初心の趣

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富山県新湊の海王丸パークに行って船の中を見学したらちょっとした探検みたいだった<前編>(船首へ)

先月も足を運んだ富山県射水市の新湊へ、8月に入って再び行ってきた。

新湊には「海王丸パーク」というかつての商船練習船である帆船海王丸が歴史海洋博物館として展示公開されているエリアがあり、以前よりじっくり見学したいと思っていたからだ。

しかも、年に数回、総帆展帆と呼ばれる帆を広げる日もあるというので、その日に合わせて足を運んだ。

 

 

恋人の聖地海王丸パーク

富山県射水市新湊には7月にも足を運び、日本のベニスとも呼ばれる内川の景色を紹介した。

内川の写真の記事はこちら

そのときにも足を運んでいるのだけど、新湊にはほかに「海王丸パーク」という観光スポットもある。

商船学校の練習船として昭和5年に進水し、いまでは役目を終えてしまって博物館となっている帆船「海王丸」を中心とした公園だ。

海に常時停泊していて、お金を払えば乗船して中も見学することができる。

7月に足を運んだときは船を外から目にしただけで中には入らなかった。

この海王丸には年に数回、総帆展帆(そうはんてんぱん)という帆を広げた状態で展示される日があるので、どうせならその日に乗船してみようと思い立ったからだ。

ということで、今年6回目の総帆展帆が行われていた8月21日(日)に行ってきた。

地図はこちら

海王丸」という名前でグーグルマップにも載っている。

海上を指しているのは常に海の上にいるからだ。

到着

パークに着くとさっそく目に入る船。ご覧のように海の上にいる。

後ろに見える大きな橋は新湊大橋だ。

この日は、あいにく天気が良くなく、ずっと灰色の雲が空を覆っていた。

しかも総帆展帆の日だって言うのに、総帆が展帆しておらず、半分くらいの帆しか広げられていなかった。

自分が想像していた画とはだいぶ違っていた。

ここ、「恋人の聖地」にも認定されている

海王丸が初めて進水したのが昭和5年の2月14日、つまりバレンタインデー(この時代にはそんなハイカラな記念日はなかったと思うが)なのだ。

そんなことから恋人の聖地になり、このようなオブジェも置かれている。

こうして一緒に同じフレームに収めて撮っていると、ハート付き舵輪のオブジェを回すことで海王丸が操縦できるシミュレーターゲームのように見えてしまうのは、自分だけだろうか?

中学生時代にゲームセンターによく行ったなぁ… むかしゲーセンで目にした「電車でGO!!」の船バージョンがあってもいいじゃないかと思う自分がいるのであった。

いかん、脱線してしまった…

 

見学しに船に乗り込む

近づいてみる

近づいてみるとわかるその大きさ。

全長で97メートル、型幅12.95メートル、メインマストの高さが46メートルもあるので、巨大な乗り物を見慣れていない自分などには怪物に思えてくる。

桟橋を渡って乗船口へ

見学のため乗船するにはこの桟橋を渡って受付(券売機)でチケットを購入する必要がある。

大人は400円。

小学生は通常200円なのだけど、総帆展帆が実施されている日は無料になるようだ。

受付ではほかにもグッズなんかも購入できる。

こういったものも売られている

假屋崎省吾さんプロデュース「愛むすび/愛鍵」という錠前と鍵(×2)が売られていた。

2つの鍵がないと開かないものなのだろう、恋人の聖地ならではのものだ。

この「愛むすび/愛鍵」を船内のある一室にて取り付けることもできるようである。

他にもこんな看板が

これによると総帆展帆が約2年ぶりで、さらに新たに導入した安全保護具を使いこなせるようになるために、現在は習熟期間としているようで、そのために全部で29枚のセイルの内、半数程度しか展帆していないようである。

帆が全部広がっていないのはそういう理由のようだ。

そういうことなら気持ちを切り替えて、中を見学することに集中しようじゃないか。

結構お客さんがいる

完全な総帆展帆ではないにしろ、小学生は無料になる日でもあるので子供連れを中心にカップルやカメラを抱えた人たちが乗船していた。

自分も400円でチケットを購入し受付へ。

この日は総帆展帆の日なので時間には気をつけなければならなかった。

というのも、午後2時には展帆が終了し、帆を畳む作業が始まってしまうので、それまでに見て回る必要があった。

自分がチケットを購入したのが昼の1時前だったので、1時間とちょっとしか時間がなかった。

美術館とか行くと一つの展覧会で1時間、2時間平気でいる自分だ、今回は早足必須だなと気を引き締めるのだった。

乗船はこちらのスロープから

早足を心がけた自分だけど、慌てると滑りそうなので、ここはゆっくりと登っていく。

船って、殆ど乗ったことがないから、なんか緊張してしまう。

乗船だ

甲板って木製なんだね。

船によって違うとは思うけど、乗船経験の浅い自分なのでそういうところから新鮮だった。

 

