数年ぶりに通常開催された小松市の「お旅まつり」を見に行ってきた。
一番の目的は曳山子供歌舞伎だったのだが、間に合わなかったので食を楽しんできた。
お旅まつりへ曳山子供歌舞伎を見に行ったが…
5月12日(金)~14日(日)の三日間、小松市では菟橋神社と本折日吉神社の春季祭礼である「お旅まつり」が行われていた。
曳山子供歌舞伎で知られるお祭りで、土曜の夜には数基の曳山が並びライトアップされる「曳山曳揃え」も行われる。
コロナ禍を超え、今年2023年は通常開催されたので、久しぶりに曳山を見たくなって土曜日の午前中に足を運んでみることにした。
一番の目的はやはり曳山子供歌舞伎だ。
ただ、自分の時間の都合上、午前中しかいられなかった。
予定を確認すると、土曜日の午前の上演は一度だけ。
正確には、今年の子供歌舞伎は大文字町と京町が担当していて(持ち回りで毎年町が違う)、二箇所が同時刻(10時30分)に開始だったので、見れるチャンスは一度だけだった。
ちなみに大文字町の地図はこちら
仮に大文字町の上演を見るとしたら、ここまでやってこなくてはならない。
車で行くなら駅近くや市役所近辺に臨時駐車場が設けられているのでそこに停めて歩いて向かう必要がある。
自分はお旅まつりには何度となく足を運んでおり、そのたびに駅隣の「こまつの杜」の駐車場に停めていた。
以前までここが臨時駐車場に設定されて無料で止めることができたからだ。
しかも広いので停めやすかった。
ところが久しぶりに、それこそコロナ禍前ぶりだから4年ぶりだろうか、向かってみると、こまつの杜の駐車場が臨時駐車場になっておらず、有料になっていた。
変わっていたのだ。
ここでは停められないということで小松市役所近辺にあわてて向かったのだが、みんな考えることは一緒なようで、すでに満車であった。
待っていても空きそうにもなく、町中を車でウロウロとしていると変なところに入り込んで右往左往、時間がどんどん過ぎて行ってしまった。
いわゆる駐車場難民になってしまっていたのだった。
迷った末、なんとか小松運動公園に止めることができたのだけど、運動公園から一番近くの大文字町でもそれなりの距離があり、歩くとさらに時間がかかった。
道中、子どもたちの祭り行事に遭遇
お旅まつりは曳山子供歌舞伎だけではなく、町内を神輿や獅子舞が練り歩いたりもする。
家々の前でお囃子に合わせて獅子舞を披露したりするのだ。
大人が舞うのかと思っていたら、子どもたちが舞うようだ。
地元の子供たちが祭りを継承しているようだ
こういった光景、かなり好きだ。
ああ、いいものを見れたなと思っていたが、もうこのときには10時半をとっくに回っている。
曳山子供歌舞伎の午前の上演を見るなら悠長なことはしていられない。
早足で大文字町の方へと向かったものの、数年ぶりだから案の定、道にも迷った。
その結果…
あ…
終わってる…
ちょうど上演が終わったときに到着してしまった。
事務所に引き返す役者たち
個人的な時間の都合上、この午前の上演しか見れなかったのに、自分、間に合いませんでした。
上演時間が50分なので、自分が到着したのは11時20分くらいだ。
一時間も遅刻している。
予定を変更して昼の上演を見ようかともこのとき考えたが、天気予報では昼過ぎから雨になるとのことで、しかも大雨になるのか夜の曳山曳揃えは早々に中止になっていた。
曳揃えの会場である駅前ではすでにこんな看板
う~む、こんな日もあるか…
食を楽しむ
お旅まつりは、しかし曳山子供歌舞伎だけではない。
獅子舞や神輿もあれば、駅前の市民公園では「こまつグルメマルシェ」という食べ物屋のテントが並ぶイベントもあった。
駐車場難民になって、さらに歩いたせいでお腹も減った。
時間も昼だし、時間が許す限り食を楽しむことに頭を切り替えることにしたのだった。
駅前の市民公園の様子
テントが並んでいた。
キッチンカーも数台いた。
こういう楽しみも祭りにはある。
大人になって変わったけど、子供の頃は獅子舞や神輿よりも屋台の食べ物だったなぁと思い出す。
今日はそういう日なのだ。
公園を物色するようにひととおり歩いて何を食べるか決めた。
