初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

百万石行列は金沢城内にいると結構ほとんど見れる<後編>(利家公もおまつの方も見れる)

金沢百万石まつりの百万石行列は金沢城内で待機しているとそのほとんどを見れたりする。

前回<前編>の続きだ。

パレードの目玉である、いや百万石まつり全体の目玉でもある前田利家公の姿ももちろん目にすることができたので、以下に記したい。

 

 

 

尾山神社御鳳輦も見れた

御鳳輦(ごほうれん)だ

加賀鳶はしご登りの次にやってきたのが「尾山神社御鳳輦」だ。

コロナ禍で昨年は見れなかった尾山神社の神輿が通常開催になった今年は見れたのだ。

天狗も登場

この天狗に誘導されるように…

神輿も登場

前田利家公の御分霊がのっている神輿だ。

パレードがメインだけど、祭りって神事なんだよなと改めて気付かされる。

神輿も重いと思うけど

駅前からここまで担いで渡御してきたわけだ。

これはこれですごい。

あれ?なんか野球選手もいた

プロ野球独立リーグ日本海オセアンリーグ」に所属する「石川ミリオンスターズ」の選手たちだ。

行列に参加するとは聞いていたけど、こうして御鳳輦に連なっているとは知らなかった。

 

子どもたちの活躍も

なんだこの赤い子たちは

御鳳輦も目の前を通過すると、次には赤い装束に身を包み前田家の家紋である加賀梅鉢の旗を掲げた先導がやってきた。

彼ら彼女たち、学生さんだろうか? 見るからに若い。

と、思えば、その後にはこんな一団が。

五郎島子ども奴保存会の一団

コロナ禍のせいで昨年までは行列に参加できなかった「子ども奴(やっこ)」が、通常開催された今年、復活していた。

百万石行列には、このように大人だけではなく子どもも参加できる枠がある。

見よ、このあっぱれな姿を

武士の姿だけど、袴はまくりあげているし、かなり傾(かぶ)いている。

これも重そうなんだけど

担いでここまでやってきている。

驚きなのが、しかも担いでいるのが女子だったりする。

いやはや、たくましい。

その後方には珠姫御輿入れ行列も

前田家の3代目で加賀藩2代藩主となる前田利常のもとに二代目将軍である徳川秀忠の娘「珠姫」(たまひめ)が嫁いできた時の様子を描いている行列だ。

玉姫、嫁いだときの年齢がまさかの3歳だっていうから(利常はそのとき8歳くらい)、いわゆる政略結婚なんだけど、利常と珠姫って仲良くて、のちのち三男五女の子どもを授かっている。

嫁いできた3歳という若さを再現するため、珠姫役は毎年地元の小さな子供(園児)が選ばれている。

利常役はだいたい地元の小学生低学年くらいの子が選ばれている。

小さくてもこの凛々しさよ

先頭の二人が珠姫さまと利常公だ。

ちゃんと手を振ってくれているところが嬉しい。

沿道ではでかい車に乗ってやってきていて、寝落ちしそうな場面もあったけど(録画しておいたテレビで後で確認)、よくここまで頑張ったと思う。

ナイススマイル

その後ろに連なっているの子たちは「遊び相手役」の子どもたちだ。

いつも男女4人なんだけど、コロナ禍のときはこの遊び相手役が中止になっていたので、特別に今年は男女計6人が選ばれていた。

彼ら彼女たちも地元の子供達だ。

ついでにいうと一番うしろにいる世話役をしている大人の女性二人は、珠姫役、利常役の子たちの親御さんが演じているそうだ。

子どもが大役に選ばれると、親もまた行列に参加できるのである。

ちなみに、自分の斜め前でこの行列を見ていた親子連れの方がいたのだけど、そのお母さんの方が小さいときにこの珠姫役に選ばれたことがあるという会話をしていた。

歴代珠姫役の人たちが大人になって、自分たちの子どもたちとこうして行列を見守っているのかと思うと、なんか、ほっこりしてしまった。

子どもたちの行列はさらに続く

こちらは「狂言師 酢屋の権七」だ。

まだ小さな子供だった珠姫さまの御輿入れの道中のお慰みとして一役買っていた狂言師なんだそうだけど、それらも子どもたちが演じている。

こちらは「御見送」の一団

そしてこちらは「御出迎」の一団

珠姫をお見送りしたのもお出迎えしたのも、ちゃんと資料が残っているんだね。

しっかり名前が記されている。

そしてこうしたものもこのパレードでは子どもたちが演じている。

そしてやってきた「あやめ隊」

珠姫御輿入れ行列、御殿女中グループの「あやめ隊」だ。

手に菖蒲を持って踊りも見せる一団だ。

地元の小学生5、6年生50人くらいが選ばれているそうで、踊りの練習もちゃんとするんだそうだ。

華があるな

この子たちがやってくると見物客の女性の人たちがけっこう湧くので、私もむかし参加した、という人も少なくないんじゃなかろうか?

