猫に誘われて旧駅にたどり着く…
個人的に廃駅をめぐる旅、8回目だ。
今回は旧「沖波駅」に行ってきた。
目印はやっぱりバス停
今回向かったのはやはりのと鉄道旧能登線の廃駅で「沖波駅」というところだ。
前回の甲駅の次の駅だったところだ。
沖波はそのまんま「おきなみ」と読み、穴水町沖波というところにある。
近くには立戸ノ浜海水浴場もあり、国鉄時代は海水浴客のための夏季限定営業の「立戸ノ浜仮乗降場」と呼ばれていたそうだ。
国鉄が分割民営化されて西日本旅客鉄道(JR西日本)になってからは「立戸の浜駅」という臨時駅となり、更にのと鉄道能登線となってからは「沖波駅」と名前を変え常設駅となったとのこと。
行き方としては立戸ノ浜海水浴場を目指すとわかりやすい。
その海水浴場は県道34号線にある。
前回の甲駅でも通っていた道である。
ただ、甲駅から向かう場合、海水浴場まで行くとちょっと行き過ぎになる。
その少し手前に「沖波宮の下」という北鉄のバス停があり、そこが一つの目印となるので、まずはここまで来ることをオススメする。
バス停の地図
地図をズームするとすぐ近くに立戸の浜があることもわかるだろう。
更にズームしていくと沖波宮の下バス停が曲がり角付近にあることもわかると思われる。
実際の写真
このバス停が「沖波宮の下」だ。
太い道路が県道34号線(能都穴水線)で、細い路地と交わっている所に標識が立っている。
車で入るには細い道なのだけど、この曲がり角を左に曲がった先に目的の旧沖波駅があるのだ。
曲がった先の景色
民家の間を走る細い道だ。
こんな先に本当に駅なんてあったの?と疑問に思うけれど、ちゃんとある。
ちなみに駐車場なんて無いので、車で来る際は海水浴場などどこか邪魔にならない所に停めて歩いてくる必要がある。
歩いていると猫発見
この辺りは猫がのんびりと町中を歩いているのをよく目にする。
最近では家の中だけで飼われている猫が多いみたいだけど、自分の子供の頃は外を気ままに散歩している猫をよく見かけた。
田舎の祖父母の家では完全に放し飼いにして、ご飯を食べたいときだけ家にやってきているという猫がいた… 懐かしい。
猫に誘われて
猫を撮りながらさらに歩くとこんな景色が見えてくる。
山のようなところへ
かるい竹林みたいな先に鉄道でも走っていたかのような跨道橋のようなものが見える。
山の中だけどだんだんと駅っぽい雰囲気が出てきたのだ。
やはりこの道で間違っていなかったなと思っていると、橋の下あたりにも猫がいた。
先導するのように歩いていた。
気づかれて目が合う
前回の甲駅でも猫を見かけたが、このあたりの廃駅は猫と縁がありそうで、ますますこの道で正しかったと思えてくる。
目が合うと、さすがに警戒されましたが…
警戒して道をあける猫
それでもこちらからなにか危害を加えられるわけでもないとわかると特に逃げることもしなかった。
本当はナデナデしたかったけど、逃げられると寂しい気持ちになるので自分も静かに傍らを通り過ぎていった。
跨道橋に接近
なんだか電車が上を走る橋というより山への入り口といった感じがした。
獣が出そうな雰囲気もあったので、手前が人里、奥が獣の住処といった境界線のようにも見えた。
注意書きもあるし
一部欠けてて何に注意なのか正直わからない。
「けたに注意」でいいのだろうか?
