今年2018年10月28日、七尾市に「のと里山里海ミュージアム」というのがオープンした。
能登の暮らしの価値を伝え、未来を創造する博物館なんだとか。
何が展示されているのだろうかと気になったので、七尾に向かう道中に立ち寄ってきた。
国道159号線沿いにあるミュージアム
平成30年(2018年)に能登は立国1300年を迎えた。
その1300年の記念すべき年に、その1300年の能登の暮らしを伝えるためにできた博物館が「のと里山里海ミュージアム」だ。
その地図
地図からもすぐわかるように、国道159号線沿いにある。
旧有料道路である里山海道(高速道路みたいなもの)を使わずに金沢から能登の方へ目指そうとするとよく通ることになる道だ。
自分ももちろん頻繁に使う。そんな道沿いにあるので迷うことなくこの博物館に向かえる。
この看板が目印
国道159号線と能越自動車道(有料道路)の出口がぶつかるところが七尾市にあるんだけど、そのT字路を過ぎたあたりでこの看板が見えてくる。
公園の様子
なかなか広いところだった。
自分、この公園の前を通ることはあっても立ち寄ったことはこれまで一度もなかった。
散歩してて気持ち良いところである。
園内にはちゃんと駐車場もある。
写真左に見える建物が、今回紹介する博物館だ。
こうして見ると駐車場からそんなに離れていない。
建物外観
横に長い建物だった。
左端はカフェになっていたし、パッと見、お土産屋さんのようでもあるが、ここが博物館だ。
近寄ってみるとミュージアムの文字
この文字を見るまで、正直ここが目的の博物館であるとはなかなか信じがたかった。
なお、開館時間は9時~17時までで入館料は無料だ。
無料というのが助かる。
入ってみたら能登観光紹介拠点
何が展示されているのか、それを確かめにさっそく入ってみた。
入ってみると、すぐ足元に大きく地図が描かれていることに気づく。
「のと空中散歩」とある
地図上には能登地方の名所や名産などが描かれ、道路や鉄道がどこを走っているのかもわかるようになっていた。
たとえばこんな感じで
写真の鉄道は「のと鉄道」。駅名もすべて載っていた。
地図上、青い線で囲まれているのはこの博物館がある七尾市だ。
七尾市に関しては拡大図も描かれていた。
少し見づらいかも知れないが、能登島も七尾市であるということが、その青線よりわかる。
なかなか興味深い。
そうして顔をあげると…
名産品等が展示されていた
よりわかりやすく、能登地方の町や市それぞれの名産品を絵ではなくモノ(レプリカ含む)で紹介してあるのだ。
食べ物やお酒や工芸品、祭りで使う獅子頭なども展示されていた。
この本棚のような展示物を見るだけで、能登方面に行ったときの見どころやとりあえず買うべきお土産がすぐにわかる。
WEB上のサイトで言うと「まとめサイト」みたいなものだろうか。
奥にはさらにディープに能登を知れる展示
さらに進む
足元に地図があるところは建物でいうとエントランスみたいなところで、まだ奥に展示スペースがある。
そちらでは能登の歴史や文化や産業といった学術的でマニアックな展示がなされているので、より博物館っぽい。
奥への入り口には「花嫁のれん」が
石川県に伝わる婚礼の風習で、この暖簾を飾るというものがある。
以前、当ブログでも紹介したが、この七尾市には「花嫁のれん」の博物館もある。
花嫁のれんもこうして見るとアートみたいに使えるなと思う。
その脇を抜けるとさっそく展示が現れる。
スペースと記したがかなり広く、広い部屋を衝立みたいなもので仕切ってコーナーを作っているので閉塞感を感じさせないところであった。
そんな中に…
こんな感じで能登にまつわるものが展示、説明されている
石川県は能登地方を中心に海産物が美味い。
観光客がまっさきにイメージするものってこういう海の食べ物だと思う。
ということでか、海産資源のパネル展示が最初にあった。
どういったものが獲れるのか、どのように獲るのか、そういったマニアックなことを学習できるのだ。
ぶりのレプリカ発見
「持ち上げてみよう」とあるので…
持ち上げる
7kgはなかなか重い。
こういうのを日々扱っているとそれだけで筋トレになりそうだ。
舟もある
こういった展示もある。
階段もあって乗り込むこともできる。
みなさん小さなお子さんを乗せたり、自ら乗り込んだりして写真を撮ったり撮られたりしていた。
舟って珍しいのでSNS映えするのかもしれない。
魚の漢字の勉強もできそうなところも
七尾の海で出会える魚たちだそうだ。
紹介の仕方にいろいろと工夫がされていて面白い。
貝の紹介まである
