またまた間にいろいろと他の記事が挟まったけど、富山県射水市の新湊にある海王丸パークに行って船の中を見学した話の続きだ。
この<後編>でラストである。
士官居住区ことボスエリアへ
8月に立ち寄って、前編、中編とのんびりと記してきた海王丸の船の中であるが、今回で最後である。
前回の船内<回復エリア>の続きを記したい。
※間が空きすぎて前編、中編を忘れたという方は以下のリンクからどうぞ。
回復エリアと呼んでいた食堂や愛むすびの部屋があるエリアからさらに順路を進むと、ふたたび階段を上がるよう促される。
お進みくださいとある
同じ船内でも、一階上には「士官居住区」があるようだ。
ボスクラスのエリアである。
なんか階段も豪華な気がする
堅牢で且つアーティスティックな階段ではないか。
これまでとは格上の何者かが待ち受けていそうな雰囲気がプンプンする。
順路になにやら文字
「次は、船長の部屋ご覧ください」とある。
船長か、ラスボスではないか。
ボスクラスだけではなく、ラスボスもいるわけだな、次のエリアには。
順路の先の通路
ここがボスたちの居住区だな…
最初の扉に「船医室」と書かれてある。
船医も士官クラスということのようだ。
ヒーラー役なのでボスではないからか(自分の勝手な妄想)、その部屋は閉じられて中は見れないようになっていた。
次の部屋を見てみよう。
船長公室
いきなりラスボスかい。
もっとこう、ほかの中堅クラスのボスを経てラスボスに到達したいものなんだけど…
ロールプレイングゲームでもたまにこういうことってあるよね。
そうしてだいたい打ちのめされるものである。
船長公室というのは、船長が航海士から報告を受けたり会議をしたり、来客者と面会したりする部屋のようだ。
我々探検者(妄想)を迎え撃つ場所である。
さすがに広い。これで一人部屋なのだから別格だ。
そしてどの部屋よりも豪華だ。
白のセーラーハットがまぶしい
船長不在でも放たれる威厳で気圧されそうである。
なんか日本人形が飾られていた
名前も書かれている。なにか由緒あるものだろうか?
きれいな日本人形だ。
う~む、惑わされそうである。
隣には船長の私室が
ベッドやロッカーなんかも置かれている私室が隣にあった。
ラスボス(船長)にもなると二部屋使えたようである。
さらにその隣には船長専用の浴室まで
航海中、いつでも当直の航海士と連絡がとれるように船長私室のとなりに専用の風呂が設けられているとあるけど、待遇が別格過ぎて驚くばかり。
この部屋で瞑想して魔力を高めているんじゃないかと、そんな勝手な妄想まで膨らませてしまったじゃないか。
さすがラスボス、格が違う…
いまの我々では勝てない…
連続ボス戦(妄想)
半ば敵前逃亡のように、ラスボスこと船長の私室もあとにして次の部屋に向かったが、そこは士官エリアだけにボス戦が続く。
続いての部屋は「一等航海士室」
船の総責任者である船長を補佐し、甲板部員を指揮して航海計画に基づいた航海や荷役業務を担うのが航海士だ。
その一等、つまりは筆頭の航海士ということは船長の次に偉いのだろう。
ドラクエ4でいうとデスピサロの下にいたエビルプリーストみたいな立ち位置だろうか。
エビルプリーストは結局ピサロを裏切って最終ボスになっちゃうけど。
部屋も船長の私室なみに広い
次のラスボス感がこんところからもする。
ちなみに真面目な話をすると、一等航海士は船内規律の維持や船舶の安全に関する仕事をしていたそうだ。
この部屋も、航海士の打ち合わせにも利用されていたみたいだ。
続いては「次席三等航海士室」
「ビーサードオフィサー」と呼ばれる一番若い航海士が使っていた部屋だ。
急に狭くなった…
個室とは言え、部屋の大きさそのものは実習生たちの部屋とあまり変わらないんじゃなかろうか。
なんでも実習生とのパイプ役としていつも忙しい立場にあったそうだ。
中間管理職ってやつですな。
海の上という逃げられない環境でこの立場は気苦労も絶えなかっただろうに…
と、なんか同情してしまう。
ボスキャラなのに分かりあえそうな気がしてしまう。
ダイの大冒険のハドラーみたいなものか?
