仲代達矢さんの無名塾の芝居が毎年行われているのだが、自分はいままで一度も行ったことがなかった。
今年は仲代達矢さんの役者七十周年だという。
その記念作品『左の腕』が11月13日(土)~11月28日(日)まで行われている。
毎年のように一度は仲代さんの芝居を生で見てみたいと思いつつもチケットを取れずに諦めていたのだけど、今年はなんとか取れたので初めて行ってみることにした。
11月16日(火)のことだ。
ついでに近くにある「kitchen SAKURA」にも立ち寄り、辛いのが苦手なのにカレーに挑戦してみたので、合わせて記したい。
まずは「kitchen SAKURA」のカレーに挑む
中島町の能登演劇堂の近くにカフェ&ランチのお店「kitchen SAKURA」(キッチン サクラ)がある。
地図
キッチンサクラも能登演劇堂も同じ通り沿いにある(地図を拡大するとわかりやすい)。
このお店に関しては当ブログでも一度、テイクアウトした「バランス満点ランチ」について記事にしている。
お店の外観などはそちらで確認していただきたい。
(ランチをテイクアウトしたときの記事は→こちら)
そのときにお店を切り盛りしている高山さん(管理栄養士の資格も持つ)に「うちのカレーはかなり辛い」と教えてもらっていたのだが、辛いものが苦手な自分はそれを避けつつも、一度でいいから食べてみたいとの願望もあった。
無名塾の『左の腕』の公演が15時からで、その前に昼食をどっかで取ろうとしたところ、「kitchen SAKURA」が開いていて入れたので、この機を無駄にしないようにカレーに挑んでみたのだった。
というのも、キッチンサクラ、ランチをテイクアウトした日以降も能登方面に立ち寄った際は何度か足を運んだことがあったのに、そのたびに定休日だったり、予約の方の分ですでに完売だったりで、ずっと入れないということが続いていたのだ。
今回入れたのも平日だったからだと思う。この機を逃すとまたいつカレーに挑めるかわからないので、辛いという「薬膳カレー」を注文することにしたのだった。
こちらがその薬膳チキンカレー
こちらで一皿1000円だ。
野菜も乗っかっているので、野菜も食べたい、野菜から食べたい自分としては有り難い。
カレーの色から辛そうなのが伝わってきた。
辛いのが苦手で、カレーも甘口派の自分のおこちゃまの舌では危険な気もした。
でも、先日、ふとインド料理屋に立ち寄ったときに、辛い食べ物(辛いのしかなかった)を注文したところ意外と食べれることに気づいたので、変な自信だけはあった。
実際ひとくち食べてみると、美味かった。
辛いと感じる要素もあるけど、野菜のおかげなのか、苦にならず、逆に美味いと感じた。
しかも、その一口で目が覚めた。
辛さのせいなのか、旨さのせいなのか、脳みそを刺激された感じがあって、眠気が飛んだ。
発汗作用もかなりある。
気がついたら一気に食べていた。
お水もあったんだけど、それもほとんど飲まずに食べきっていた。
辛いの駄目なの、食わず嫌いだったのかもしれない。
苦手克服、なかなか嬉しい。
能登演劇堂で『左の腕』を観る
お腹も満たしたところで次は観劇だ。
キッチンサクラや能登演劇堂がある通りには無名塾の幟旗も掲げられていたので気分も高まる。
このように
祭りのような雰囲気がある。
仲代達矢さんの無名塾による公演は、この町にとっても一大イベントなのだろう。
そもそも能登演劇堂も、仲代達矢さん主宰の無名塾がこの中島町でずっと合宿を行っていたことが縁で建てられることになったものだ。
演劇堂の舞台設計も仲代さんが監修しているしね。
自分の祖父母の家がこの中島町にあるので、ここを田舎に持つ自分としてもなんかうれしい話で、だからこそ仲代さんが元気なうちに一度でもいいから無名塾の公演をこの町で見たいとずっと思っていたのだった。
仲代さん、現在88歳だ(12月には89歳になられる)そうだ。
役者としては70周年だ。まだまだ現役で舞台に立っているんだから、すごい話だ。