橋で「けた」と言ったら桁橋の「桁(けた)」という水平部分になると思うのだけど、要するに今の言葉で言うところの橋の下をくぐるときの「高さ注意」みたいなことだろうと思われる。
確かに荷台の大きなトラックとかは通れなさそうな高さだった。
橋をくぐった先に廃駅
跨道橋の下をくぐると獣世界なんて一瞬でも思い込んだものだから、正直くぐるのも少し怖かったし、くぐってどれくらい歩いたら目的の駅までたどり着くのかちょっと心配もした。
すごく距離があるようなら徒歩だけにそのうち熊なんかに出くわさないかと、そんな不安があったのだ。
くぐった先、木々のせいでちょっと薄暗かったしね。
ただ、実際くぐってみると目的の旧沖波駅はすぐそこであった。
くぐるとすぐ小屋が見える
くぐるとちょっと坂になっていて、そこを登り始めた矢先、右手にこんな小屋が見える。
この小屋こそが旧沖波駅の待合所だったりするのだ。
見てわかるようにかなり草木が茂っているところにある。
接近
小屋からさらに右にも道のようなものもあるけど自分の目には獣道に見えた。
変なところにあるなと思うけど、この小屋が待合所だったことは間違いなく、小屋の中を覗き込むにはこの獣道みたいなところを進まなくてはいけない。
入り口はこちら
閉まっていたので入れなかった。
これだけなら山の中の狩猟小屋にも見えなくもない。
怖がりながらも中も見る
中を覗き込んでみると物置のようになっていた。
ママさんダンプみたいなの、雪かき用だろうか?
その奥の壁に見える「〇〇組最強」の文字も大変気になる。
窓側に置かれた箱も何を入れていたものなのか色々と推理をしたくなってしまった。
まあ何にせよ、いまも利用されている雰囲気がある。
まさか廃駅になった15年前からこのまんまということはないだろう。
さて、この旧待合所の入り口の前で180°体を反転させると、目の前、山の方に小さな階段を目にすることができる。
こちらがその階段
手すりもあって、細長い舞台のようになっている。
しかも山の中、木々をバックに空中に浮いているような舞台だ。
これ、何かといえば旧沖波駅のプラットホームだったりする。
どう見ても山の中だけど、ここで乗り降りしたり電車を待っていたりしていたようなのだ。
とりあえず上がってみる
獣が出ないか、そんな恐怖はもちろんあったが、踏み込んでみた。
こちらは右に振り返ったときの景色。
木々の枝がアーチを作っているようで木漏れ日がキレイだった。
線路はもうないようで、ホームの下側は山の斜面に繋がっている。
高さも結構あったので、そこへ降りたいとはさすがに思わなかった。
降りたときに獣が現れて上れずに逃げれないなんて事を想像してしまった。
こちらは左を向いたときの景色
こちらを向いたときにわかったけど、生えている多くは竹だ。
竹林のようになっていてその中にプラットホーム(過去には線路もだろうか)が走っているといった具合だ。
こちら側も木漏れ日がいい強さで差し込んでいた。
撮影したのが夏だったということもあるだろうか。
夏とはいえ、これだけ竹や木々に囲まれているのでこの辺りはまだ涼しい方だった。
端っこまで行きたかったが、これまた獣が突如襲ってこないかと心配になったのでここいらで退散することにした。
自分としてはコロナウィルスなんかよりも獣のほうが怖い(今年は特に熊の出没、被害が多かったしね)。
なんにせよ、旧沖波駅を目にできてよかった。
最後も猫
帰り際
ここから撮ると木陰になっているので印象がぜんぜん違う。
あ、獣いた
猫ですが。
廃駅へ誘ってくれた(と自分は思っている)猫がまだ同じ場所にいた。
よほどそこが好きなのか、それとも待ってくれていたのか愛らしい奴だ。
このときにはもう目を合わせても逃げようともしない。
行きのときに敵ではないと思ってくれたらしい(と信じたい)。
ということで記念撮影(跨道橋とともに)
廃駅を撮りに来ているのに、残っているプラットホームの写真より猫の写真のほうが多くなった気がするが、この旅らしくのんびりしていて、まあいいだろう。
誰もいない、何もいない寂しいところより自分としては好きだ。
猫がこうして頻繁にいるようなら、また猫の写真を撮りにこの廃駅にやってきたいと思ったくらいだ。
願わくは、次来たときはプラットホーム辺りにいてくれたら嬉しい。
その時までに岩合さんのテレビでも見て猫の撮り方を勉強しようかな。