奥能登国際芸術祭2023、鑑賞旅第二日目の飯田エリア3つめは「のらもじ発見プロジェクト」による「いいよ、いいまち、いいだまち。」だ。
鑑賞だけではなく体験もできた作品だった。
飯田今町交差点に戻る
奥能登国際芸術祭2023の飯田エリアでは商店街だけで3つの作品がある。
前回、前々回に記したNo.30、No.29の他にNo.31の作品もある。
内浦側から回っている第二日目は作品番号が後のものから回ってきたが、ここにきて順番がバラバラになってしまったのは、No.31「のらもじ発見プロジェクト」の作品がどこでやっているのか、ガイドブックを観た限りでは分かりづらかったからだ。
読んでいると「飯田商店街」が舞台となっているようで、鑑賞スタンプもどこで押してもらえばいいのか「?」になってしまったのだ。
イマイチ分かりづらいものはあとに回して、先にNo.30、No.29の作品を見て回ったわけなんだけど、それらを回るために商店街を歩いていると、なんとなく「のらもじ発見プロジェクト」の舞台がこの商店街である意味が分かりかけてきた。
そうしてもう一度ガイドブックを読み返し、そこに載っている地図を頼りに、「飯田今町」の交差点に戻るのだった。
戻ってきた
写真でいうと、この交差点を左に曲がった先に幟旗が立っているのを見つけた。
ここだ
ちゃんと作品看板もあり、シャッターが開いている隙間から受付らしきものも見えた。
その受付が見えなければ、そこが展示場所だとあまり信じられなかったと思う。
31番 のらもじ発見プロジェクト「いいよ、いいまち、いいだまち。」
31番だ
作家名ではなくプロジェクト名である「のらもじ発見プロジェクト」というのは下浜臨太郎さん、西村斉輝さん、若岡伸也さんたちが2013年より開始したプロジェクトで、古い町並みの看板に残る個性的な文字(フォント)を「のらもじ」と呼び、そのグラフィックのデザイン的な魅力や看板そのものの経年変化などから古道具、民藝的な魅力を積極的に見出そうとするものだそうだ。
個性的な「のらもじ」を分析して、そのフォントで50音を作成することもしており、それらを使って「のらもじ」の魅力を広く発信しているとのことだ。
受付を済ませて中に入ってみるとこんな展示が
過去に見つけた「のらもじ」と、そのお店について、またそのフォントで作成された50音のひらがながいくつかパネルで示してくれていた。
その一枚
後でわかったことだが、こちらのお店、実際に飯田商店街にあるお店だ。
反対側の壁には過去に東京で見つけた「のらもじ」の説明なども同じくパネルで展示してあった。
ほか、映像なんかも流れていて、珠洲市飯田町で「のらもじ」が発見され出来上がっていく様が映し出されていた。
室内の真ん中には妙な形をした自販機のようなものも設置されていた
100円を入れてポストカードを一枚受け取るものだ。
記念品か何かだろうか?と説明書きを読んでいると…
のらもじスタンプを集めるためのものだった
この作品、ただ展示物でプロジェクトの活動を知るだけではなく、今回珠洲市飯田町で新たに見つけた「のらもじ」を実際に目にして、その50音フォントのスタンプを集めるスタンプラリーも体験できるものだった。
ポストカードは有料なので、もちろんスタンプ集めは強制ではない。
100円ならやりたがる自分
手に入れるポストカード
どうせならこの作品をしっかりと楽しみたいのだ。
飯田商店街を回る
地図もあった
飯田商店街の地図だ。
この順番で実際のお店を回っていくとポストカードを文字で埋めれるようだ。
地図は、ポストカードの表面にも小さく描かれているので、この地図を丸暗記する必要もない。
商店街の中なので、距離もそんなに離れていない。
では行ってみよう
またこの通りを歩く。
右手にはNo.30の作品があった旧タクシー営業所もある、あの通りだ。