御輿入れ最後は「小姓」の一団

侍姿のこれらも子どもたちが演じている。

珠姫御輿入れ行列は子どもたちのものなのだ。

通常開催されてよかった。

御輿入れ行列の構成がどんなものなのか、改めてよく知れたよ。

 

大人奴行列も見れる

珠姫御輿入れ行列でキッズたちの活躍も目にした後は…

大人奴行列も見れる

いよいよ大人たちによる武者行列が始まるのだ。

その先導役みたいなポジションにいるのが「大人奴」(おとなやっこ)だ。

「子ども奴」もだいぶ傾いていたけど、大人の方はさらにその度合が凄い。

上半身裸に隈取のような奇抜なヒゲメイクをした大将(音頭取り)に導かれ

顔真っ赤の奴(やっこ)がやってくる

赤い!

市内各地で大人奴の文化は継承、保存されているんだけど、百万石行列に参加する「粟崎奴保存会」の皆さんの奴は赤鬼のような顔をしている。

この文化って大名行列のころからルーツがあるそうなんだけど、当時の人達の目立とうとする意識って、現代人より遥かに高かったんじゃないかと思ってしまう。

長い!

「毛槍」という道具だ。

軽々と持っているように見えるけど、長さ3.5メートル、重さは5kgある。

振り回したり、投げて渡したりもするんだけど、相当な力とテクニックが必要だ。

そしてさらに重いのがこの「挟み箱」

14kgぐらいあるらしい。

こんなの担いで3km以上の沿道を行進し、さらに持ち上げたり、上空に投げたり、音を鳴らしたり(昔は中に小銭が入っていたらしい)するんだから、半端ない。

独特の動きをしながら進んでいくんだよね

ただ担いで行進するんじゃなくて、舞いながら進んでいくので、これまた体力がいる。

その分、華があるので大人奴行列がやってくると盛り上がる。

肉体技は見ていてやはりかっこいい。

 

おまつの方も、見れた

大人奴に続いて入場してきたのは「おまつの方」の一団だ。

いまでは利家公もおまつの方も芸能人の方が演じられる。

今年2023年は前田利家公を歌舞伎俳優の「市川右團次」さんが、おまつの方を元宝塚で女優の「紺野まひる」さんが演じてくれていた。

むかしは、それこそ最初の方はどちらも一般の金沢市民が演じていたんだけど、昭和59年に金沢市出身の俳優である鹿賀丈史さんが利家公を演じたのをきっかけに芸能人の方が利家公を演じるようになった。

平成13年の第50回目の節目の年には、おまつの方も女優の方が演じてくれた。そのときは斉藤慶子さんだった。

51回目から56回目まではまた一般の方がおまつの方を演じていたけど、平成20年の第57回目に石野真子さんが演じると、それ以降は毎年女優の方が選ばれている。

一地方の市民のお祭りが、俳優を起用することでその枠に収まらない規模の祭りになってしまった。

実際、県外や海外からの見物客も増えているんだから、金沢市、なかなかやるもんだなと子供心に思ったものだ。

地元民としても有名人を生で見れて嬉しい限りだし、金沢に来てくれてありがたい話だなと毎年思う。

そして、芸能人演じるその二人は、この行列の一番の華だと自分などは思う。

「お松の方行列」がやってきた

これを見て、急にドキドキとしてしまう。

獅子舞や加賀鳶は演技があるから、目の前で止まってその勇姿を近くで目にすることができたが、おまつの方の行列は特にそういった止まって演技みたいなものがないから、通過するだけになってしまう。

目にするなら、撮るなら、その通過する瞬間を捉えなければならない。

女性が多い

お供の人達もいるので行列の多くは女性の人たちで構成されている。

これだけ女性がいると、どれがおまつの方なんだ? どれが紺野まひるさんなんだ? と探してしまうことになる。

衣装見ればすぐわかるようなものなんだけど、現場にいるとやはり焦ってしまうのだ。

どこにいるんだ~?

