初心の趣

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駅地下で見かけたダンボールアートが面白かった

金沢マラソンに合わせた市の黒板アート事業第三弾を見に行った際、同じく駅地下のイベント広場にてダンボールアート展がその日(10月21日)限定で行われていた。

アート事業のおまけとして目にしたものを紹介したい。

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地下への階段を降りた先でエコフェスタもやっていた

黒板アートが期間限定で行われているのは金沢駅東口のもてなしドーム地下だ。

階段ならびにエスカレーターを使用して降りていく際、黒板アートが右手に見えていたのだが、降りた先正面では「かなざわエコフェスタ」も行われていた。

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階段を降りた先の景色

このようにイベントが行われていたのだ。

10月21日限定だった。

エコフェスタ2018、その一環としてダンボールアート展も行われていたのだ。

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正確には「ダンボールエコアート展」

いきなり鼓門(ダンボール製)が目に入った。

鼓門をくぐってその地下に足を運んで鼓門の前を通る金沢マラソンに合わせた黒板アート事業を見に行ったら、ダンボールでできた鼓門に遭遇したのだ。

なにか変な縁のようなものを感じた。

ダンボールで何でも作るというのもなかなかユニークな話だ。

黒板アートという本来の目的も忘れ、惹かれるままそれら作品を見て回ってしまっていたので、以下に撮った写真を並べたい。

なお、これらダンボールアートを作ったのは金沢美術工芸大学の一年生の方々だ。

若い人たちのセンスに触れれるという点にも惹かれた。

 

