初心の趣

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奥能登国際芸術祭2023を地震に負けず回る第三日目その4(中島伽耶子「あかるい家」)

能登国際芸術祭2023、会期は終了しても鑑賞旅を綴る記事は継続中。

今回は正院エリアで久しぶりに観てきた中島伽耶子さんの「あかるい家」を紹介したい。

 

 

正院エリアは過去作ばかり

能登国際芸術祭2023、正院エリア3つ目の作品は中島伽耶子さんの「あかるい家」へと向かった。

前回記した「スズズカ」と駐車場が共通で、そこから歩いていくことになる。

この作品も2020+のときに制作され、その後、常設展示されていたものなので二年前に見た作品だ。

ここも過去作か…

と思ってしまいそうであるが、実は2023の正院エリアはすべて以前の芸術祭で制作された作品ばかりだった。

そんなもので、ここでも深くは掘り下げずにまとめたい。

こんな湾曲した道を歩いていく

スズズカの駐車場からさらに山の方へと進む道を、このように歩いていく。

雨降ると大変だろうなと思うものの、自分は毎度晴れの日にやって来ているので散歩がてら進んだ。

道中、赤いコーンを目にする

正院町は5月の大地震で最大震度である震度6強を観測したところなので、道路もあちこちダメージを受けていた。

5ヶ月くらい経っているんだけど、まだまだ修理が終わっていないところも多い。

復興半ば、その中での芸術祭なんだと、改めて思い知る。

展示場所の近くにも赤いコーン

幟旗の傍の民家が展示場所だ。

その近くの歩道もこのように地盤沈下が起きている。

よく展示場所の古民家が無事だったなと思う。

ここだ

倒壊はもちろん、大きなひび割れなどもないようだ。

なんなら傾いてすらいない。

ちなみにここ、展示会場が建物の中だけど受付とかはない。

鑑賞スタンプもセルフだ。

勝手に入って、勝手に鑑賞していけばいい。

 

26番 中島伽耶子「あかるい家」

26番だ

中島伽耶子さんの「あかるい家」、中に入るのは2020+以来2度めだし、その2年前には夜間点灯も観に行っているので、この場にやって来たのはこれで3度めだったりする。

中にはスタッフが居るわけでもなく、展示内容もおそらく一緒だから、2020+のときと同じものを目にするんだろうなと思った自分は、自分から趣向を変えてみることにした。

どう変えたか、一言で言えば「モノクロ」だ。

この作品、暗い部屋の中に銀河のように光が差す空間が演出されているので、それを白黒で撮ったらどうなるのか、試してみたくなったのだ。

入り口はこんな色合いなんだけど

試しにこれも…

モノクロに

急に昔の写真みたいになってしまうが、こんな感じで暗闇に光指す中でも白黒で撮ってみて、「あかるい家」がどのような表情を見せてくれるのか試してみたい。

あ、ちなみにこの扉ももちろん自分で開けて、勝手に入って、作品の性質上、自分でしっかりと閉めなければならない。

では、イン

普通に撮ると、このように暗い部屋に無数の光指す画になってくれる。

相変わらず、瞑想を促進させ悟りを開けそうな空間だ。

そんな場所をモノクロにすると…

こうなる

もともとプラネタリウムのようでもあるここが、空間がより黒くなったことでさらに宇宙らしさが増す。

仰向けに「大の字」になって寝て、宇宙霊を取り込めないか試してみたくもなるじゃないか。

それでいて長く眺めていると、なんだろうか、静かな夜に雪が舞っているようにも見えてくる。

にわかに物悲しくもなってきた…

…まだまだ悟りへは遠い。

 

感想

以上、二年ぶりに観た中島伽耶子さんの「あかるい家」だ。

2020+のときと展示内容は同じであったものの、相変わらず心のなかに訴えかけるものがあり、自問を誘導し、悟りへと向かいたくなる空間であった。

個人的な新しい試みとしてその闇と光のインスタレーションをモノクロで撮ってみたが、より雑念が洗われて、より純粋に光と闇に向き合えるような画になってくれたと思う(思いたい)。

あらためて

比較(こちらがモノクロ)

こうしてみると、普通に撮ったものはオーロラの魔法を纏ったようにも見える。

キラキラして希望が溢れているようにも。

比べてモノクロの方は時間停止したような感じに見えて急に恐ろしくなってくる。

見方(撮り方)を変えると見え方も変わってくる…

この作品はまだまだ奥がありそうだ。