身分が高そうな豪華な着物を着た方々もやってくるので、ますますわからなくなってくるし、え?もしかしてもう行ってしまった?と焦ってくる。

あ、外国の方も参加してる

おお、インターナショナルだ。

何度もいうが、一地方の市民のまつりだったこの行列が、こうして外国の方々にも親しまれているということが金沢市民としてうれしい。

こういうことに注目してしまうから、おまつの方探しは難航してしまう。

でも、安心してほしい。

おまつの方はその一団の最後にやってくる。

これをわかっていれば、焦ることもない。

自分はわかっていなかったから、バタバタとしてしまった。

そして、テレビ中継のカメラが追いかけているのでカメラマンや音声の人たちを見かけたら、それらが追いかけている人こそ「おまつの方」だと思えば良い。

あ、来た!

おまつの方だ!

紺野まひるさんだ!

石川テレビのガンマイクも写ってしまっているけど!

市内の沿道では大きな乗り物に乗って優雅にやってくるが、入城してからはこのように歩いてやってくる。

テレビ中継では主に沿道での姿を映しているので、こうして歩いてくる姿はなかなかレアだ。

すごく近くに感じる。

追いかけているカメラマンも目の前に来ちゃうけどね…

後姿も美しいものだ

中継カメラが入らないように撮ろうとして枚数そんなに撮れなかったけど、なんとかその姿を写真に収めることができた。

紺野さん、きれいだったなぁ。

宝塚出身の女優でおまつの方を演じたの、今回の紺野まひるさんが初めてなんだとか。

ちなみに歌舞伎俳優で利家公を演じるのも今回の市川右團次さんが初だそうだ。

宝塚や歌舞伎界をも巻き込んできているのだ、このお祭りは。

誇らしいやら、ありがたいやら、え?いいの?と思ってしまうやら、複雑な嬉しさが込み上げてくる。

 

武者行列も見れる

おまつの方も入城すると、次はいよいよ前田利家公だ。

でもその前に、まずは4代、5代藩主の武者行列がやってくる。

待機中の藩主行列

おまつの方の行列が進んだ先の特設ステージに到着するまで、こうして待機している。

行列は隙間なくやってくるのではなく、見やすいように、わかりやすいように、こうして一団ごとに区切るように入ってくるのだ。

この頃には馬もやってくる

市内沿道では藩主の方々は馬に騎乗してパレードをしているので、入城後はお役御免となった馬が控室に向かっていくさまも見れる。

馬、かわいい。

四代藩主「光高」入城

加賀藩主を初代から言えと言われても自分などは答えられない。

こうして行列を見て、ああ、四代目って前田光高なんだと、今更のように知るのだ。

テレビ中継でもあまり注目されないので、なかなか頭に入ってこない。

この方が四代・光高だろうか?

正直、よくわからないけど、身なりからそうじゃないかと思いたい。

五代「綱紀」入城

綱紀の名前はなぜか耳にしている記憶がある自分。

現代にも残る加賀の工芸文化や学問を振興させたのがこの人だったはず。

今年はこの方が綱紀公かな?

と、信じたい。

なお、この4代、5代藩主行列の方々は金沢市の交流協定都市である東京都文京区と板橋区の方々が扮している。

江戸時代は参勤交代があったので江戸(今の東京)にも藩の屋敷がいくつも有り、前田家加賀藩の屋敷が文京区や板橋区にあった縁から交流協定都市となっているのだ。

文京区本郷にある東京大学のキャンパスがもともとは加賀藩前田家の屋敷だったということは結構有名な話かと思う。

東大の赤門は加賀藩前田家の御守殿門だ。

足軽?に女性の姿も発見

お供する武者行列の中に女性の姿もあった。

ジェンダーフリーの現代的でこういうの好き。

外人の方もいる

おまつの方の女性の行列だけではなく、男が多い武者行列の中にも外人の方々がいた。

気さくに笑顔で手を振ってくれる。

カメラ目線もくれるし

いい笑顔だ。祭りを楽しんでいるなぁ。

自分も撮っていて楽しかった。

続いては加賀八家老行列も入城

加賀藩には「加賀八家」と呼ばれる大名家老が8人いて、藩の中でも強大な力を持っていたんだとか。

なんでも「加賀藩には藩主が9人いる」と言われたくらいなんだって。

その加賀八家の武者行列もあるのだ。

旗を持った武者たちが続々と入ってくる

八家もあるものだからそれぞれを示す旗でいっぱいだ。

なびく旗が迫力あり

筆頭家老の本多家、長家、横山家、村井家、奥村家が2つ、さらに藩主以外の前田家も2つの計八家だ。

全部分かる人は、金沢通だなと思う。

旗持ちの方々も

鉄砲隊も

皆さん、楽しそうだ

百万石行列に参加できるって、やっぱり楽しんだろうなぁ。

年に一度の金沢市内最大のイベントだし、一度でも行進できれば自慢話になるよね。

 

