7月の最終土曜日に能登島で「向田の火祭」が行われていた。
久しぶりに行ったそのお祭りで、初めて三脚を持ちこんでみた。
数年ぶりに向田の火祭へ
毎年7月の最終土曜日に能登島の向田で火祭が行われる。
自分自身、何度か足を運んで当ブログにも記事にしていたが、コロナ禍が続いたここ数年の間は見に行けずにいた。
今年、その情勢もだいぶ変わったので、久しぶりに行ってきた。
しかも、先日、カメラ所持7年経ってようやく三脚を手に入れたので、初めてそれも持ち込んでみた。
向田の火祭では手持ち松明を地元の方々が装備して大松明の周りを歩く瞬間があるので、そのときにシャッタースピードを下げて撮影したくなったのだ。
三脚、デビューである。
ということで神社に到着
向田の火祭はこの町に鎮座する伊夜比咩神社(いやひめじんじゃ)の夏祭りなので、19時すぎに神社に向かったらキリコが待機していた。
このお祭りは能登地方のキリコ祭りの一つでもあるので、奉燈(キリコ)も動き出す。
流れとしては、神社で神事を済ませたあと、大松明が設けられた崎山広場へ神輿とともに向かい、そこでもキリコの奉納、神事を終えて、大松明に火が入れられことになる。
キリコの動きも追いたいところだけど、それらは過去に何度も目にしているし、今回の目的は三脚を使って手持ち松明の情景を撮ることだったので、この日の自分は神社の奉燈を尻目に広場へ向かった。
キリコが動き出して広場へ向かう一連の流れに関しては過去の記事を参考にしていただきたい。
(数年前に記した向田の火祭の記事は→こちら)
(台風が来ても火祭を行っていたときの記事は→こちら)
手持ち松明をシャッタースピードを下げて撮りたい
崎山広場へ先回りしてみると、すでに大松明のまわり(敷かれた境界線の外側)にカメラマンが何人も場所取りをしていた。
そのほとんどが三脚を持って待機していた。
自分は三脚を持ち込むの初めてだったので、なんか緊張した。
試しに月を撮ってみた
うお、雲がブレる。
三脚の上に乗せてカメラを固定しシャッタースピードを下げて撮ることで光を沢山取り込めるので、動かない月はこれだけ明るく撮れるけど、風で流れていた雲は、こんな絵画的な、言い換えるとブレたような画になってしまう。
キリコも広場にやってきたので大松明と撮影
こちらも三脚に乗せてシャッタースピードを下げて撮っている。
ちょうどキリコの動きが停まっていたときを狙ったので、奉燈の明かりが先程の雲のようにブレたようにはなっていない。
ISO感度も下げているので、画のノイズも少なく、くっきりだ。
三脚を使わずに撮ろうとすると、手ブレしないで撮れるシャッタースピード(SS)の限界は50分の1秒だと思っているので、三脚を使い、それよりも遅い1秒近いSSでくっきり撮れたことが、ただそれだけのことが自分にはちょっと感動だった。
なお、被写体が動いているのに三脚で固定しSSを下げて撮ろうとすると…
こうなる
キリコが動いているときに撮ると、奉燈の明かりが残像のように伸びて一枚の写真に収まってしまう。
なんだこの写真は!と、注意されようなものだけど、手持ち松明に向けてこれをやると、残像がむしろキレイに見えたりもする。
今回、それを撮りたいのだ。
そうこうしていると神事も終わり松明に火が
大松明の周りには小さな松明がいくつか設置されていて、まずそれらに火がつく。
その火を主に地元の方々が手持ち松明に移し大松明の周りを周回することになる。
そうして最後には手持ち松明を一斉に大松明に投げ込んで大松明にも火を入れるのだ。
すぐ近くの小松明でも動き出した
地元の方々が手持ち松明に火を移して動き始めたので、これも三脚の上でシャッタースピードを下げて撮った。
この遠くから撮った画だけでもわかるかと思うが、手持ち松明の火が、空中で水飴のように伸びて写ってくれる。
これをもっと、幻想的に、いい感じに撮りたい。
撮りたい
撮りたい!
撮りたい!!
う~む、火の精霊サラマンダーが召喚されて、動き出して、暴れ出したようにも見えるじゃないか。
構図的にもっと工夫したいところであるけど、とりあえず手持ち松明をシャッタースピードを下げて撮りたいとの願望は果たした。
今年は豊漁
大松明に火を一斉に投げ込む瞬間もSSを下げて撮影
これは、幻想的というより、本当にサラマンダーが襲いかかっているようにも見える。
もしくは、なんか、魔女狩りのような怖さもみえてしまう。
襲撃している感が出るね。
ドラマのワンシーンみたいじゃないか。
燃えたぁ
この大松明に火がつくと、もうそれだけで明るい(ついでにいうと熱い)のでシャッタースピードを下げなくても光量多めに撮れる。
それでもせっかく三脚を持ち込んでいるんだから、SSを下げて撮ったらどんな画になるかを試してみた。
試したら、こうなった
眩しい、炎が眩しい…
撮りながら思ったことはこれなんだけど、見てはいけないものを撮っているような感覚があった。
いやぁ、炎が伸びる伸びる。
発光するエレメンタル系の生命体みたいになってくれるじゃないか。
別の言い方をすると、やはり絵画的。
絵の具で塗ったみたいに色が伸びている。
三脚使うとこんな感じに撮れるのか。
ちなみに今年は海側に倒れました
SSを下げた状態でファインダーを覗いていたから、倒れる瞬間を連写することはできなかった。
倒れるとき、ほんと、あっという間に倒れる。
今年は海側に倒れていたので「豊漁」だ。
山側に倒れると「豊作」と言われている。
この大松明、そんな占いの要素もあるので、ただ燃やしているわけではない。
なお、この倒れたあとの炎もSSを下げて撮ってみると…
閃光系の呪文のようになる
ドラクエで言うとギラみたいなものだ。
ギラが襲いかかってくるようじゃないか
これは、ちょっと明るすぎるだろうか。
比べて普通に撮ると…
炎に立ち向かう英雄たち
そんな感じの画になる。
なんでもかんでもシャッタースピードを下げて撮ればいいというわけじゃなく、どう魅せたいかで使い分ければいいということが、改めてわかった。
三脚、楽しい。
感想
以上、向田の火祭にて、手持ち松明をシャッタースピードを下げて撮ってみた。
思った通り、炎が水飴のように伸びてくれたのが面白かった。
手持ち松明だけではなく、大松明も三脚を利用して撮ってみると、これまで撮ってきたものとは写り方が違うので、これまた楽しかった。
三脚、いいね。
撮れる写真の幅が一気に広がったので、イメージや妄想(撮りたいもの)がどんどん膨らんでくる。
なんで7年もの間、三脚を買わずにいたのだろう… と、今更のように後悔もしたくらいだ。
でもまあ、性格がのんびりなので、これくらいの成長速度が自分には合っているのかもしれない。
今後も少しずつ三脚で遊びたいものである。
帰り際にキリコを撮影
こちらは歩きながら撮ったので三脚を使わずに撮影している。
これだけ暗くなってしまう。
奉燈もしっかりと三脚を使って撮ってみたら、もっと明るく、キレイに撮れるはずだ。
今後、それらも試していきたい。
今回、三脚デビューできて満足だ。
向田の火祭、ありがとう。