学生によるダンボール作品群をチェック

小さい鼓門を抜けるとダンボールアートの国だった…

川端康成みたいな出だしで気分を高めたが、実際に小さな鼓門を抜けて目にするのは…

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任天堂スイッチだった

それも結構大きめ。

手に持つのではなく抱えるような大きさだ。

小難しい文学的なものでも芸術的なものでもなく、いまどきカルチャーのゆるい気持ちで見てOKだよといきなり言われたような気がした。

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隣にはどでかい公衆電話があるし

これもまた人間二人がかりくらいで抱えるような大きさのものだった。

それにしても懐かしい。

携帯電話が普及してめっきり見なくなったけど、むかしは駅に迎えに来てもらったりしていたときによく使っていたなぁと思う。

解説によると茶色の部分とかコーヒーで染めているそうだ。

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と思えばちょっとグロそうなものも

「蟻男」というタイトルだった。

柱からモンスターが飛び出していた。

制作者は特撮が好きな方だそうで、その世界観をダンボールで表現してあるとの説明書きがあった。

色も黒いのでこれだけ異質な感じがあった。

本当に化け物がいるかのような生々しさもあった。

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柱からの作品もう一つ

アートの空間の中に廃工場の一部を移設したような違和感を演出しているようだ。

自分には正直、不発弾に見えた。それはそれで違和感あるが。

作品の捉えようって十人十色だなと改めて思う作品でもあった。

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こちらは弾けそうな気がした

ドラムセットだ。

サイズが現実のドラムと同じようなものだったから叩いてみたくなる。紙なので自制はしたが。

留め具とか細かいところまでちゃんと作ってあってるところが好みだ。

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その隣にはタコに飛行機の姿も

このタコは普通のタコと比べてかなり大きい。

足についた吸盤もよくできている。それでいて数本その足がもがれているからいろいろと想像できてしまう。

隣の飛行機と戦闘している巨大ダコ、なんてものを想像してしまった。

ちなみにその飛行機、作品タイトルを「まもってこわれて」という。

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よく見たら損傷していた

パイロットを守り壊れていく戦闘機と、入れたものを守るダンボールとを重ねているようだ。

プロペラがまわるので、タイトルに偽りなしだった。

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その隣にはこんなものも

流れから生き残ったパイロットかな?と思ったら、タイトルは「理想の胸筋」だった。

制作者も戦闘機の人とは違っていた。

映画『アメリカン・スナイパー』の主人公クリス・カイルの胸筋に感銘を受けて制作したという。

首より上はなし。あくまで強調したいのは胸筋だけ。なかなかのフェチだ。

防弾チョッキのボタンが取れる仕様になっているんだけど、ダンボールで衣服もできなくないなとちょっと思った。

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というか衣服があった

ダウンっぽいジャケットにニットっぽい帽子に毛糸っぽいマフラーだ。

よくできているなと感心。

可能性がみえる作品だ。

可動域がどれだけあるのか着てみたくなったけどお触りは厳禁だった。

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洗面台もあった

実物より小さく色も紫に着色してもあるが生活感を感じさせる作品だ。

服といい、身近なものをこうして作られるとダンボールだけで生活で使うものをまかなえるんじゃないかとそんな錯覚が芽生えてくる。

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でもこういうのですぐに現実から引き離される

作品名「メインティッシュ」だそうだ。

メインディッシュではない。マグロのお刺身ティッシュなのだ(真ん中のはテイッシュ箱)。それも味付きテイッシュをイメージしての作品だとか。

魚の表面のザラザラ感が写実っぽいのに、やっていることはシュールだ。

なんだろう、このパラドックスみたいな後味は。

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ある意味シュールだ

何がシュールってタイトルが「私のための仏壇」だった点だ。

作者自身が仏になった際に祀られる用に作ったとのこと。

これでいいの?と思うけど、その装飾は細かく見事だから、アーティストの考えることは常人の良識を超えてくる。

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こちらの作品名は「カルピス・ウォーターセブン」

置き去りにされた箱を使っているようだ。

作者曰く、列車(レールの上に乗った箱型のもの)の車窓から覗き込み、そこからの景色をまず観ることが正しい順序らしい。

またそこに作られた街を多視点より写真を撮ることで見る側自身の絶景を探すそうだ。

3人の幽霊、一匹のウサギ、一人のカメラマンがいるそうなのでそれらも探すと良いそうなんだけど、上から全体を撮ってしまった。

如何せん、自分もまた天の邪鬼な人間なので指定されると裏切ってしまうこともたまにある。許していただきたい。

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こちらは捨てられたダンボールを使っているとのこと

アート制作で不要になったり、残りカスとして捨てられるダンボールをかき集めて神様を表現している作品なんだとか。

そのタイトルも「捨てるかみあれば拾うかみあり」だ。

確かにダンボールって紙なんだよね。

ラップの韻みたいなものですな。

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神事繋がりで相撲もいた

こういうの個人的にツボだ。

硬い紙でできているはずなのに体の丸みがモチモチしてそうに見えるから不思議だ。

ペタペタと何枚も貼り合わせて作っている根気にも感心してしまう。

それでいて化粧まわしが大胆にダンボール一枚を折り曲げて使っている。その気分のメリハリみたいな点も個人的に好みだ。

そんな力士に華を添えるように…

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花咲か爺さんが近くにいた

帽子にしても顔の皮膚にしてもダンボールの中芯(波打っている奴)を利用しているのが巧みだ。

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上から見るとこうなっている

実は上半身しかないのでちょっと怖い。

カゴがまたよくできているから吸い込まれそうな錯覚がちょっとあった。

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こちらもちょっと怖い

生命を感じさせないダンボールで生命に溢れた胎児を表現している「life」という作品だ。

表面を粗くしているところがミイラの包帯のようにも見えるところもちょっと怖い。

逆さ状態なのも然り。

でも逆子ではないようだ(こっちが正常)。自分は胎児だったとき逆子だったそうなので、違和感を覚えるのはそんな理由からかも知れない(要するに個人的な感想)。

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妖怪もいた

タイトルは「わにゅ~ど~」とのこと。

こちらはちょっと怖いと言うよりちょっとカワイイ。

自分はゲゲゲの鬼太郎(第二期)を思い出した。

たしか人間をダイヤに変えてたよね。

 

一番気になった作品

一通り展示されていた作品を紹介してみた。

最後にもう一つだけ今回の作品群の中で個人的に一番興味が湧いたものの写真を載せたい。

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それがこちら

車だ。

興味が湧いた理由は単純だ、クルマ好きだからだ。

これがまた良くできていて、壊れたボンネットの隙間からエンジンっぽいものが見えたり、内装も作られていたり、大きな作品でありながらいろいろと細かかった。

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壊れたボンネットの中

エンジン類なども見える範囲で作ってあるのだ。

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中もこのとおり

ハンドルやメーター類、椅子やドアなどもちゃんと作られている。

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こういうの個人的にツボ

真ん中にドンッとあるセンターメーターだ。

外見といい、この大きなメーターといい、モデルは「ミニ」だ。

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かき回しっぽいのにトルコンのギヤ

細かい。

最近のミニってこういうシフトレバーが多いんだよね。

そういうのも再現しているところを見ると、実車からしっかり模していることがわかる。

そこにまたクルマ好きとしては共感できる。

これ、乗れるんじゃないかなと思っていたら…

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キッズたちが乗ってた

小さなお子さんたちが中に入っていた。

夢あるなぁ。

数年ほど前に東北地震からの復興のためダンボールでランボルギーニアヴェンタドールを作った人がいるというニュースがあったのを思い出す。

ちなみにこちらの作品タイトル「ダイナミック入店」という。

追突事故を起こした車を表現しているのだそうだ。

ぶっ飛んだアート性よりも個人的にその写実性に感動した。

 

感想

以上、駅地下で行われていたエコフェスタのダンボールアート展の作品群だ。

自分は数年前のダンボールのアヴェンタドール(通称「ダンボルギーニ」)のニュースを目にして以来、ダンボールアートに興味をいだいていたので、こうして金沢でも作る人がいると知れて、しかもそれが学生たちで、そうしてこのように観賞することができて、いろいろ嬉しい。

おまけにクルマを模したものもあったのだから(しかも子供なら乗れる)、かなり満足している。

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会場では学生さん達によるお面屋さんも

キッズたちのためにお面を作っていた。

梱包によく使われ、よく使い捨てられるダンボールも、このようにアート作品やおもちゃとして生まれ変わることができるもので、なんでも再利用できることをお子さんたちも学べたんじゃなかろうか。

まあそれは、大人にも言えることなんですけどね。

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もちろんエコフェスタなのでエコに関する展示も

ガソリン代も上がっているし(マジでやめてほしい)、自分としても細かいところからエコりたいと思った次第だ。

たまたま行った先でその日限定でやっていたアート展、その偶然をダンボールのカミにとりあえず感謝したい。