、鑑賞スタンプはそこで押すことになる。

これがその小屋

作品看板もあり、そこにスタンプもくくりつけられていた。

小屋はあるものの屋外の作品なので受付はなく、スタンプもセルフだった。

37番だ

SIDE COREの「Blowin‘ In The Wind」という作品だ。

SIDE COREというのは高須咲恵さんと松下徹さん、その二人に西広太志さんも参加したユニットで「風景にノイズを起こす」をテーマに様々なプロジェクトを展開しているんだとか。

小屋を覗くと映像が流れていた

柵があったので中には入っていけないが、モニターから流れる映像を見ることができる。

モニターは計3つあった。

町の一風景にノイジーな装飾をした映像が流れていたので、SIDE COREの活動がどんなものなのかイメージしやすいんじゃなかろうか。

例えばこんな感じ

それらを踏まえての、屋外展示だ。

外に出ると巨大な風車を見上げることに

でもこれは作家たちの作品ではなく、この珠洲風力発電所の巨大風車だ。

その足元にこの発電所ではまず見かけないでろう、ノイズのような風見鶏が散在している。

たとえばこんな感じに

シューズを履いた足元の形をした風見鶏だ。

風車が巨大すぎて、どうにか二者を一枚の画に収めようとしたら、こんな角度になってしまった。

たとえばこんなものも

鶏と女性が睨み合っているような、そんな風見鶏だ。

普段の風景にノイジーさを出すため、風車と一緒に撮ろうとすると、やっぱりこんな角度になってしまう。

それにしてもこの女性と鶏、なんでこんなにメンチを切り合っているのだろうか?

その物語を勝手に想像するとなかなか楽しい。

風見鶏の鶏に「お前って風見鶏みたいな女だよな」と馬鹿にされたからだろうか?

こんなものも

蛇や、文字が書かれたものも。

英語なので何と書かれてあるのか分かりづらいので…

寄りの写真も

あ、裏から撮っちゃった…

鏡文字みたいになっちゃったから、余計に分かりづらくなってしまった…

鶏と女性が喧嘩している理由をこの文字から探れないかと思ったけど、諦めました。

自転車のものもある

こちらは角度的にこの敷地内の風車と一緒に写すのは大変だったので、遠くの山の1基とともに。

巨大風車も山の中にいくつか点在しているのだ。

この画だと、風車の回転に引き込まれるように自転車が盲進しているようにも見える。

それぞれの風見鶏をどの風景と見るかで、そのキャラクターを勝手にイメージできるので、発電所が急に想像力の工場のようになってくる。

風車が回って生み出しているのは電力だけじゃなく、想像力もだったりして。

ここ、楽しい。

いや、楽しいというか、気持ちいい。

ちなみにこんなところにも風見鶏

小屋の角にいた。

まあ、風が吹いても回らないので正確には風見鶏じゃないんだけど、方角を知るのには助かる。

風が吹いてもで思い出したけど、巨大な風車も風次第で右に左に動くそうだ。

作者曰く、風車そのものも巨大な風見鶏なんだそうで、風に吹かれるまま気ままに遊んでいるようにも思えてくる。

なお、人と比べるとこれくらいのデカさがある

巨大だ。

巨人かと思う。

こんなものが気ままに遊ばれたら、人間は困るというものだ。

電気を作るために働いてくれているんだと思おう。

 

感想

SIDE COREの「Blowin‘ In The Wind」、風力発電所にユニークな風見鶏が点在していたが、巨大風車そのものも作品の一つ、もしくは作品の一風景なんじゃないかと強く思った。

来るまでに大変だったけど、それを忘れるくらいの想像力を広げられる楽しさと、のんびりとした空間がそこにはあった。

巨大な風の精霊と遊んでいるような、そんなファンタジーすら空想できたよ。

大地の精霊の方は… お厳しそうでしたが…

岩場には上がっちゃいけないようで、「入ってくるな!」と言っている。それでいて絵がかわいいから「ロックなやつだな」と許してしまえる。

ロックと言えば、作品タイトルの「Blowin‘ In The Wind」(風に吹かれて)を見て、B'zの「BLOWIN'」という曲を思い出してしまったのは、自分だけだろうか?

想像力があっちこっちに吹かれていく…