次には「通信長室」
通信士のボスだ。
通信士は通常三人いたそうで、その責任者である通信長は就寝中でもSOSなどの重要な通信を受信した際にいつでもそれを知ることができるように無線室からの直通の報知機が設置されていたとあるが、緑の電話がそれだろうか。
むかしのドラマに出てきそうな電話だ。
田舎の祖父母の家にもむかしあった気がする。懐かしい。
部屋の中央にはなぜか海王丸の断面模型が
しかも中央断面模型だ。
海王丸を輪切りにしたものだ。
実習船としての役目を終えてから展示されるようになったと思うのだけど、こんなところにあると当時から通信長が愛用していたように思えてきてしまう。
そうして通信長がマッドサイエンス的なキャラをしていたように妄想してしまう。
癖のあるボスじゃないか。
その次の部屋は「航海科専任教官室」
今度は部屋の中央にチェスが置かれていた。
チェスとか、大魔王とかかがしてそうな遊びじゃないか。
部屋もまあまあ大きいし、教官ってそんなに偉いのだろうかと思った。
物を教える立場なら戦略的な考えも必要だろうし、戦略的な考えを鍛えるならチェスも活用するというものだろうか。
というか、専任教官ってだいたい船長を経験した人が就いていたんだね。
元ラスボスなわけだ、そりゃチェスもするし、部屋もそれなりに立派ですわね。
二等航海士室、発見
ただし、扉にはロックがされていて入れなかった。
こういう中に入れない部屋はいくつか有り、どういう具合の部屋だったのか絵で示してくれていた。
こう見学できないと、かえって妄想が膨らんでしまう。
ランクは二等でも封印されるくらい危険なやつだったんじゃないかと勝手に想像してしまうじゃないか。
次の部屋は…なんだここは?
ボスエリアの突き当り、折り返す位置にある部屋がこちら。
会議室のような横長のテーブルが置かれているここ、なんでも「士官サロン」なんだそうだ。
士官サロンってなんだ?って話だけど、要するに高級船員である「士官」たちが食事をする場所だ。
もちろん会議だって行われる。
角に飾られた白の船長服がやはり眩しい。
隣にて士官パントリー発見
高級船員(ボス)たちの食事がここで作られていたわけだ。
大きな給湯器が、巨大な鍋に見えてしまった。
「ねるねるねーるね」のCMのような魔術的ななにかをクッキングしている光景を空想してしまったじゃないか。
ボスエリアはさらに続く
サロンも抜けてパントリーも抜けたらボスエリアも終わりかと思っていたら違っていた。
船長や航海士以外にも士官というのはいるようなのだ。
「事務長事務室」というところがあった
実習生や乗組員が外国の港に寄港するための関係書類を作成していた事務員の部屋だそうだ。
どの世界にもこういう裏方はいる。海の上でもいるのだ。
おそらくロールプレイングゲームの魔王軍側にもいるに違いない。
書類作成って相当大変だったみたいだね。地味ながら活躍するってなんか好みだ。
そしてこちらは「一等機関士室」
そう、航海士の他に船で偉い人っていったら機関士がいた。
そのトップが機関長。この人はもう船長クラスなんだけど、この部屋は「一等機関士」の部屋だ。
機関長を補佐する役目で、若い士官を取りまとめるのもこの一等機関士だったそうだ。
ボスクラスのキャプテンみたいなものか。
ボスの世界にも階級があって興味深い。序列あふれる人間社会に生きる自分としても親近感が勝手にわいてしまう。
なお、機関長の部屋は確認できなかったのだけど…
「機関科専任教官室」なるものは見つけた
航海科専任教官と同じようなものだろうと勝手に想像する。
かつての機関長こと第二のラスボスがこれに就いていたんじゃないかと思う。
士官エントランスへ
立派な階段を登る
ボスキャラたちの部屋のあるエリアを突破すると、次の順路では階段をあがることに。
ボスたちを倒してようやくクリアだろうかと登っていると…
「士官エントランス」の文字
「士官」の文字だけ目に止まって、まだボス戦が続くのだろうかとも思ったけど、士官居住区(ボスエリア)への出入り口だということだ。
ただ、船内でむかしのまま保存されている貴重な場所のようで、その文字からお宝が眠っているような、そんな期待をしてしまう。
お宝はどこだぁ!
出入り口へと続く通路に出てみると、最初に見えたのが「ファクシミリ受信機」と書かれた札のある無線室だ。
ファクシミリってなんだよ?
