「このあたりにむかしお店があったな」とふと思い出して、実際に足を運んでいまもまだ残っていると、なんだかすごく嬉しく思うことってないだろうか。
先日、自分もそれに近い体験をした。
10年くらい前に立ち寄った記憶
10年くらい前、まだ自分がスノーボードなんかをしたりして石川県内のゲレンデにもよく足を運んでいた頃、そのボード帰りに白山市の157号線傍でとある喫茶店に入ったことがあった。
山あい、田んぼの奥の方にぽつんと立っているログハウスで、中ではJAZZが流れていたのをはっきりと覚えている。
というのも、ロック系の洋楽ばかりを聞いていた当時の自分に、JAZZっていいなと思わせたのがその喫茶店であったからだ。
ただ、本当にたまたま立ち寄ったお店で、自分自身スノボをしなくなっていったこともあって、一度しか行ったことがなかった。
月日は流れ、先日白山のその辺りを車で通った時、ふとこの辺に喫茶店があったことを思い出した。それらしき建物を探しながら157号線を車で走っているとやはり田んぼの奥の方にログハウスを見つけた。
その建物が「JAZZっていいな」と思わせたあの喫茶店なのか気になった自分は、田んぼのあぜ道のような細い道へと折れて、まっすぐログハウスへと車を走らせていた。
そしてすぐに見つけた「喫茶」の文字
ひとまず喫茶店があることは間違いはないようだ。
定休日は木曜日。
営業時間は午前十時~日没とある。
ほかにも「大工集団 欅」という看板も見つけた。
大工屋なのか喫茶店なのかよくわからないけど、案内にあるようにログハウス奥の庭に向かうことにした。
庭に到着
立派なログハウスを迂回した先にこちらの建物があった。
看板にはやはり「大工集団 欅」と書かれてあったものの、テラスではお茶を楽しむ家族連れやカップルがいた。
喫茶店のようだけどなんかヤギがいる
喫茶店で間違いはないと思うものの、写真でもわかるようによく見ると庭に何か動物がいる。
近寄ってみると、
ヤギがいた
しかもかわいい。
人懐っこいヤギで近づくと寄って来ようとする。
それでいてマイペースなのかこちらを見つめながら足元の草をムシャムシャと食べていた。
さらには、
建物の傍にもう二匹
おまけに、
山の方にももう一匹いた
あわせて四匹のヤギがいた。
なんだかちょっとしたファームだ。
大工なのか、喫茶店なのか、農場なのかわからなくなってきたのだった。
10年前にこんなヤギがいたという記憶もない。
まあ、10年前にこのあたりにやってきたのはゲレンデ帰りで冬だったので小屋に入れていたという可能性は大いにあるが。
何はともあれ、お店に入ってみないことには、ここが本当に喫茶店であるのかもわからないので、とりあえず上がっていった。
すると、店内にはJAZZが流れていた。
女性の方に案内されて好きなところに座ってくださいと言われる。
建物がすべて木で作られているように、椅子やテーブルも木やオーガニックな素材で作られていた。
不思議なもので、こういう自然素材の建材の建物って、それだけで室内の空気が丸く感じられる。
木の壁に反射するJAZZの音もどことなく柔らかく聞こえてきた。
天気もよく窓や扉も開けられていて、10年くらい前の冬に訪れた時と比べて清々しい空間であったが、
「自分はここに一度来ている」というデジャブのような感覚があった。
喫茶店でした
お店はやっぱり喫茶店だった。
コーヒーやホットミルクといった飲み物の他に、ケーキやアイスと言ったスイーツも食べられる。
アップルパイも捨てがたかったが、「ヤギのミルクで作ったチーズケーキ」というものを見つけたのでそれをコーヒーとセットで頼むことにした。
ヤギミルクだけでも珍しいのに、今ほどその山羊そのものを目にした後だから頼まずにはいられなかった。
(おぼろげに、10年以上前に来た時にアップルパイを食べたような気もした)
運ばれてきたコーヒーとチーズケーキ
写真はお店の方に許可を取って撮らせていただいた。
ブレンドコーヒーから
飲み始めは雑味も苦味もなく口当たりが柔らかい。
飲みやすいようで、しかし後からちゃんと苦味も口の中に広がってくるので、「ブラックコーヒー=苦味」と考えている人には具合が良い。
ヤギミルクのチーズケーキも
自分はチーズ好きでチーズケーキも大好物なのだけど、ヤギのミルクで作ったチーズケーキなんてものは初めてであった。
食べてみると、コクがあった。
ビールでコクと言ったら糖分になるけど、それとはまた違ったコクだ。
味に深みがあって、それでいて舌触りはサラッとしている。
美味かった。これはたまらん。
ちなみにヤギのミルク関係では、食べ物の他に石鹸なども売られていた。
店の人に何年前からお店をやっているのか訊ねてみた
食べて飲み終えてお代を払う際に、お店の方にここは何年前から続いているのか訊ねてみた。
すると今年でもう16年目だという。
正確には2002年の4月にオープンしたそうだ。
10年くらい前には存在していた訳だ。
これにおいて、10年くらい前にゲレンデ帰りに立ち寄ってJAZZを耳にしてその良さに気付かされたログハウスの喫茶店は、この「喫茶大工集団 欅」で間違いない。
随分と久しぶりにやってきた喫茶店がまだ存在していて、しかも動物好きにはたまらないヤギまでいるっていう発見もあって、自分としては有意義で嬉しい寄り道であった。
最後にヤギの寄り画
こんなに間近で撮れるというのはありがたい。
近くで撮るとますますかわいい。
何でも、4匹は親子なのだとか。
建物そのものといい、自然に溢れた喫茶店だ。
なお、この喫茶店、大工集団というだけあって本業は建築家だそうで、木材を多く使った家づくりも請け負っている。
木の良さを伝えるためにこの喫茶店も始めたのだとか。
さらには定期的にJAZZライブも行っているようだ。
色々と自分好みでまた来たくなった。
次行くとき、10年以上も間を空けることはもうないだろう。