初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

富山県新湊の海王丸パークに行って船の中を見学したらちょっとした探検みたいだった<中編>(ダンジョンのような船内へ)

間に別の記事を挟んだが海王丸パークの船の中を見学した話の続きだ。

船内の居住区の方を記したい。

 

 

ウェルデッキへ

前回は海王丸の船首までを記したので、その続きを記したい。

前編の記事はこちら

フォアーマストを見上げてそのままデッキを順路に従って歩いていくと、前編で記したブリッジの下のあたりを通ることになる。

ブリッジを見上げながら

いわゆる「ウェルデッキ」(一段くぼんでいるデッキ)を歩く。

関係者以外入れない階段などもあって、制限もいくつかあるものの、見れるものも多い。

その一つに、子供の頃にガンダムを見ていた者にはちょっと刺さるものもあった。

ハッチだ

よく宇宙戦艦のクルーが「ハッチを開けろ!」なんてセリフを言っていたけど、そのハッチだ。

「倉口」と書くみたいだ。

要するに倉庫に荷物を入れるときの搬入(出)口のことだ。

モビルスーツが飛び出すだけの出入り口じゃないのだ。

しかも海上の船ではコレ

口が上を向いている。

本当に物品を積み下ろすための開口部でしかない。

知らなかった… でも勉強になった。

でも宇宙戦艦だと、こっからプチモビくらいは出てきそうでならない。

そういった想像力も膨らむ。

こちらは「ウィンドラス」

重さ2.4トンの大錨を上げたり下ろしたりする機械だ。

これは海上用の船らしい装備だ。

港に停泊する際に下ろしたりするわけだけど、伝声管で連絡を取りながらというのがツボる。

いつの時代もデカいものを安全に動かすためには、連絡の取り合いが必要なのだ。

なんだこれは

このデカくて怪しい筒はなんだと思ったら、通風筒だった。

キセルの形をしているから「きせる型通風筒」と呼ばれているそうだ。

船内の換気のためにある。

ビームとかが発射されるわけではない。

なんでもこれ、筒を回すことができるそうで、風向きに合わせて通風口の向きを調整するそうなのだ。

やはり兵器のようにも見えてしまう。

その後ろのウェルデッキへ

ウェルデッキにはこのように帆船海王丸のむかしの航海中の写真が展示されてあった。

これを見ていると、甲板を椰子の実で磨いていたり、船上で餅つきをしたり、茶道班というものがいて外国人と交流していたり、陸の上からでは知らなかったことが知れる。

ちなみにこれが椰子の実

毎朝、木甲板清掃作業を行っていたようで、甲板を水で濡らして砂をまいて椰子の実で磨いていたんだとか。

実際に触ってみたけど、まあまあ硬い。

ビレインピンの展示も

ロープを止める棒のことをビレイピンというそうで、木製や金属製(真鍮製)が使われているそうだ。

こんなの初めてみた。船のことを知らないのだから当たり前だけど、知らないことばかりだ。

ロープの摩擦力を利用しているっていう点が目からウロコで、そんなものでも止めることができてしまうのだから物理って面白い。

ちなみに一番右端のものは「リグナムバイタ」という木材の中で最も堅いものでできているらしい。

そんな物があるんだね… 勉強になったよ。

こういったものが展示されているウェルデッキでは、航海中には洗濯場所にもなっていたようだ。

貴重な清水を節約するために洗濯は週に一回だけ行われていたんだとか。

毎週土曜日の午前中にだけ行われていたらしい。

洗ったものは甲板にロープを張ってそこで干していたんだとか。

船の上って非日常だよなと、つくづく思う。

 

地下ダンジョンのような船内へ

ウェルデッキを進むと次の順路の案内が現れる。

こちら

実習生居住区のある「船内」に行けるようだ。

船内だから扉を開けて入っていくものだと思っていたら、図によると階段を降りていくことになる。

階段って、どれだ?と矢印の先に目をやると…

どうやらこれのようだ

階下、暗っ!