スイーツ系のテントもあったが、食事をしたかったので予算との兼ね合いからまずはこちらを選んだ。
ミニカレーで一皿500円だったのでまずはこちらを食べてみることにした。
隊員給食カレーはレトルトで販売されているもので、ここでの調理もそのレトルトを使っていた。
レトルトそのものも祭り記念特別価格で売られていた
航空自衛隊小松基地隊員給食カレーのパッケージは12種類あり、それぞれ異なった戦闘機が描かれている。ちなみに味はどれも一緒のようだ。
好きな人はこの箱をコンプリートしたくなるところだろう。
自分もかつて一つ購入して味を確かめたことがある。
12個揃えたい気持ちもあったが、どこにどのパッケージのものが売られているのか把握できないまま、今日まで至ってしまっている。
お店によって置かれているパッケージが違うのだ。
そんなものでこうして12種類並んでいる姿にはちょっとした感動があった。
変な満足感すらある。
ミニカレー
こちらで500円。
このテント、結構人気があって御飯が追いつかなくなっていた。
自分の前で売り切れてしまうかなと思ったけど、ギリギリ買えた。
久しぶりの小松基地のカレーだ。
ちなみに食べているところは公園内だ。
テント下に飲食スペースとしてテーブルや椅子も設けられていたが、混んでいたので園内の小上がりのようになっている段差に腰掛けた。
同じようにそこで腰掛けて食事をしている人、何人もいた。
きっちりイートスペースで食べるよりも、こういうののほうが祭りっぽい。
これまたなんか懐かしい気持ちになった。
ではいただきます
うむ、美味辛い。
以前に食べたことがあるのでわかっていたが、変わらず辛めだ。
自分は甘口カレーしか食べないお子様の舌をしているので、そんな自分にはなかなか刺激が強い。
それでもふんだんに使っているという小松産のトマトのおかげでフルーティな酸味も味わえる。
この酸味のお陰で辛さを少し忘れることができる。
その辛さとフルーツのような酸味の掛け合わせのおかげで、辛いのが苦手な自分でもなんだかんだ美味いと感じてしまう。
そうしてちゃんと最後まで食べてしまうのだからカレーって不思議だ。
そしてこちらも食べた
カレーだけではタンパク質がたりないなぁ、ということで続いてこちらのテントにもやってきた。
「加賀の國ジビエ」のお店だ。
自分はジビエが好きなので公園内を回りながら一番にこちらに目をつけていた。
羽咋市のジビエはよく食べたが、加賀方面のジビエは果たしてどうなのか?
そのあたりも確かめたかったのだ。
南加賀産イノシシ&若狭産シカ肉が乗った「特製ジビエBBQプレート」(1000円)を注文。
その場でバーベキュー
少し時間はかかるが、これはたまらん。
煙が立つたびいい香りだ。
食べやすいようにスライスしてくれる
味付けは塩コショウとソースの二種類があり、どちらにしますか?と聞かれる。
自分は逆にオススメを聞いたところ「イノシシにはタレ」「鹿には塩」がオススメとの返事をもらった。
しかも肉によって分けることもOKということなので、そのとおりに分けて味付けしてもらった。
こちらが「特製ジビエBBQプレート」だ
赤身の鹿には塩コショウを降り、白身のイノシシには特製ソースを掛けてもらった一皿だ。
こうしてみると鹿が筋肉質で、猪には脂が多いのが色だけでわかる。
ではシカ肉から
食べてみるとシカは思った通り筋肉質な感じで肉なのにさっぱりとしていた。
赤身魚を一瞬想起させながら、それでも野を感じさせる風味があとから追いかけてくる。
シカは独特だ。
なにより驚いたのがその柔らかさだ。
歯を使わずに切れるとか、そういった類の柔らかさではなく、肉質が上質な毛皮に触れたような柔らかさをしているのだ。
むかし格闘家の前田日明が当時霊長類最強と言われていたレスラーのアレキサンダー・カレリンと戦ったとき、その筋肉が柔らかかったと評していたが、本当に強くナチュラルな筋肉ってこうして柔らかいものなのかもしれない。
これはパワーもらえる。
続いてイノシシを
こちらは見た目通り脂身が多い。
どんぐりをたくさん食べたのかなぁと思わせるたっぷりな脂身で、でもその脂身が甘くて美味い!