一軒目は「つぼの」というお店に向かえばいいようだ。
これだ
パネル展示にもあったお店だ。
ここ、ちょうどNo.29の作品が展示されていた旧時計店の前にあった。
スタンプラリーの張り紙もあった
これがあるのでわかりやすい。
これがこのお店のフォントか…
実際に足を運ぶことで「のらもじ」のオリジナルを目にすることができる。
で、肝心のスタンプであるが、それはお店の中にあった。
入って行ってお店の方に声をかけ、スタンプを押すという流れだ。
ちなみにこのお店の方、No.29の「物語るテーブルランナーin珠洲2」で熱量を持って説明してくれた縫い手の方だったから驚いた。
このスタンプを使う
ここでは50音のスタンプが置かれていて、カードの表面に自分の名前を書くことになる(このあと名字をフルで書いた)。
かわいいフォントだ。
続いてはこちらのお店に
奥の「さてん」というお店に向かう。
こちらではこんなスタンプが並んでいた
ここからはカードの裏面を埋めることになるんだけど、何が書かれてあるのかわからない「???」と書かれたものを一つチョイスして、偶然による文章を作成していくことになる。
自分がここで引き当てたものは…
「あおく」だった
このようにマスを埋めていくのだが、おみくじを引いているようで面白い。
3つめはコチラのお店に
「やまぐち」さんだ。
陶器のお店なんだそうだ。
こちらではこんなフォント
スタンプの文字も運任せなので頭の中では「何が出るかな~♪」がリフレインされていく。
裏面2つ目の文字は…
「へんだよ」だった
青くて変だよ…
続きが気になってしまう。最後の文字次第でそれこそへんてこなものが出来上がってしまう。
これは楽しみだと、最後のスポットにも当然向かった。
あ、蛇足だけど、その道中、こんなものも見つけた。
青いドキンちゃん、発見
「青くて、変だよ、ドキンちゃん」
そんな文章がにわかに頭の中で完成してしまったじゃないか。
最後はコチラ
衣料ストアー「サカシタ」さんだ。
最初のパネル展示があった建物の隣だ。
ここまで戻ってきたのだ。
最後のフォントはこちら
そのお店の文字の特徴も説明書きされているので、スタンプラリーを回っているだけで「のらもじ」を学べ、体感できる。
さて、最後の文字は…
「ダンボール」だった
最終的に完成された文章は「青くて、変だよ、ダンボール」だ。
う~む、確かに青いダンボールは変だ。
ないことはないと思うが、なかなか見かけない。
さらにどう「変」なのか想像すると、ビジョンがいくつも浮かんできてしまう。
思わぬところで空想遊びが始まってしまったじゃないか。
感想
のらもじ発見プロジェクト「いいよ、いいまち、いいだまち。」、そのスタンプラリーまでやってみると楽しかった。
実際に商店街を歩いていくので「のらもじ」探しを体験しているような感覚もあった。
この飯田商店街、過去の奥能登国際芸術祭で何度も歩いているが、こんなに看板の文字に注目したこともないので、新しい側面で町を見ることができた。
商店街を新鮮に感じられた素敵なプロジェクトだと思う。
何より、町を歩いたことはあったけどお店に入ったことがないというところも多かったので、こんなお店があったんだね、と、これまた発見に繋がった。
飯田町を何度も来ているようでよくわかっていない自分がいる…
これを知れただけでも収穫で、町中をもっと散策したくなったものだ。
大地震の被害を受けたままの家屋も目にした
その一方で、このように震災の爪痕がまだまだ残っている。
町はまだ復興半ばなのだ。
そんな中でも、このように奥能登国際芸術祭2023を開催してくれて、市外からの来訪者である我々に笑顔で接してくれる珠洲市の人たち、飯田町の人たちに尊敬の念を抱く。
ほんと、「いいよ、いいまち、いいだまち。」である。