という方のために記しておくと、要するに日本で言うところのFAXです。
電話で印刷物を送るアレだ。
この船では気象庁からの天気図や新聞のニュースなどを受信していたようで、遠洋航海中では世界の情報を得る唯一の手段だったようだ。
年代物のそれが、こうして今でもきれいに残っている。
これはたしかにお宝だ。
鑑定団に出したくなるような代物だ。
振り返るとこんな機械も
航法装置の数々だ。
右側にあるのは衛星航法装置と呼ばれるもので、人工衛星からの電波によって船位を求める装置だ。
この後に出てきたのがGPSなので、GPSの先輩みたいなものだ。
「国際VHF無線電話」なんてものも
世界中の洋上や港内での通話に使用されたようで、海の上でも使えたってのがロマンある。
まずあり得なかったと思うが、海上にて船と船とで通話した男女が愛の告白、なんて映画みたいなワンシーンもできたんじゃないかと想像する。
外へと続く出口が見えてきた
士官エントランス、距離が短かったけど、興味深い機械や装置が置かれていてお宝感が確かにあった。
それら装置から色々と空想できたことが自分にとっては特に「お宝」だろうか。
ボスエリアを突破して愛を語るワンシーンへと駆け抜ける…
あの鐘を鳴らしたくなってきたじゃないか。
幸せの鐘を鳴らせ
外(甲板)に出てみるともう船尾
奥に大舵輪が見える。
それよりも、帆をしまう準備をしているボランティアの方の姿も見える。
すっかり忘れてマイペースに回っていたが、帆をしまう時間が迫っていて、というかもうその時間になっていて、見学も程々に下船しないといけなかったのだ。
まずい、まずい。
マズイマズイ、と言いながらシャッターボタンを押す手は止めない自分
大舵輪こと帆走用舵輪の回りには子供用の顔ハメパネルなんか置かれていてフォトジェニックな場所になっている。
そんなところでシャッターを切らないわけがなかろう、ということで大急ぎで押していた。
大舵輪、かなりでかい。
それもそのはずで通常でも2名で回すものなんだとか。
時化てきて舵が重くなると4人で回していたそうだ。
ヘビィだ。
ボスエリアを突破してきたと思ったら、隠しボスがいたような、そんな心境である。
その迫力をアップで
急いで下船する気ないな、自分。
見納めとばかりにマストも撮る
帆が回収される前にもう一回この白いマストを見上げて、撮りたかったのだ。
総帆展帆のボランティアの方には白い目で見られていたかもしれないけど…
よし帰ろう
前方に家族で来ている方々がいて、こうしてギリギリまで見学していたの自分だけじゃなかったけど、自分の後ろには見学している人もう誰もいなかった。
早足でタラップの方へ向かう自分であるが…
その手前でこんな案内が
いまでは「幸せの鐘」と呼ばれる海王丸のタイムベルがあるというのだ。
矢印の先に首を向けると…
あった…
これが、かつては海王丸で時を知らせ、いまでは恋人たちが愛を深めるために鳴らすという「幸せの鐘」か。
ドラクエ1でも竜王を倒したあとローラ姫を抱きかかえたまま帰還してそのまま結ばれていたやね(ウェディングベルが聞こえてきそうな展開だった)。
エンディングだ。
ついにこの探検のエンディングを迎えたのだ。
白い目で見られようと構うことはない…
自分も鳴らした
鳴らしながら、しかも撮影した。
この鐘には不思議な力があると書かれてあったし、自分だって幸せになりたい。
鳴らしたってよかろう。
ありがとう、海王丸。
ありがとう、新湊。
感想
エンディング曲をバックにエンドロールを流したいものである…
以上、計三回にも渡って記した船内探検こと海王丸乗船見学である。
まさかこんなに長くなるとは自分も思っていなかった。
すっかり総帆展帆のことも、その帆を下ろす時間が迫っていたことも忘れるくらい見学に、いや探検に熱中していたものである。
下船してから見納めに一枚
カップルで来ている人たちも多く、カップルだとラストの鐘の意味がさらに強くなるので、よりドラマティックな探検、もとい見学になるのではないかと思う。
自分としてもすっかりロールプレイングゲームをしている妄想にハマってしまって、狭い船内からの脱出、そして鐘への流れにはカタルシスのようなものまで感じた。
楽しい見学だった。
総帆展帆がまだ100%ではなかったので、またいつか完全版の総帆展帆をすっごい晴天の日に観に行きたいものである。