初心の趣

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奥能登国際芸術祭2023を地震に負けず回る第一日目その5(スズ・シアターミュージアム分館「大蔵ざらえ収蔵庫」)

能登国際芸術祭2023の大谷エリアにある旧西部小学校を使った「スズ・シアターミュージアム」には今回、分館があった。

作品スタンプラリーにもそれ専用の枠があったので、もちろん足を運んできた。

 

作品スタンプラリーで見つけた「02-2」

能登国際芸術祭2023でスズ・シアターミュージアムのある旧西部小学校を回り終えて一つ気になったことがあった。

鑑賞パスポートの作品スタンプラリーを見てみると、そのミュージアムの枠が二つあるのだ。

「02-1」と「02-2」の二つある

旧体育館を使った「光の方舟」を鑑賞したときに「02-1」の方にスタンプを押してもらえた。

では「02-2」の「分館」ってどこにあるのか?

それが気になった。

てっきり旧西部小学校の敷地内の何処かにあるものだと思っていたのだけど、それらしきものがないのだ。

仕方なくスタッフの方に聞いてみると、旧西部小学校(丘の上にある)の坂を下りてすぐの交差点を曲がった先の「旧大谷保育所」にあるというのだ。

ということでやってきた

写真は「02-2」の駐車場前で撮っている。

写真奥が外浦で、国道249号線があり、そこからこちらへやってきている。

駐車場から少し戻ると…

保育所のような建物が見えてくる

運動場らしき広場もあるし、ここに違いないだろうと曲がってみると…

あった…

旧「大谷保育所」だ

入り口だけ、新しく塗られた感じがある。

入ってみると受付も設けられていた。

 

2-2番 スズ・シアターミュージアム分館「大蔵ざらえ収蔵庫」

受付でスタンプも押してもらえた。

そういえば作品看板はなかったような気がする。

自分が撮り忘れただけなのかもしれないけど…

受付のある玄関フロアにはモニターも

2020+のとき珠洲市の家々を回り民具を集めた「大蔵ざらえ」のドキュメンタリー映像が流れていた。

この旧大谷保育所、その「大蔵ざらえ」で集め、スズ・シアター・ミュージアム内に展示できなかった民具たちが保管されている収蔵庫なのだ。

以前からずっと収蔵庫として使われていたようで、今回2023で展示公開も行われるようになったようだ。

玄関入った所から民具が置かれている

こんな具合に収集された民具たちが不規則に並べられているのだ。

廊下を見ても…

洗面台にはなにやら木板が立て掛けられているし、旧教室と思われる部屋の窓からは古い釜のようなものが溢れているし、収蔵庫でありながら、ただの収蔵庫では収まらない何かを感じさせる。

では見ていこう。

なんじゃこりゃ

見ていこうと進みだしたら、いきなり獣の毛皮に遭遇。

これも珠洲の民家からさらって来たものなんだよね?

どこで捕まえたものなんだろうか?

この毛皮ができるまでの経緯なんかを知りたくなってしまう。

勝手に想像しても楽しい。

これまた、なんだ?

漁で使う道具なのか、それとも裁縫道具なのか、はたまた…

木の劣化具合から昭和初期のものだと推測するけど、果たして何の道具なのかさっぱりわからない。

わからないけど、わからないなりに想像力が膨らんでくるので、分からなくっても見ていて楽しくなってくる。

部屋に入ってみるとラックに置かれている民具たち

わかりやすいように札もつけられていた。

それにしてもどういうカテゴリーで分けられているのか、謎な収蔵の仕方をしている。

瓶もあれば着物もあり、チェロのような楽器もあれば同じラックに糸巻き機のようなものも。

この乱雑な置き方が

むしろ面白い

なんかね、庶民の家の中や、蔵の中を見ているようで、なにか安心するんですよ。

これが「スズ・シアターミュージアム」内のように配置を計算し尽くされて、インプレッションの最大化みたいなことをされていたら、もはや収蔵庫じゃないですからね。

この舞台の裏側を見ているような、オフのときの楽屋を見ているような、飾られていない素の表情の民具たちに親近感と懐かしさを覚えてしまう。

まあ、中にはこんなアーティスティックな置き方もされてますけどね

この部屋だけ見たら、民具たちがゾンビ映画に登場する無数で襲いかかってくるゾンビたちのようにも見えてきたよ。

これはこれで迫力あって、遊び心もあって、楽しい。

 

感想

スズ・シアターミュージアム分館の「大蔵ざらえ収蔵庫」、The・倉庫って感じがすれば、出番を控える楽屋のようでもあり、はたまた出番はないのに自分たちだけでゾンビ映画を作っちゃいました!といったB級映画のようなノリまで感じられたりと、穏やかな空間でありながら、想像力がたくましく膨らむ愉快な場所であった。

受付のあるフロアでは子どもたちが遊べるスペースも

倉庫を見せられてもキッズたちにはわかりません!だったら想像力をわかりやすく膨らませてください!

と、ばかりにブロックおもちゃ等々がテーブルに置かれていた。

これも、大蔵ざらえで家々から集めてきたものだろうかと思うと、それはそれで大人目線、アート目線では、「そんなキッズたちとも民具でちゃんと繋がっているんだよ」とのテーマも垣間見えるようで胸熱なものがある。

なお、後になって知ったことだが、ワークショップスペースでは民具の新しい活用法や手入れの仕方なども学べるんだそうだ。

大人だって学びたい。

博物館って学びの場なんだと改めて思う。