まさか、この節目を機に現役を退くなんてことはないよね、との不安もあったので、今年こそは観に行こうと、自分も動いていたのであった。
今回、チケットが取れたのは平日だったからということもあるだろう。
雇用調整助成金の関係で平日休みが与えられると、急いで演劇堂に電話して、空席状況を確認し、なんとかゲットすることが出来た。
コロナ禍にはうんざりしているけど、ある意味コロナ禍だからこそ取れた節もある。
演劇堂に到着
車で来ていたので駐車場の心配もあったけど、開場1時間くらい前の13時くらいには到着していたので、余裕を持って停めることが出来た。
ちなみに誘導員もちゃんといる。
ここに車を停めて、チケットの支払いを済ませて、歩いてキッチンサクラに行って、カレーを食べて、またこちらに戻ってきて入場したという流れだ。
ポスター
『左の腕』のポスターが貼ってあった。
自分は左利き(全部、左)なのでこのタイトルには親近感が湧く。
あ、でも、左利きの話ではない。
上演時間
上演時間は1時間30分だ。
開場は14時から、開演は15時からだ。
終演の予定は16時30分とある。
公演期間は11月13日(土)~11月28日(日)まであるが、一日の予定はすべてこれと同じのようだ。
チケットを受け取る際になるべく早めに入ったほうが良いと言われたので、14時ちょっと過ぎには館内には入って、チケットに名前を記入していた。
名前を記入する必要があるそうだ。
いざ、入場
席はすべて指定だ。
客席数は600を超えるのだけど、その殆どが埋まっていたんじゃなかろうか。
多くはご年配の方だったが、学生さんくらいの若い人も数名見かけた。
自分は前から3列目の右端の方だった。
右端の方かと、ちょっと見づらさを懸念したけど、いざ15時になって開演すると、むしろこの席で良かったと思った。
というのも、開演して幕が上がると、冒頭、舞台の上手(客席からすると右側)に仲代さんが一人いたのだ。
間近に、俳優・仲代達矢の生の姿を目にできたのである。
自分は黒澤明監督の映画も好きだったので、映像の中の仲代さんはよく目にしていたけど、生の姿を目にしたのはこれが初めてであった。
それだけで、体が震えてしまった。
芝居が始まると、近いせいもあって、演技中の仲代さんと目が合う(気がした)瞬間が何度かあって、電気が走った。
前の方で良かったと、これまた思った。
80歳を超える仲代さんは若いときと比べると、声の張りや力強さ、殺陣のキレなんかは確かに衰えているかもしれないけど、身にまとっている雰囲気が、他の若い共演者の方々と明らかに違っていた。
それがいわゆる「オーラ」という言葉では単純に形容しがたいもので、オーラなんて言葉で言ったら、他の共演者の方々のほうが活気を感じさせるもので、何というのだろうか、物寂しさと言うか、謙虚さと言うか、そういったものが「深み」となって我々の視線を吸い込んでいくようだった。
それゆえに、劇中最後の強がりのような仲代さんのセリフには渋い哀愁とともに男の意地のようなものがあり、自分は思わず「かっけぇ」と声に出してしまっていた。
幕が下りていくときは、他のお客さん同様に自分もずっと拍手だった。
幕が再び上がって、舞台の後ろが開放される(能登演劇堂は舞台の後方が開いて野外舞台とつながる)中、カーテンコールに応えて演者の方々が一人ずつ一礼していくと、最後に仲代さんも現れてお辞儀をしていくんだけど、その無言のお辞儀が、無言なのにいろんなことを語ってくるようで、でも自分なんかではそのすべてを受け止めきれないものだから、ただひたすら力強く拍手をすることしか出来なかった。
謙虚さがここまで深まると、宇宙を見ているようなんだなと、思い知らされたようだった。
自分なんて、仲代さんに比べたらまだまだただのガキンチョ(子供)である。
これからも生きることに精進して、死ぬまで何かの現役でいたいと思うのだった。
来年以降も、絶対また見に行きたい。