初心の趣

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「奥能登国際芸術祭2020+」をマイペースに回る第四日目その2(盛圭太「海図」)

すべての作品が鑑賞可能になった奥能登国際芸術祭2020+へ、9月から数えて4回目の鑑賞旅へ行ってきた。

第四日目その2では盛圭太さんの「海図」を紹介したい。

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作品番号23のすぐ近く

今回紹介する作品番号22、盛圭太さんの「海図」は、前回紹介したNo.23の作品「再会」のある建物のすぐ近くに展示場所がある。

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この道を見て欲しい

能登国際芸術祭2020+の旗が立っている左側にNo.23の作品がある建物があり、道を挟んで右側に「海図」のある建物がある。

小さな土手の下にあり、その土手を下ることを禁じられていたので、No.23の建物から向かうには少し迂回しなければならないけど、距離としてはほんと目と鼻の先だった。

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駐車場に戻る

奥に見えている黒い瓦屋根をして横に長い建物がNo.22の展示場所だ。

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ここだ

大工倉庫だったところのようだけど、自分の第一印象は「武家時代の長屋みたいなところだな」だった。

2階があるので武家時代ではないかもしれないけど、何にせよ三世帯くらい住めそうな長屋に見えたのだ。

 

22番 盛圭太「海図」

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22番だ

作者の盛圭太さんは北海道生まれの日本人なんだけど、渡仏してフランスパリ国立美術学校に在籍していたりとフランスでも学んで活躍している方のようで、そういったことだからか名前の隣の国籍が「(日本/フランス)」となっていた。

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受付は入ってすぐ

受付は案内板のある入口を抜けてすぐのところにある。

左の方からも入れそうだけど、この右側から入るのが正解なのだろう。

受付も済ませて奥へ入ろうとすると、足元にこんなものが置かれていた。

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小さな舟だ

作品名が「海図」だけに航海にまつわる乗り物だ。

ボートのようで航海には小さすぎる気もするが、これがあるおかげで足元のコンクリートの床が水面や海面のように見えてきた。

航海へ出る冒険の妄想が俄に湧いてくるのだった。

そこから見上げると…

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なにやら怪しげな設計図のようなものが

壁に描かれていた。

しかもこれ、横にすごく長く、写真一枚で収まるようなものではなかった。

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接近して別アングルから

こうやって撮ってもまだ全体が収まりきらない。

これ、端から端まである。

下がって撮ればいいじゃないかと思われるかもしれないが、外に出るくらい下がらないとまず無理なんじゃなかろうか。

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だってここまであるのだから

なんだったら横の方まで「海図」が続いている。

柱もあるし、二階への階段(登れなくなっていた)もあるしで、全てをまるっと一枚に収めるのは自分のカメラでは無理であった。

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ようやく最後

全体を見せるには最低でも3枚の写真が必要だ。

終わりであると思われる左の方には何やら衣服のようなものがかけられていた。

全体的に何かの設計図のようなものに見えるし、こうして服のようなものもかけられているし、いわゆる「海図」にはまったく見えなかった。

正直、ミステリー。

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近寄ってみる

寄ってみると衣服のようで一般的なそれとは違うし、でもやっぱり死神のマントのようにも見えるし、逆さになったデカいコウモリのシルエットのようにも見えるしで、頭がこんがらがってくる。

でも、近寄ってわかったのだけど、この「海図」、糸でできていた。

鉛筆やペンではなく、古着をほどいた糸を伸ばして、このように図を描いていたのだ。

この衣服みたいなものも衣服で間違いなく、糸をほどかれたその残骸ということになる。

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それにしても「海図」には…

やはり見えない。

これなんか、エレベーターか何かの設計図に見えてくる。

しかも宇宙用の。

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だんだんと宇宙ステーションの設計図に見えてきたぞ

自分、子供の頃に『ガンダム』シリーズ(世代としては「F91」)もよく見ていたので、ガンダム脳からするとコロニーに思えてしょうがなかった。

公式ガイドブックによると、作者は「航海者のために、船がたどるべき海上の見えない航路を一本の線でつないでいく海図の作成と、布を織る行為の関係性を問う作品」としているみたいだけど、自分のガンダム脳は、作者の狙いをかなり無視する解釈をしてしまった。

「布を織る(陸上)時代から航海の時代を経て、次に向かう先は宇宙(そら)だ」

それを指し示している航路図なんだと、勝手に受け取りました。

自分はニュータイプではないので、こういう勝手な思い込みしか出来ない…

作者の方とは世代的に近いので、どうかご容赦いただきたい。

 

感想

「海図」と銘打ちながら何かの設計図にしか見えないものが静かに部屋の壁に描かれているので、よくわからないまま早々に立ち去ってしまう鑑賞客も、おそらく少なくないかもしれない。

自分が見ていた限りでも数人そのような方もいた。

でも、こういう一見わけがわからないような作品こそ、観る側の想像力は勝手にたくましくしていいものだと、自分などは思ってしまう。

勝手すぎて、作者の意図するところを無視する結果になっても、それはそれでいいとも思うのだ。

「よくわからん、次」と、ほぼ無関心で通り過ぎてしまうのは、ちょっと寂しいし、ちょっと勿体無い(パスポート代や入館料が本当に無駄になってしまう)気がしてしまうのは自分だけだろうか。

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このプロペラみたいなものもビームシールドに見えてならない

自分は「お金払っているんだから勝手に解釈して何が悪い」といつも思ってます。

自由に解釈… 芸術ってそれくらい懐が深いものだと信じたいし、この日本ではそんな自由も許されるものだと思ってます。

海図よ、まだまだどこか不自由な自分を導いてくれ…(『ガンダムW』も観てたなぁ)