初心の趣

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奥能登国際芸術祭2023を地震に負けず回る第二日目その2(シュー・ジェン[徐震®]「運動場」)

能登国際芸術祭2023を内浦側から回る第二日目だ。

今回は見附島の前にあるシュー・ジェン[徐震®]さんの「運動場」を鑑賞してきた。

 

 

地震後の見附島へ

能登国際芸術祭2023の鑑賞旅第二日目は内浦側から回っている。

前回の旧鵜島保育所の次は見附島だ。

見附島は5月に珠洲市を襲った大地震で一部崩落して形が少し変わったと言われている。

自分としては大地震があってから初めて見に行くことになる。

久しぶりの見附島だ

作品No.41と矢印が記された看板も出ている。

見附島近辺が作品の展示場所になるのは2017以来だ。

矢印の通り曲がると、そこは駐車場になっていて、停めてから歩いて海の方を目指す。

海を目指していくともう島が見える

軍艦に似たその島が見附島だ。

作品は海岸の公園で展示されている。

前方の松の木が生えているそのあたりだ。

 

41番 シュー・ジェン[徐震®]「運動場」

41番だ

中国のシュー・ジェン[徐震®]さんによる「運動場」という作品だ。

駐車場から公園に入ってすぐのところにこの看板を見つけるのだが、これだけではどれが作品なのか、どこに展示されているのか、チンプンカンプンであった。

巨大なオブジェがあるわけでもなく、わかりやすい作品らしい作品というものがないのだ。

代わりに公園内に結界のようにロープが張られていて、その区域だけ特別であることはうかがえた。

ちゃんと説明書きもある

マップもついている説明書きだ。

というか、これがないとよくわからずに帰っていた可能性だってある。

これによると、ロープで仕切られたその内側に砂利石を置いて迷路のような道を作ってあるそうで、その道は世界各地で実際に行われたデモ活動で人々が実際に歩いた痕跡をトレースしたものらしい。

地図拡大

この地図を見た時、どれだけ広い範囲で作品が展開されているんだろうと、その広大さに顔がひきつりそうになったけど、目の前の松が何本も植えられているその区域だけだとしばらくしてわかって安心した。

実際の「出入口」

マップと同じところに実際に「出入口」の看板が立っている。

そこから砂利石が敷き詰められた道に入っていくことができる。

「出入口」は計4つ。

どこから入るか、さて悩むところだ。

悩んだ末、一番近いところから入った。

入っていくと、中でも規制線

テントのペグみたいなものにロープが通され、それで道を作っている。

高くはないので大人なら跨いで超えていきそうなものだけど、それをしないのが作品への敬意だ。

やっぱり迷路みたいだな

道に従って進んでいくと直角に何度も曲がらされて行ったり来たりする。

なかなか歩かされるので、なるほど「運動場」とはよく言ったものだ。

確かにいい運動になる。

なお、進んでいくと別の「出入口」にもたどり着く。

どこから入っても、あまり関係はないようだ。

どこに連れて行かれるんだ?

全体を目視で確認できるくらいの、そんなに広くない範囲であっても、こうも行ったり来たりしている様を見ると、何がゴールかわからなくなる。

ここを歩いて果たして何が見えてくるのか、この段階では見当もつかないのだ。

ベンチがあるな

マスコットの看板の脇に白いベンチがあった。

これって芸術祭前からあったものだっけ?

それともこの芸術祭でシュー・ジェンさんが新たに拵えたものなのか?

どっちかわからないけど… とりあえず座ってみよう。

するとどうだ…

見附島がちょうど正面に見える

いいところにベンチがあるなぁ。

見附島をゆっくり見やすいし、じっくり撮りやすいじゃないか。

これってやっぱり以前から置かれていたベンチなのか、そうでないのか、どちらにしてもここの景観をよくわかっているなと思った。

さらに気づいたことなのだが、この迷路のような「道」を進んでいくと、ところどころで行き止まりになっている箇所がある。

たとえばこんなところや

あんなところ

なんであんな行き止まりを作ってしまうのか、迷い混んで足を踏み入れてしまったら、普通の人ならただ疲れるだけだと思うところじゃないか。

実際、この「道」を歩いている人でその行き止まりに向かって進んでいく奇特な人はあまりいなかった。

デモで歩いた痕跡をトレースしている「道」なのだから、そういう行き止まりもあってたしかに不自然はないが、自分としてはやはり気になってしまう。

そこに行くと何が見えるのか、自分の足で確かめたくなるのだ。

行ってみる

「柵を越えないでください」とも書かれてある。

ちゃんと行き止まりだ。

もちろん越える気もない。

そこから何が見えるのか、確かめたいだけだ。

あ、ここでも見附島

先程とは角度を変えて、見附島が正面に見える。

ここもまた隠れた撮影スポットじゃないか。

うん? ちょっと待て。

もしかして行き止まりになっているところって、どこもこんな感じで鑑賞スポットになっているんじゃないよね?

そんなことが閃いてしまった。

閃いてしまうと…

確認したくなる

こんなところにも行き止まり発見。

そこから見えた軍艦島(見附島)

おお、ここも見晴らしがいい。

看板も入るから何の島かもわかりやすいじゃないか。

ここにも発見

新たな行き止まりだ。

海の方には向いてないけど、ここでもやっぱり…

海側を見る

おお、今度は鐘も入ったじゃないか。

カップルたちが幸せを求めて鳴らす鐘だ。

これもこれで良いアングルじゃないか。

鐘と一緒に見附島を見たいならこの行き止まりに来いと言われているみたいで、なんか変な納得があった。

もう一つ行き止まりがあるなぁ

もちろんそっちにも行ってみた。

ただ、見るからに駐車場側で回りには木も多い。

期待せずにその行き止まりで海側に目をやると…

木々だ

海は見えても軍艦島も見えない。

行き止まりの全てが全て、見附島の鑑賞&撮影スポットというわけではなかったようだ。

でも、この木陰と木漏れ日、これはこれで憩いスポットだったりする。

 

感想

1番南側にあった「出入口」をゴールとする

シュー・ジェン[徐震®]さんの「運動場」、デモで行進した軌跡に思いを馳せながら歩くと、デモという活動(運動)を追体験できる装置のような働きもするんじゃないだろうか?

いかんせん自分は行き止まりを求め、そこから見える見附島にばかり注目してしまったので、「運動場」を「運動(デモ活動)していた場所」ではなく、本当に「歩きまくって運動した場」にしてしまった。

砂利石は歩きづらいし、もちろん柵も一回も越えていないから、行き止まりを求めてただ歩くだけでもいい運動、いや修行のようになってくれた。

全部回って、一番端にあった南側の「出入口」にたどり着いたときには、達成感もあったくらいだ。

出たところでもう一枚

この作品の中で、いろんな「見附島」を見れた。

地震で一部が崩壊しても、その見事さに改めて惚れ惚れしたものである。

色んな角度でその軍艦島を見せてくれて、このシュー・ジェンさんの「運動場」に感謝である。