前部航海船橋

乗船してからの景色

これが船の上か…

これが海王丸か…

降り立ってすぐにそんな感慨がこみ上げてきて、しばらくマストを見上げてしまった。

早足で回らなければと思っていたのに、早々にそれも忘れてしまっている。

救命ボートでけぇ

ボートだけでも人間が10人くらい乗れてしまいそうな大きさだ。

そんなものがたやすく吊るされているんだからこの帆船がどれだけデカイか…

迷子常習犯の自分は船内で迷うんじゃないかという心配をしてしまった。

ただ、見学するにあたり、順路がちゃんと設けられていて矢印の付いた案内板もあったので、よほどの方向音痴でなければ大丈夫だろう。

このように「順路」

らんま1/2』の良牙だったらロープも超えて真っすぐ行っていたんだろうけど、そんな奴は漫画の中だけだ。

順路に従ったらすぐに煙突

メインエンジンやボイラーからの排気ガスを排出するものだ。

これがまたデカすぎて、そして狭いところにあるものだから下から撮影してすべてをフレーム内に収めることができなかった。

振り返ると実習生エントランス

実習生居住区への出入り口なんだけど、このように通ってはいけない、入ってはいけないところにはロープが張ってある。

順路を進もう

素直に矢印に従ってすすめば良いようだ。

これに従って右折すると…

すぐに「キャプスタンバー」なるものが

船は大きいけど、船上の通路は決して広いわけではなく、見るものも多いのですぐに新しい情報が入ってくる。

これに差し込んで回すらしい

回すことでホーサー(係留索)を巻いたり、帆を上げ下ろしたりするらしい。

腕力使うな、これ。

次はあすこに向かうのか

甲板上に小さな部屋がある。

ガンダムとかの戦艦でよく目にし耳にした「ブリッジ」と呼ばれるところに似ている気がした。

いや、似ている気がしたのではなく、まさにそこが…

「前部航海船橋」だった

船橋のことを英語ではブリッジって呼ぶのだ。

もちろん中に入って見学できる

こうなっているのか…

外から見て、まあ広くはないだろうなとは思ったけど、想像した通りの狭さだった。

操舵室に3人くらい入ると、誰かしら写り込んでしまうので、写真を撮るなら少し待っていないといけなかった。

撮れるものから撮っていこう

こちらは「電磁ログ航程積算計」というもの。

船が航走した距離を示してくれるようだ。

見事に「3」が並んでいるのが気になってしまう。

誰かのラッキーナンバーだろうか?

こちらは「操舵スタンド」

手前のジャイロコンパスやマグネットコンパスで方位を確かめつつ、このホイールで針路を保つようにしていたわけだ。

そういえばガンダムホワイトベースってこういうホイールで操縦していたね。

こちらが「マグネットコンパス」

と、書かれてあったのでそうだと思う。

なんかジャイロコンパスにも見えてくるので自分としてはこんがらがっている。

それにしても年季が入っていて、なんかいい。

これは「舵角指示器」

操舵する時はこれも見ながらするようだ。

隣にはレーダー

自薦周辺の他船や障害物までの距離や方位を電波を利用して測定するようだ。

レーダー用のアンテナはフォアマストにあるみたい。

左へ振り返ると「航海灯」

日没時や濃霧、雨のときに点灯させていたみたいで、マストや右舷、左舷、船尾で灯りの色が違うようだ。

こちらは「エンジンテレグラフ

これ、このブリッジ(船橋)と機関室との間で船速に関する命令や連絡をする際に使用する通信装置なんだとか。

「DEAD SLOW」って直訳すると「死ぬほど遅く」ってことになるんだけど、このニュアンスというか表現って、昔からあるんだね。

連絡といえば「国際VHF無線電話」もあった

洋上でも使えるものなんだとか。

こういった技術がコンパクト化されていまのスマホに繋がっているんだろうなと思うと、当時の船ってイノベーションに役立っていたのかなとも思えてくる。

ちなみに無線の方位はこちらで探知

そのまんま「無線方位探知機」だ。

電波って地表に沿って直進するんだね。

それ用のループアンテナはフォアマストにあるらしい。

フォアマスト、いろんなものがついてんだね。

外に出れる

この船のブリッジ、横側にこんな渡り廊下のようなものがあって、外に出られるのだ。

ただ、長さ的には廊下というよりベランダのようなものだろうか。

出るとこんな景色が待っている

この日は海上保安庁の船も泊まっていて、ここからだとよく見えた。

もっと天気が良ければなぁと思う。

反対側ではこんな景色

展望広場のある方を望むことができる。

広場の人たちを見ているようで、逆に自分が見られている立場であると気付くのにそんなに時間はかからなかった。

なお、左でも右でも見かけた白い筒状のものはコンパスだ。

こういうやつ

これもジャイロコンパスなのかな?