怪しすぎて、にわかに地下ダンジョンにしか見えなくなってきた。

探検じゃないか。

「順路」すら怪しく見えてくる

なんかモンスターとかいるところに誘われている気もしてくる。

気分はトルネコだ。

降りてみると結構明るい

実習生居住区に降り立つと普通に明るい。

すぐ目の前のメインマストもこのとおり

くっきり見える。

マスコットキャラクターの「カージくん」をさがせ!!の説明書きも貼られてあった。

探せ!!って、やっぱりダンジョンに思えてくるじゃないか。

この居住区には16の居室があり、そのいくつかは扉が開いていて、中を見学することもできた。

この部屋、入れます

実習生居室だ。

すべての部屋へと入れるわけではないが、この部屋は開放されていて見学できた。

狭い船内のさらに狭い居室なのでベッドが置いてあるくらいだ。

しかも4人分。こんなところで何ヶ月も暮らすって人によってはかなり苦痛だろう。

典型的なB型人間にはキツイものがあるかと思う。

ま、慣れたら慣れた、なんですけどね。

B型の自分が言うのだから間違いない。

でも、当時の実習生からしたら、海という大自然を相手にしているので、この部屋が一番落ち着ける場所だったそうだ。

自然、恐るべし。

引き出しまで開けて見る自分

開いちゃったんだから仕方がないだろう。

興味本位で見てしまうのだよ。

もっとも、中は空でしたけどね。

富山だけに、異空間につながっていてタイムトリップできる、なんてこともありませんでした。

次の順路はこちら

居住区の真ん中あたりになにやら展示されているものもある。

近づいてみてみると…

航海日誌等々だった

むかしの灯台表やら天測暦やら潮汐表やらが展示されていた。

当時の記録だ。

毎年刊行されたものもあれば、日誌のように自分たちで書いたものもある。

資料として読むとそれだけで当時の景色が思い浮かんでくるような気がしてくるから不思議だ。

自分、こういう資料を読むの結構好きなので、この場で立ち止まってしまった。

早足で回らなければならないなんてことも忘れてしまっていた。

入れないけどこんな部屋もあったようだ

第2教室と工作室もあったようだ。

工作室でどのようなものを作られていたのか気になるところである。

見学できないのが悔やまれる。

ロープの結び方特集

順路を進んでいるといろんなロープの結び方が展示されていた。

自分はボーイスカウトとかの経験がないので、こういう結び方だとかロープを操る術をまったく心得ていない。

そのため、こういうのも気になってしまう。

結び方が展示されているのを見ると、帆船ってロープとその結ぶ力で帆を広げているんだよなと改めて思い知らされる。

こういった事がわかっていないと、帆船には乗り込めないわけだ。

展帆ボランティア名簿というのもあった

この海王丸の総帆展帆の日の展帆はボランティアの方によって帆を広げられているという。

その方々の名前もこのように展示されていた。

ここに載っている方々は先程のロープの知識もしっかり心得ている人たちということだ。

自分には猛者集団の名簿に見えてくる。

このあと、順路に従って奥へと進んだ。

 

機関室へ

奥の通路に進むと…

なんかちょっと薄暗いところに入った

物々しい雰囲気が漂うではないか。

それまでの穏やかな船内見学から急にダンジョン感が増してきた。

奥にはいけないようで、右に曲がれと「順路」は言う。

曲がった

曲がったら機関室が現れた。

補助エンジンや発電機などがある、船の心臓部とも言える場所なんだそうだ。

心臓、英語でいうと「heart」だ。肉の部位で言うと「ハツ」だ。

パイプ

色んなところにいろいろと供給しているのだろう、パイプが多い。

こういうところも心臓っぽい所以なのだろう。

防護ネットと安全第一

この機関室、見学はできるものの、機械には殆ど触れられないようになっている。

通路もこのように安全用のネットが張られていて、落下しないように、また勝手に下に降りたりしないようになっている。

練習船としての現役は引退しているとは言え、生きている船だということなのだろう。

毎年定期検査も受験しているという話だし、心臓部は触れないわね。

ちなみにこんな配置になっている

機関室の配置図だ。

さっぱりわからない。

ネットの奥には機械それぞれの説明も書かれている

さっぱりわからないので、これらを一つ一つ見て学ぶしかない。

忘れないように一つ一つ写真にも撮った。

そんなことをしていたものだから、早足で回るなんてことはまったくできていない。

 

ミズンマストと調理員室

機関室を抜けると、次にはこんなものが見えた。

ミズンマストだ

船首から三番目のマストだ。

他のマストもそうなんだけど、こうして船内にも貫通しているのが面白い。

このミズンマストのあるところから次の順路に進むと…

この通路に出る

道中、面白い仕掛けがあって、ある一室でマスト頂上に登った体験ができるところがある。

ここだ

3Dでマスト頂上にいるかのような体験ができるそうなのだ。

もちろんインした

このようにマストの頂上にいるかのような景色を拝める。

3Dを2Dで撮っているものだから臨場感は伝わりにくいが、浮遊しているような感覚がある。

立山連峰も望める

マストの頂上から立山連峰を望むとこんな感じなようだ。

これを見ていると、実際にマスト頂上に登ってみたくなった。

総帆展帆の日に展帆のボランティアをされている方々(先程の名簿の猛者の方々)はこういった景色を目にできているんだろうなと思うと、羨ましくなったし、だからこそ猛者だなと改めて思った。

