9月の頭、一週間という短い期間ながら、金沢駅のもてなしドーム地下に黒板アートが登場していると言うので足を運んできた。金沢美術工芸大学の学生さん達によって制作されたそうだ。
金沢駅のもてなしドーム地下へ
金沢市では現在、市民がアート作品に親しめる機会を増やそうとあれこれと動いているそうだ。
今回、駅のもてなしドーム地下に現れた黒板アートもその一つなんだとか。
最近気づいたけど駅前にヤカン型のアートがあった
今更かもしれないけど、目に入ったので撮った。
いつからあったんだろう。
むかし、しいのき迎賓館前にも突然現れて数日後(もしくは数週間後)くらいには消えていたアート作品があったなぁと思い出す。
こちらも今だけの展示なのかもしれない。
今回の黒板アートも展示期間が一週間しかない。
ということで早めにもてなしドームの地下へ行った
日にちの都合もあって展示初日の9月1日(土)に足を運んだ。
金沢駅舎前にあるドーム状屋根を有した広場の、その地下に目的の黒板アートが置かれている。
以前、同ブログでも紹介した、使わなくなった小学校のピアノ(時間内なら使用自由のストリートピアノ)が置かれてあるところと同じ場所だ。
(ストリートピアノの記事は→こちら)
ストリートピアノも小学校の思い出のピアノを利用したものであったなら、今回の黒板アートも小学校の思い出の黒板を利用したものだ。
再利用で町中のにぎわいづくりにしているという。
ピアノの直ぐ側にある
地下への階段を下り、右手に曲がった先のスペースにこれらがある。
絵は黒板3枚分だった。
思い出黒板アート「金沢の四季」
近寄ってみると絵の前にこんな看板が立てられてあった。
「公開制作中」と書かれたボード
この黒板アート、前述したように金沢美術工芸大学(金美大)の学生さんたちが制作したものだ。
その制作期間である8月25日~31日を公開していたようである。
これによると金美大の油画専攻の学生たちが今回手がけたようだ。ニュースによると3人の学生で制作したらしい。
公開期間は9月1日~7日の一週間。
9月2日には制作者によるプレゼンもあったようだが、残念ながら自分は都合が合わなかった。
黒板そのものは平成28年3月31日で統合のために廃校になった金沢市立材木町小学校で使われていたもののようだ。
材木小って言ったら俳優の鹿賀丈史さんの出身校だったはず。
こちらが三枚の黒板アートの全体図
横に長いものだから全部を1枚の写真に入れようとするとこんな距離からの画になった。
一枚、縦1.2メートル、横3.6メートルある。
三枚で「金沢の四季」を表現しているという。
一枚目をチェック
駅の鼓門や北陸新幹線の「かがやき」、さらには桜の絵も見える所、左3分の2は春だろうか。そういえば「かがやき」って2015年の3月にスタートしてましたな。
残り3分の1には初夏に行われる百万石祭りをイメージしたものであろう、前田利家公の姿も見かける。
どう考えても利家公
このポーズは尾山神社にある利家像のポーズと似ている。
これに槍をもたせるとほぼ同じだろう。
新幹線にフォーカス
近くで見るとよりチョークで描いたのがわかる。
考えてみるとチョークで描くって細かく根気のいる仕事だ。
また、チョークの粉を水で溶かしてペンキのようにして使用したりもしているのだとか。
2枚目をチェック
こちらは左半分が夏で右半分が秋だ。
夏では花火がバンバン上がっているが、これ、どこの橋だろうか。
今現在、金沢市内で花火大会と言ったら豆田の方になるので犀川の橋のどれかだと思われるけど、浅野川に架かる橋のどれかにも見える。
着物姿をアップ
花火のときに浴衣姿という人をよく見かけるが、祭り関係なく金沢市内を着物で歩くという人は結構いる。
これも一つの市の文化みたいなものだ。
その隣の右半分の秋は茶屋街だろう。
ひがし茶屋街だと浅野川の側にあるので、やっぱり左の橋も浅野川のどれかだろうかと、そんな想像をしてしまうのであった。
人力車がいた
人力車は、ひがし茶屋街だけではなく、にし茶屋街、主計町茶屋街でも走っているので、はて、わからなくなる。
誰?
ますますわからんくなった。
3枚目をチェック
こちらは4分の1が秋の続きで、残りは冬の絵だ。
徽軫灯籠(ことじとうろう)や雪吊りが見える所、兼六園であろうし、その隣には金沢城も見える。
池の部分で溶かしたチョークをペンキ状にして使用しているのだとか。
面白いのは雪吊りと地続きで…
似たようなサイズの酒瓶も描かれていることだ
金沢市にもいい酒がいろいろとありますからな。
福光屋の「加賀鳶」が見える。
ついでにいうとカニもいた
冬の金沢と言ったら香箱蟹のイメージもある。
描き手の人、飲みたくて食べたくなったのだろう。そう思いたい。
なお、2枚目と3枚目がちゃんと一つの絵として繋がっているとわかる箇所がある。
切り離されているだけで繋がっている絵
同じようなものは1枚目と2枚目の境界線でも見受けられる。
三枚バラバラではなく、一つの絵であるというのが自分好みだ。
「金沢の四季」を描いたようなのだけど、バラバラに魅力を描いてしまうと四季による優劣をつけているかのようになるので、こうして繋がって一枚の絵として収まっていると、一年間通して楽しめますよと伝えているようで良い。
石川県なんて、基本何もないところだけど、季節の移ろいは楽しめるところだと思うので。
感想
今回の黒板アート、学生とはいえ絵を心得ている人が描くと、チョークだけでもちゃんと絵画のようになるものだと感嘆してしまった。
雪の表現もチョークの粉を吹きかけて行っているそうな
むかし、自分も小学生時代に黒板に落書きとかしたことあるけど、これくらいの画力があったら、もっと胸張って落書きしていただろうなと思った。
いまでも絵心がまったくないので、今でも胸は張れないけれど。
何にせよ、懐かしくなってふとその胸に温かいものがあった。
よく見ると黒板の「マス目」も
やっぱり懐かしい。
市民にもっと芸術に親しませようとするこの事業、いいですな。
美術館とか博物館とかも好きな自分としてはどんどんやって欲しいなと願うところだ。
聞けば、駅地下のこの黒板アート、後日、第2弾として別の学生たちによって別の作品も描かれるという。
今度は金美大の日本画専攻の学生5人が取り組むそうで、「海の中の宇宙」をテーマにするのだとか。
第2弾は9月17日~23日まで展示されると言うので、また時間を見つけて見に行きたいと思う。