後で知ったんだけど、現在では500トン以上の船って必ずジャイロコンパスを搭載しないといけないそうなのだ。

ちなみに帆船海王丸の重さは「2,238.40トン」だ。

2千トン、超えてます。

船首の方を見てみよう

ブリッジから船首の方を見た景色だ。

船首の方にも見学している客が多い。そちらの方にも回っていけるようなのだ。

 

船首の方へ

ブリッジを見終えてもと来た道を戻ると「順路」

来るときは写真の右側の階段を上がってきたのだけど、次は左側の階段にいけと記されている。

ここを降りるのだな

降りた先でUターンして、どうやら船首の方へと向かうようだ。

降りながらマストの方へ目をやると…

いい具合の高さで帆が見える

半分ではなくすべて展帆していたらなと悔やまれるところであるが、習熟期間中なのだから仕方がない。

降りて振り返るとこんな景色

船首へと向かっている。

ここでも思ったのだけど、船の上って通路がそれなりに幅があるんだけど、天井に色々とあるから歩いていて狭く感じる。

ここにもボートがあるしね。

歩いていると海王丸事務室が

鍵がかかっているのか、入れません。

ドアノブには「さわるな」の文字まである。

このように船内すべてが公開されているのではなく、立ち入り禁止の場所だったり区域もある。

前方に架け橋、発見

これ「フライングギャングウェイ」という名前がついていた。

長船尾楼甲板から船首楼甲板へと渡るための橋で、下のウェルデッキから見ていると空を飛んでいるように渡っていることからそのように呼ばれているんだとか。

またの名を「キャットウォーク」ともいう。そのまんま猫の渡り板にも似ているからだ。

渡りながら…

新湊大橋の方を望む

ブリッジから眺めるのとはまたちょっと視界が違う。

立っているところも橋なので、開放感もある。

高所が苦手な人には、そういった怖さも付きまとうかもしれないけどね。

船首に到着

船の先端からの景色ってどんなものなんだろうと勝手な期待を膨らませてやって来たけど、アンカークレーンやら結構いろんなものが置かれていて、ロマンチックなものは薄く、映画『タイタニック』のワンシーンの真似事のようなこともできる雰囲気ではなかった。

アンカーだ

デカいし、重そうだし、女子が喜びそうなものではないだろう。

でも男の自分などは、これはこれでときめいてしまったりする。

滑車か… 高校物理を思い出すよ。

振り返っても錨

こちらは「バウアー」という大錨だ。

船首の両側に設置されていて、すぐに使えるアンカーのことを「バウアー(大錨」と呼ぶそうなのだ。

へぇ。学習もロマンだ。

とりあえず船首の一番先へ

やはりいろいろと置かれているのだ。

バウスプリット(棒)の先まで行けたなら…

実際には危なく行けないので、気持ちだけバウスプリットを登っているつもりで撮影。

妄想ではそのバウスプリットの先端で『タイタニックごっこだ。もちろん独りでだ。

なんだったら愛を叫んでもいい。

伝声管、あります

先端で愛を叫べないなら、この伝声管で叫ぶのもいいかも。

ただ、コロナ禍のせいで、自分がやってきたこの日は伝声管そのものも蓋をされていて使えなかった。

帆走用舷灯(左舷)、発見

ブリッジで見た航海灯のやつだ。

この左舷にあるものは紅色の明かりを灯すらしい。

どの部分が光るんだ?

この海王丸、夜になるとライトアップされたりもするんだけど、そのときこれも光るのだろうか?

いつか見に行きたい。

その直ぐ側にはライフブイ

救命浮環というやつだ。いわゆる「浮き輪」だ。

これ、他の船と識別するために船名と船籍港が記されていた。

これにお世話になるような事態にはなりたくないが、逆に一度でいいからこの救命浮環を助けが必要な人に向かってブーメランのように投げてみたいものである。

 

次に続く

そのライフブイがある隣には階段があり、そこを降りると先ほど歩いていた「フライングギャングウェイ」の下側にでる。ウェルデッキだ。

そこにフォアマストがあるのだけど…

水面上42メートルあるそうだ

でかい、でかすぎる。

首を上げてファインダーを覗いてもフレーム内に全く収まらない。

写真が3枚必要だった

この船、撮るところが多い…

気がつけば何回もシャッターを切ってしまっている…

まだ船首のあたりしか記していないのに、文字数も5000文字を超えてしまっているし…

この情報量だとちょっとした探検みたいじゃないか。

しかも、早足必須なんて言っていたのに、我ながらなんだかんだじっくりと、そしてのんびりと回っていたものである。

一回ではまったく書ききれそうにないので、続きは次回にさせていただきたい。

 

次回<中編>はこちら