奥能登国際芸術祭2023の鑑賞旅第一日目、その最後に訪れたのは三崎エリアにあるNo.17の作品だ。
植松奎二さんの「みえないエネルギー 天と地と海との間に」を鑑賞してきた。
第一日目最後の作品
奥能登国際芸術祭2023、開催初日の9月23日に足を運び、その日最後に回ったのがNo.17の作品だった。
この日17つ目の作品でもあり、マイペースでのんびり観る自分でも一日でこんなに回れるんだなと、少々驚きでもあった。
まあ、速い人だと一日で20箇所以上回ってしまうそうなので、自分のペースは遅いほうだと思う。
No.17の作品は三崎エリアの旧本小学校の体育館にあるんだけど、その場所に向かったのが公開時間終了の17時より20分くらい前で少し慌てて駆け込んでいた。
こちらが旧本小学校
そんなものだから、ここに到着するなりすぐに受付を済ませ、作品展示場所である体育館へと向かっているので、この玄関の写真を撮ったのも実は鑑賞し終えた後だったりする。
17番 植松奎二「みえないエネルギー 天と地と海との間に」
17番だ
植松奎二さんの「みえないエネルギー 天と地と海との間に」という作品だ。
注意書きもある。
作品には触れちゃいけないらしい。
さらには会場内を走り回ると危険なので、特に子どもたちには保護者の方々が気をつけましょう、とのことだ。
これだけ読むと、どんな危ない罠が張り巡らされているんだ?と思ってしまった。こう思ったの、自分だけだろうか?
ひとまず受付を済ます
受付を済ますと靴を脱がねばならない。
スリッパに履き替え…
左へGO!
ちゃんと矢印がある。
公開終了まであまり時間もなく、焦る気持ちもあったので、この矢印がなければ迷子常習犯の自分などは逆方向に進んで迷っていた可能性だってある。
曲がってしまうともう奥に体育館
旧小学校なのでそんなに広くなく、体育館にはすぐにたどり着ける。
大人になって小学校に入ると、スケールがこんなに小さかったんだなといつも思ってしまう。
でもなんか、この作品はデカそうだ
体育館の入口に近づくとすでに作品の一部が目に入る。
目に入るその情報だけで、こいつはスケールの大きな作品だなと思わずにはいられなかった。
でかっ!
でかすぎて、体育館の入口からじゃ全体を一枚の写真に収めることができないじゃないか!
体育館の高い天井から地面まで稲妻形に木材が拵えられている。
しかも4つもある。
11月から12月ごろに鳴る、冬の訪れを告げるカミナリ…
石川県ではそれを「鰤おこし」(ぶりおこし)って言うんだけど、その鰤起しから着想を得て作られたインスタレーションなんだとか。
石川県は全国でも雷が多いところで、マジでドッカン、ドッカン、爆弾でも落としたようなすごい音がするので、これくらい大きく作るのも、うむ、納得してしまう。
この倒れた木材たちは?
床にはこのように大きな丸太がいくつか転がっている。
説明書きを読んでみると、長年、珠洲の地で根を張って倒木した御神木もこの作品に組み込まれているというので、これらがその御神木なのだろう。
御神木すらなぎ倒すくらい破壊力のあるデイン系呪文、いえ「鰤起こし」の凄さよ。
壁にはこんなものも
珠洲市の祭りや日々の営みを写した写真パネルも展示されていた。
最近のものではなく、歴史を感じさせるような写真たちだ。
過去の珠洲の記憶を、この巨大な雷たちが呼び起こしてくれているかのようである。
歩きながらこれら写真を見ているとセルフの走馬灯のように目に映るので、雷や御神木の倒木と合わせて、脳に刷り込まれそうな威力がある。
うむ、そんな鰤起こしの巨大な雷をもっと迫力あるものに撮りたい。
そう考えて、あちこちポジションを変えていった…
このあたりはどうだろうか?
四本中3本は入ったし、倒木も収めた。
イカズチで御神木がバッターンと四方に散るように倒れた感じが出ていないだろうか。
雷の破壊力に、地上の人たちはなすすべなし…と。
夜の雷を演出するならこっちから撮るのもあり?
全体的に露出が暗くなってしまうところ(太陽を背にして)撮ると、闇夜を割くような稲妻っぽい雰囲気のものも撮れた気がする。
冬前の夜の日本海がこんな感じだ。暴風で海も荒れまくっている。
そんな風景を、自分などは想起してしまった。
あれ、実際に見ているとなかなか怖い。
カミナリの凄まじさに心もやられてしまいそうじゃないか。
逆に舞台の上から撮ると、自分たちが稲妻を落としているかのよう
やや俯瞰的な、いうなれば神様目線で見た鰤起こしだ。
デイン系呪文を唱えれるドラクエパーティー御一行様目線と言ってもいい。
御神木も吹っ飛んでいるかのようだし、自分が放った雷の破壊力に酔ってしまいそうじゃないか。
うむ、厨二病チックで、なんか、楽しい。懐かしい。
確かに、時空を感じたよ。
感想
鰤起こしの稲妻を模した植松奎二さんの「みえないエネルギー 天と地と海との間に」、デカすぎて撮るの大変、なんて体育館に入った瞬間は思ったけど、撮っていると場所によってそのカミナリも見え方が変わってくるとわかった。
地上から撮るとカミナリに畏敬の念を抱いてしまいそうだし、少し高い舞台の上から撮ると逆にこちらが撃ち放って地上を壊滅させているかのようで、なかなか遊べる。
自分は一人で撮っていたのでできなかったが、誰かと来ている人なら、「カミナリにやられている人」「カミナリを放っている人」「カミナリにひれ伏している人」など「人」を入れても楽しそうである。
カミナリ、近くで見るとこんなものが飛び出ている
これは確かに、ぶつかると危ない。
楽しいけど、この体育館内で走り回るのはやはりやめたほうが良い。
ケガなんかしたらつまらないからね。
もちろん自分もケガはなし。
能登国際芸術祭2023の鑑賞旅第一日目、無事に終えることができて良かった。
次回からは「第二日目」をスタートさせます。