初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

いしかわ百万石文化祭2023の一つ無名塾の「等伯 -反骨の画聖-」を能登演劇堂で観てきた

10月14日(土)から始まったいしかわ百万石文化祭2023の七尾市地域文化発信事業である無名塾七尾市民合同公演「等伯 -反骨の画聖-」を観に能登演劇堂に行ってきた。

舞台中の写真はもちろん撮れないけど、個人的な感想を記したい。

 

 

いしかわ百万石文化祭2023の一つ事業

日本では毎年どこかの県で国民文化祭が行われている。

今年2023年は石川県だ。

第38回国民文化祭と第23回全国障害者芸術・文化祭、それらを合わせた「いしかわ百万石文化祭2023」が先日始まった。

期間は10月14日~11月26日の44日間。

初日にはしいのき迎賓館(旧県庁)近辺でオープニングイベントも

メインステージでは田中美里さんや新田さちかさんら、石川県ゆかりの芸能人によるトークショーも行われていたようだ。

自分は午後からしか行けなかったので見れなかった。

そんな自分は食べ物にばかり目が行ってました

隣のいしかわ四高記念公園で行われていた「てんこもり横丁」で…

ほくりくアイドル部のライブを観ながらジビエばかり食べてました

食べ物も文化だ。

そしてジビエ肉は今じゃ石川県の特産品にもなりつつある(と、自分は勝手に思っている)。

このように石川ならではの文化資源を活用したイベントや文化団体による27の全国大会など、県内全市町で約150の多彩な文化イベントが開催される。

その一つ七尾市地域文化発信事業として能登演劇堂にて無名塾七尾市民合同の公演「等伯 -反骨の画聖-」が10月20日(金)より始まった。

仲代達矢さん率いる無名塾の公演だ。

仲代さんは役者としては今回出演しないものの演出として携わっている。

昨年、一昨年と続けて仲代さんの舞台を見てそのオーラに衝撃を受けてきた自分としては、出演していないまでも無名塾の舞台は見ずにはいられなかった。

 

能登演劇堂へ「等伯 -反骨の画聖-」を観に行った

ということで能登演劇堂へ観に行ってきた

自分が見に行ったのは10月22日(日)だ。

ちなみに会期は10月20日(金)~11月5日(日)までだ。

二週間ぐらいしかない。

この七尾市中島町能登演劇堂で行われる期間が11月5日までで、その後11月16日から三日間だけ東京でも公演するとのことだ。

ただし、この能登演劇堂と東京では一つキャストの面で異なるところがある。

というのもこの石川県での公演のみ、出演者に七尾市の市民キャストの人たちも加わっている。

以前、地元のテレビでそのオーディションのニュースもやっていた。

地元民としては知っている人が無名塾の芝居に出演しているかも、なんて期待もしてしまうのだ。

いや、自分としても今回絶対見に行きたいなと思った点も実はそこにある。

市民キャストのオーディションを受けている人の中に、知った顔を見つけていたからだ。

そして後日ラジオで、そのむかしの知人が無事オーディションに受かって市民キャストとして出演することが決まったことを知ったからだ。

開演は14時から

途中休憩を挟むものの終演は16時30分なので、2時間半近くある。

舞台の撮影はもちろん禁止されているので、写真はここまでだ。

以下、文章にてその感想を記したい。

 

個人的な感想

題名の「等伯」とは、国宝『松林図屏風』で知られる安土桃山~江戸初期にかけて活躍した絵師「長谷川等伯」のことで、この方が能登国七尾(現在の石川県七尾市)出身であることは石川県民だとよく知られていることだ(七尾市がよくアピールしている)。

ただ、京に上る前の七尾にいた頃の名前が違っていて、長谷川信春というそうで、このお芝居の中では等伯の他に信春も出てくる。

ん?ってなるかと思われるけど、それぞれ別の役者さんが演じていて、頭の中のもう一人の人格のように、ときどき同じ場面で等伯と信春が話し始めたりもする。

周りのものからすると、等伯先生は一体誰と話しているんだ?と、噛み合わなくなってくるシーンが何度かあるのだ。

これは、京都で絵師として活躍した等伯と、七尾で絵仏師として知られていた信春が同一人物であるという後の学説を活かして脚本を作っているからだそうで、その学説がなければ「等伯=信春」でもなく、等伯は七尾の出身でもないことにもなるので、石川県人としてはなかなか聞き捨てならない建付けであった。

逆に言えば、二人を分け、当時絵師界で隆盛を誇っていた狩野派との戦いに躍起になっていた等伯に、昔を思い出させ、描きたいものを思い出させ、のちの国宝であり近世水墨画の最高傑作と言われる『松林図屏風』を描かせるきっかけになる役割を信春に持たせているのは、等伯のバックボーンは「七尾」だよ!と強烈に訴えているからだとも感じた。

石川県人としては、そこになにか救われた気がした。

なお、能登演劇堂は舞台の後方が開いて能登の自然が広がる野外舞台が現れるんだけど、今回の舞台でも京へ旅立つ際(序盤)にやはりそこが開くシーンがあり、そのCGでは描ききれないリアルな風景(茶屋が並んでいたりしていた)がまた美しく、つい拍手してしまった(自分の他に拍手してしまっていた人あり)のだけど、最後まで見終えたときに、あの景色は七尾の景色だったんだよなと思い出せば「バックボーンは七尾だよ!」とリンクするものがあったな、と思えた。

そう思うとあの後ろが開くシーンが後から印象強くなったものである。

ちなみに東京公演ではそんな演出はなかなかできないであろうから色んな意味で「七尾だよ!」(七尾で観なさい!)と強力に訴えている感じがしてならなかった。

また、この七尾公演では七尾市民が市民キャストとしても出演しているから「七尾!」がどこまでも強いのだ。

その市民キャストであるが、10人出演していたんだけど、その中に自分の昔の知り合いである「勢登健雄」くんの名前も見つけた。

パンフ買いました

パンフに顔写真入りで名前も載っていた。

勢登健雄くんといったら七尾市中島町出身で、マセキ芸能社に所属するタレントだ。

北陸放送MROテレビ)の『絶好調W』のMCも以前務めていた(アントニーの前)ので社会人以上の石川県人なら一度は顔を見たことがあるんじゃないかと思う。

あ、MROさんの花も発見

勢登くん、今回は「弟子(五)」という役なんだけど、結構台詞もあって、なんなら等伯先生とも少し絡むシーンもあったから、久しぶりに勢登くんの芝居を見れたなと思えた。

自分は勢登くんとは学生時代のアルバイト先が一緒だったので、学生時代の彼の舞台を何度か観に行ったことがある。

あの頃もコメディチックな芝居をよくやっていた(そのあと芸人になっていた)けど、この無名塾の舞台でもそれに似た役をもらってやっていたので、なんだかすごく懐かしく感じた。

カーテンコールの時、自分は勢登くんばっかり観てましたよ。

公演後に会うということはできなかったけど、元気そうで何よりだった!

君の芝居を、20年ぶりくらいに観ましたよ、私は!

いやぁ、いい物語だったし、楽しめた!