初心の趣

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奥能登国際芸術祭2023を地震に負けず回る第一日目その2(スズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」)

9月23日(土)より珠洲市で始まった奥能登国際芸術祭2023へ初日より足を運んだ。

第一日目、2つ目に回ったのは作品番号順のNo.2「スズ・シアター・ミュージアム」だ。

前回の2020+でも鑑賞しているそこへ二年ぶりに足を運んできた。

 

 

二年ぶりの旧西部小学校

一番最初に行った作品No.1塩田千春さんの「時を運ぶ船」の次に向かったのは、作品番号でも次に当たるNo.2「スズ・シアター・ミュージアム」だ。

こちらは2021年の奥能登国際芸術祭2020+より登場し、今回も引き続き公開されることになったところだ。

場所は外浦沿いの旧西部小学校の体育館。

珠洲の大蔵さらえ」プロジェクトで珠洲市内の家々に眠っていた生活用具を収集し、それらを一堂に集め、8組のアーティストによって作品として展示されていた劇場型民族博物館だ。

規模が大きく、全て見て回ると自分のゆっくりペースでは半日かかったような記憶があるので、前回と変化がなければ今回はさらっと観ていくつもりで向かった。

到着

前回の2020+のときは、ちょうどコロナ禍のさなかに開催されて、作品鑑賞するにはまず検温スポットで検温等をしなければならず、この旧西部小学校もそのスポットの一つだったから、運動場の時点で混雑していたのを覚えている。

今回2023ではそんなことはしなくていいので、ご覧のように混雑のないのんびりとした景色であった。

そういえば、前回は体育館前に出店も並んでいたね。それもないものだからより静かである。

外観を見る限り、大きな変化はなさそうだなと思ったのだけど、右端のほうが少し変わっていた。

なにか、電飾が見えるのだ。

こんな装飾、あったっけ?

自分の記憶ではなかったはずである。

ガイドブックを観ていると、「キギ」というユニットが「スズ・シアター・ミュージアム」の新たなロゴを作ったそうなのだ。

それをこうして電飾にして建物にも描いているようである。

間違いなく、夜に来ると光るやつだ。

今回は夜にも来いってことか…

残念ながらこの日は夜に行けなかったけど…

 

2番 スズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」

2番だ

作品看板にスズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」と書かれてあったので、便宜上、そう記すことにする。

中が変わっていなければ8組のアーティストによる作品が展示されているはずである。

こちらが入り口

入口の場所も変わっていない。

前回はここまでたどり着くのに随分と並んだが、今回は朝も早かったからか、すんなりたどり着けた。

戸のそばには「光の方舟」の文字

「光の方舟」は「大蔵ざらえ」で集められ展示されている生活用具に新たな音風景を与えた演出のことだ。阿部海太郎さんが担当していた。

劇場型民族博物館と言われるように、音と、プロジェクションマッピングを使って展示物が演出されたりもしていたのだ。

そんな劇場型空間そのものを「光の方舟」と呼ぶんじゃないかと、自分などは解釈していたものである。

入り口を入って右手に受付があり、そこでスタンプを押してもらえる。

入ってすぐに気付いたことは、前回より受付回りが暗いということだった。

通路の展示物も…

蓋がされてほとんど見えなくなっていた。

体育館に入ってみても本当に暗く、ボランティアの方に「暗いので気をつけてください」と、順路へと誘導されていた。

その順路も、2020+のときは大きなキリコがライトアップされていたのに、まるで見せないかのように照明を落としていた。

頑張って切子灯籠を撮影

く、暗い…

ピント、合わない…

まあ、でも、それもそのはずで、自分が中に入ったときには「光の方舟」の音風景の演出が、体育館中央で行われている最中であったのだ。

演出中だったのね

この中央は舞台のようになっていて、観客席も設けられている。

自分は急いで階段を登って、観客席に腰を下ろすことにした。

その観客席には、お客さんが結構いた。

観客席から撮影

前回も観た「光の方舟」の音と光の演出だけど、やっぱり観てしまう、聴いてしまう。

後方の昔の家電たちも音に合わせて光だす

むかしの白黒テレビにも映像が流れていたりする演出がエモくて個人的に好みだ。

雪のようなものも降る

舞台は海の底をイメージしている(はず)ので、正確には雪ではないのだけど、海底に何かが降っているあの景色は、どこか寂しいものがある。

暗くなると、特に寂しくなる

眠っていた民具たち、言ってしまえば忘れ去られていたわけで、それらにひとときでも光を当てたことは救いのようにも感じるし、ノスタルジーも刺激されるけど、ひとときなんだよなと思うと、やっぱり寂しくなってしまう。

芸術って儚いね。

これが、民具が別の生活用具に再利用されましたってことなら、そんな寂しさもなく、日常の中に普通に溶け込んでいたんだろう。

芸術が、ちょっと残酷にも思えた瞬間でもあったりした(個人の感想です)。

ちなみに演出が終わるとこれくらい明るくなる

なんか、ホッとする。

民具たちも、リラックスしているように見えてきた。

終わったあと、アーティストの方々の挨拶も

芸術って残酷、なんてことを思いながらも、こうして作り手の人たちの顔を見ると、この人たちの営みも見えてきて、そしてそれらが民具たちにもリンクしてくるので、結局、芸術って人の営みと深く関わっていて、やっぱりいいもんだよな、との感想を抱いてしまうのだった。

二年ぶりに観れて、良かった。不思議なデトックスがあったよ。

 

個々の作品をちょっとだけ(橋本雅也「母音/海鳴り 海雲」)

このスズ・シアター・ミュージアムでは8人のアーティストによる民具を使った作品も前回に引き続き展示されていた。

前回と同じなようだったので、それらはサラッと見て回り、撮影も控えめにした。

2020+のときにたっぷり撮って、記しているからね。

2020+のときのスズ・シアター・ミュージアムの記事はこちら

今回は、こういうのだけ撮影

暗くて撮影するのが難しかったものを、リベンジするように撮っていた。

あまり上手くは撮れなかったが…

リベンジといえば、前回オートフォーカスが働かずまともに撮れなかった橋本雅也さんの「母音/海鳴り 海雲」の撮影にもトライした。

これらがそれ(橋本雅也さんの作品)

前回からこの2年で、暗すぎてオートフォーカスが働かないときは、オートフォーカスを敢えて切ってピントを合わす術をそれなりに覚えたので、ぼんやりとながら撮れた。

まだまだ練習中の自分にはこの一枚が限界であったが…

それでも撮れただけ、良かった。

 

感想

スズ・シアター・ミュージアム、基本的な展示物、演出は2020+のときと変わりなく、観終わったあと、帰ってきたなという安堵のようなものがあった。

なんなら、民具の数が減っていたんじゃないかと思ったくらいだが、そのあたりはどうなんだろうか?

なお、このスズ・シアター・ミュージアムでは、あの世界的なダンサー・田中泯さん(朝ドラの『まれ』にも出演していた方)の「場踊り」という舞台が9月22日、23日、24日の計3回、19時より行われていたんだけど、別料金のそのチケット、芸術祭が開催される前に、事前販売で完売していました。

田中泯さん、観たかった…

体育館を出たあとに見つけた机と椅子

しょうがないので、海でも眺めるか…

いや、これはこれで、きれいだ…

心が洗われたよ。