ちなみにフォアマストとミズンマストの頂上の景色らしい

ミズンマストを登っていけば見れるわけだけど、自分はいま逆に下の方にいるので、天空の塔へと続くダンジョンをいま攻略してるような心地になってきた。

なお、この部屋のある通路だが、調理員室のある区域でもあった。

調理員室だ

中には入れない。

実習生の部屋と作りは似ているが、ちょっとだけグレードが高そうに見えたのは自分だけだろうか。

奥にソファーもあるし、画も飾られているし。

実習生と比べると調理員は普通船員となるようなので、そりゃ多少グレードアップしていても不思議ではないのだろう。

ただ空調がないので、天井に扇風機が設置されていたそうだ。

 

病室と食堂と愛むすび(回復エリア)

調理員室のエリアをさらに進むと、看護長室なるものがあった。

こちらの部屋

テレビが設置されていて、海王丸関連の動画が流されていた。

とても昔の帆船の一室には思えない。

入ってみよう

どう見ても海王丸のキャンペーン室のようだけど、看護長室だ。

船医は遠洋航海のときしか乗船しないそうなんだけど、看護長は常時乗船して乗組員や実習生が病気や怪我をしたときにお世話をしていたそうである。

いい部屋だ… キャンペーン感が強いけど…

同じ通りには病室もあり

病気や怪我をしてしまった乗組員や実習生のため3台のベッドがある。

看病しやすいようにどれも一段ベッドだ。

ドラクエの宿屋のように見えてくるのは自分だけだろうか。

その隣には診察室も

ドクター(船医)がここでけが人や病人の処置をする。

盲腸の手術もおこなったことがあるというんだからすごい。

ドラクエ的には解毒や呪いも解く教会のようなところじゃないかと、自分などは思う。

ちなみに診療時間はこのとおり

船内でも診療時間がちゃんと決められていたんだね。

これを見ると、船内って小さな町のようにも思えてくる。

同じ通路にはさらに食堂もあった

こちらは機関部の乗組員の食堂だったところだ。

長いテーブルが置かれていて、娯楽室の代わりや仕事の打ち合わせにも使われていたという。

ロープがしてあって入っていけないけど…

中を覗き込んでしまう自分

食べずには探検もできん!

そんな声が聞こえてきそうだ。

どうしてもこういうのに反応してしまう自分

なんだこの首だけの木彫りの熊は…

撮ってしまうじゃないか。

なんかエロい目をしている。

その右隣の「2%ホーサン水」と書かれた一升瓶も気になる。

何に使っていたんだ?

さらにさらに左隣には横山光輝三国志』も並んでいるじゃないか。

中学生の時、図書室にこの漫画が置かれていたので、毎日昼休みに読みに行っていた思い出がある。

全60巻。3周くらいしていたと思う。

そんなもので、自分、精神的に癒やされたよ、この部屋で。

許されるなら部屋内の長椅子に寝転がって読みたかったよ。

治療もされて腹も満たされ、精神も癒やされる…

なんだこのエリアは… 慰安ロードか?

さらにいうと、診察室と食堂の間にはこんなものもあった。

「愛むすび/愛鍵」の部屋

<前編>で乗船前に記した假屋崎省吾さんプロデュース「愛むすび/愛鍵」という錠前と鍵を掛けていけるところだ。

船内にその部屋があると書かれてあったが、ここにきてついに到着したのだ。

愛むすびや愛鍵を買ってないし、なにより一人でやってきていてまったく自分には無縁だけど、なんか興奮した。

ちなみに部屋はこうなっている。

ドォーーン

薄暗い部屋だけど、愛が眩しいよ。

ここで契を固めた恋人たちはHPやMPが全回復して、さらには新しい特別な呪文や特技も習得したことだろう。

ダンジョン内で見つけたレベルアップイベントエリアだと思う。

 

後編に続く

この<中編>でも文字数が5000文字を超えてしまったので、続きは次回に持ち越したい。

後編では、ダンジョンも最終ラスボスエリアへ。

そして「愛」を鳴らしたい。

 

後編は→こちら