これだけ脂身があるのにクドくないのも自然が育んだものだからだろう。
しっかりと下処理もされているから変な臭みももちろん無しだ。
やっぱりイノシシは美味ぇ。
加賀のジビエもやるじゃないか。
また食べたい!
帰りに中出精肉店で「空上げ」も
お旅まつりに来ると龍助町にある中出精肉店の「空上げ」も食べたくなる。
空上げとは航空自衛隊の隊員食堂でもっとも人気があるという唐揚げのことだ。
各基地で味が違うようで「小松基地空上げ」では、
と、されている。
その小松基地の空上げを一般の人でも食べれるように中出精肉店さんが提供店舗として認定されているようなのだ。
基本的に金土日限定だ。ときどき祭りやイベントがあって臨時販売されるときもある。
お旅まつりのこの日もおそらく食べれるだろうと思ってお店に向かった。
お店の場所はこちら
龍助町にあるので小松駅からも歩いていける。
店主の方が子供獅子舞の先導をしている姿を、ここに来るまでに見かけていたので、もしかしたらやっていないかもとの不安もあったが、行ってみると…
ちゃんと営業していた
空上げの幟旗も立っていたし、お店の前では空上げを食べるお客さんの姿も見えた。
お店では奥さんが応対していたのだ。
注文を受けてから作るので少し時間はかかるが、540円のサイズのものを自分も一つ購入した。
久しぶりの空上げ
コロナ禍のせいで祭りになかなかこれず、しばらく食べることができなかった空上げだ。
できたてでアツアツだ。
お店オリジナルなのか「こまつ大麦味噌」入りの空上げだ。
歩きながら、いただきます
食べ歩きだ。これがまたたまらん。
口に入れるとそのジューシーさ、そして香り立つ麹と味噌に、「これだこれだ」と箸、いえ爪楊枝が進んでしまう。
美味い!
なお、食べながら歩いていると、町の中で子どもたちの獅子舞にも遭遇。
こうやって家々を回って獅子舞を披露している
食べ歩きながらこの光景を見れると、さらに祭りに来ている感が増した。
舞う子ども獅子
この子たちがいれば、お旅まつりがこれからも続くのだろう。
また、見に来たくなったよ。
感想&大道芸見物
駐車場難民になったせいで曳山子供歌舞伎には間に合わなかったが、食にシフトしてお旅祭りを楽しんだら、伸び伸びとなかなか心落ち着く時間を過ごせた。
祭りを撮ろう撮ろうと逸るのではなく、目にしたものを撮っていた感じだったので、写真の楽しみ方の幅が広がった様な気もする。
怪我の功名みたいなものだろうか?
これも、お旅まつりのおかげだと思いたい。
なお、駅前の市民公園では食以外にも大道芸も見物していた。
大道芸人のルークさん
金沢出身の方のようだけど、愛知を中心に活躍し全国テレビの出演もしているそうだ。
このあと、このグラグラした台の上に乗ってくれます。
はい、このように
こんなバランス芸、一般人には無理だ。
この水晶を空中に浮かせたように見せる技もすごかった
ジャグリングもすごかったし、トークも面白かったし、最後に投げ銭もしてしまった。
しかもお札で。
要求も上手いのよ、この方。
観客のみなさん、一斉に投げ銭してた
親御さんが小さなお子さんにお金をもたせ、投げ銭を経験させていた風景が微笑ましかった。
思いがけずこういう幸福感も味わえるんだから、祭りって面白い。