初心の趣

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奥能登国際芸術祭2023を地震に負けず回る第二日目その8(ラックス・メディア・コレクティブ「うつしみ」)

能登国際芸術祭2023の鑑賞旅第二日目、上戸エリアにてこのエリアを代表する作品を観てきた。

2017年からある、ラックス・メディア・コレクティブの「うつしみ」だ。

何度も観てきたこちら、2023ではどのような印象を受けたのか簡単にまとめたい。

 

 

35番 ラックス・メディア・コレクティブ「うつしみ」

能登国際芸術祭の上戸エリアには2017の時から常設展示され続けている作品がある。

芸術祭が終わっても展示されてきたので、同エリアの顔のような作品だ。

それが…

ラックス・メディア・コレクティブの「うつしみ」だ

今年は35番だった。

こちらは2017のときの作品で、それ以来、ずっと旧上戸駅に設置され続けている。

2020+のときも観に行ったし、なんなら芸術祭以外の個人的な廃駅の旅で同駅に立ち寄った際にも見ている。

そんなもので、今回この作品を改めて説明しようとは思わない。

2023になって、作品がどうなっているのか、何も変わっていないのか、はたまた自分自身、この作品への見え方が変わったのか、変わらなかったのか、そのあたりを記したい。

ちなみに2023では看板はこんな位置に置かれていた

2017のときは画面右側の通路(農道)の真ん前に置かれていたので、それをイメージして向かっただけに、ちょっとだけ違和感があった。

駅の待合所を望むためこの道を通っていく

右端の通路(農道)を進んでプラットフォームの待合室の屋根の上に設置された「うつしみ」を斜めから見上げることになる。

こんなところから見せようとするのはプラットフォームが立ち入り禁止になっているからで、今年などはご丁寧にこの通路の両端にしっかりと道に沿って規制線代わりのロープも伸ばされていた。

以前はこの小さな「入らないで下さい」看板だけだったのに

入って行って近くで撮ろうとする人が多かったのか、しっかりとロープで規制されている。

こんなところまでロープが伸びている

周りの畑を守るような、そんな印象がある。

2017のときは畑のあぜ道を通って、プラットフォームの待合室を正面に観ることもできたのだけど…

あぜ道の入り口にもしっかりとロープが

ここを真っ直ぐ行くと、作品を斜め右側から観ることもできたのだけど、今回はそういった角度からの撮影もできなくなっている。

「農道および田んぼには入らないでください」の看板も

これだけ入らないでくださいということは、以前に畑を荒らされたか、ここはライトアップされる夜間公開もある(むしろ夜間こそが正しい鑑賞時間)ので、そのときに暗闇で畑に突っ込んでしまって怪我をされた人がいるか、そんな邪推をしてしまう。

2023の鑑賞はこの角度からオンリーのようだ

これが「うつしみ」だ。

ホームの廃駅の待合所の屋根の上に待合室と同じような形をしたアルミの骨組みが斜めに乗っかっている。

夜になると、その骨組みが青白く光って、待合室が幽体離脱しているように見えるので、本来は夜に見に来るのが正解だったりする。

自分は今回、時間の都合で昼にしか来ていない。

そうしてこの角度限定で撮影させられているわけだけど、それでもこの角度からの撮影が1番いい角度だったりするのではないかと、改めて気付かされた。

 

近くから見上げる

全体を見る遠くからの撮影のスポットが限定されているなら、逆に近づいてみてみようと、プラットフォームの待合室の傍まで行ってみた。

案の定、こちらにもしっかりと規制線

線じゃなくチェーンで規制されていたので、よほど近づいてほしくないらしい。

冷静に考えると、5月に大地震が起きていて、このあたりも相当揺れて、建物やホームにダメージを食らっているわけだから、いつ崩れたり倒れたりするかわからないことを考えると、こうして規制するのも当然といえば当然だったりするのだろう。

ここでも地震の影響を垣間見た気がする。

近くで見るとすごい角度で乗っかっている

たしかに、これが転がり落ちてきたりしたら危ない。

待合所の屋根とか壁とか見ていても、ダメージあるなと素人でもわかるので、規制は当然の措置なのだ。

むしろ、5月のあの大地震によく堪えて残ったなと思う。

それはある意味で奇跡かもしれないし、「凄いじゃないか旧上戸駅とうつしみ」と、そのたくましさに希望をいだきたくもなる。

希望の光(逆光を利用して)

地震で被災しても負けてられないのだ。