七尾の中島町とかでは牡蠣の養殖も盛んだし、なにげに貝も有名だったりする。
魚でも貝でも、こういうのを見ていると食欲をそそられる。
次のコーナーには「木」の紹介もあった
海の次は山だ。
山の幸かと思ったら石川を代表する「木」の紹介だったからマニアックだ。
これ、なんか好き
石川県の県木「アテ」のことも説明されていた。
アテの木はヒノキアスナロのことで、この地では「アテ」と呼ばれている。
いわゆる方言だ。
七尾で出会える鳥の展示も
剥製だと思われる、リアルな鳥の展示がされていた。
鳥に関してはこのコーナーだけではなく、会場のあちこちで色んな種類の七尾で会える鳥が展示されているので探すと楽しい。
さらには昆虫も
色んな角度から能登の自然を教えてくれる。
また、その隣には能登地方の古代の大地の説明まであり、その地質、採れた石、はたまた太古の動物に関してまで説明されていた。
左側に写っているカバみたいな動物は「デスモスチルス」という約1600~1100万年前に日本から北アメリカ西海岸の海岸に生息していたと考えられる哺乳類だ。
引き出しの中に石を発見
こういう能動的に見させる工夫、自分は結構好きだ。
能登の石まで知れるとは、『ブラタモリ』を見ているような気が少しした。
次に進むと能登の歴史も
今年で立国1300年になる能登国がどのように誕生したのかも記されていた。
あと、七尾城って難攻不落だったらしい。
上杉謙信がその七尾城を攻略したとき、一生の名誉であると言ったとのこと。
学校の歴史の教科書ではなかなか載らないようなローカルでマニアックな歴史なので読んでいて面白い。
他にも七尾出身の天才絵師・長谷川等伯についても説明されていた。
ムシロの展示もあった
産業としてのムシロの説明だ。
いまではなかなか見られないムシロ。むかしはこの七尾でもよく作られていたようだ。
七尾ムシロ(そのまんま)とブランド化されていたようだ。
なんとなく祖父母の家を思い出す。
青柏祭で出される「祭りごっつお」もあった
青柏祭の日に親戚や友人を招いて振る舞われる御膳だ。
その料理がどんな名前かも記されていた。
資料として面白いし、これまた田舎を思い出す。
懐かしい。
祭りといえばこんなものも
獅子頭を発見。
これ、手に持って後ろの天狗を背景に写真を撮っていいそうだ。
親切に獅子頭の持ち方まで書かれてある。
獅子頭の中ってこうなっているのか
獅子頭を扱ったことがない自分としてはこういったなかなか見えないところの構造に興味が湧く。
持ってみたけどそりなりの重量。
祭りでも使う結び方「男むすび」の説明も
個人的に何度教わってもなかなか覚えられなかった男結びだ。
こうしてやり方が図で描かれていて、かつ実際のロープもあるとわかりやすい。
クマもいた
もちろん剥製だ。
シアタールーム「里山里海シアター」というのもあり、その入口付近にいた。
むかしは能登半島にクマはいないと言われていたんだけど、平成19年(2007年)以降、目撃情報が増えたそうだ。
近年では、同じく長らくいないであろうと言われていた能登島にもクマの目撃情報があったくらいだ(能登島の橋を渡ったか、海を泳いでいったとも言われている)。
クマの生息地が広がっているようなのだ。
こうしてみるとちっちゃくて可愛らしいかも知れないが、恐ろしいので山で遭遇したくない。できれば山の奥の方でおとなしくしていてほしいものである。
まとめ
七尾市に新たにできた「のと里山里海ミュージアム」では、海や山、産業に文化、地質に歴史、おまけにクマまで出るようになったと注意喚起までしてくれてと、能登について様々な分野、角度からその魅力と情報を伝え、残してくれていることがよくわかった。
奥の展示はほぼ七尾がメインになってしまっているけれど、その手前のエントランスでは能登地方全域の名産品や見どころがリアル世界にてまとめサイトのように展示されているので、これから能登を観光しようとする人たちがまず最初に立ち寄って、旅の情報を仕入れる観光拠点として利用できるのではないだろうか。
なんだろうか、ドラクエの町や村(冒険の情報を提供してくれる)みたいなイメージだろうか。
能登地方各市町のポスターもはられていた
こちら宝達志水町のポスター。
噂には聞いていたけど、本物を目にしてちょっと笑ってしまった。
「いいの?」というのが最初の感想だが、奥村が末森城の城主だったのだから、いいのだろう。
レクリエーションルームでは写真展も行われていた
個人的に写真の勉強になる。
写真展や演奏会、芸能人や有名人を呼んでの基調講演なども定期的に行われているようなので交流の場としても今後期待できそうだ。