そしていよいよ前田利家入城行列

そしてついにやってくるのが「前田利家入城行列」だ

いよいよ利家公の行列がやってくる。

このプラカードを目にすると、おまつの方のとき同様にカメラを構える自分はまたまたドキドキとしてしまう。

どのタイミングで市川右團次さん扮する利家公がやってくるのか、よくわかっていないからだ。

もしかして先頭にいるのか?

なんてことも考えてしまったくらいだ。

もちろん、一団の先頭にはいない。

先導する人たちも雰囲気がそれまでとちょっと違う

「吹き流し」を掲げて行進だ。

これがまた時間的に斜めに差してくる夕日に映える。

武者姿の人たちも然り

本人たちは方角的に夕日に向かって進んでいるので眩しいかもしれないけど、いい感じで影が伸びているね。

クライマックス感が上がってきてる。

そんな中やってくるこの立て札

そこには前田利家の文字が。

え? 市川右團次さん、どれ?

金色のナマズの兜を持っている人?

と、俄に焦り始めてしまう。

いや、兜を持っている人は兜持ちの人だろうし…

じゃあ、その後ろの鷹を持った人か?

焦って撮ってしまったけど、いえ、この方は鷹匠さんであって、もちろん利家公ではない。

シャッターチャンスを逃せないから、いろいろと混乱してしまう。

それっぽい人が登場

そんな中、ひときわキラキラしたシルバーの鎧を着た武者が登場。

その綺羅びやかさに、現場の見物客の中に、

「あ、あの人が利家公や」と言う人もいた。

え? この方?

凛々しく素敵な笑顔で手を振ってくれるその姿にはたしかに藩主らしい雰囲気が漂っているけど、市川右團次さんって、こんな顔だっけ?

と、自分は、おそらく自分の周りにいた他の見物客の人達も、「?????」と頭の中にクエッションマークが並んでしまっていた。

勘違いして、早々に現場から去ってしまった見物客もいたくらいだ。

現場は少し混乱してしまっていた。

いまだから言えるが、この方ではない!

 

利家公も見れる

行列がほとんど進み終えると、公園内がしばし静かになる。

結局、市川右團次さん扮する利家公は?

もう過ぎていったの? やっぱりさっきの銀の鎧の方?

と、戸惑ってしまうのだけど、そんなとき、一人の伝令役が芝の上を駆けていく。

なんか伝令の人が声を出しながら走ってきた

紺野まひるさん扮するおまつの方が待つステージに向かって走っていくのだ。

利家公が到着したことを伝えにきたのだ。

自分もよくわかっていなかったが、こんな伝令の演出が行われるのだ。

一番のメインである利家公だ、行列に紛れてやってくるわけではないのだ。

あ、来た!

さすがメイン、前方を歩く人がすでにいない!

そしてその金色の鎧!

間違いない、市川右團次・利家公だ!

あ、でも、見物客の皆さん、一斉に最前列に移動したり、立ち上がったりを開始。

さすがメイン、みんなの注目度が違う!

おかげで自分も撮りづらい!

おお! 右團次利家公!

横顔、凛々しい!

しかも右團次利家公、進みだすと一直線で紺野おまつの方へと向かっていく!

以外と歩くのも速い!

ああ~

過ぎていく~

他のお客さんも写り込まず利家公を捉えることができたのは、この一枚だけだった。

う~む、横顔だ。

ポジション取りって難しいね。

こっちを向いてくれるかどうか、運もある。

それでも拝顔できただけでうれしい。

気持ちも昂ぶった。

赤母衣衆を引き連れ、おまつの方が待つステージへ

ほんと一直線だった。

その真っ直ぐな姿に、二人の愛を感じてしまった。

なんか、妬けたよ。

 

感想

以上、金沢城内で目にした百万石行列である。

前編で記した獅子舞や加賀鳶はしご登りに続き、利家公やおまつの方も見ることができた。

城内の公園で待機していれば、行列のほとんどを目にすることができるのだ。

目にできないことといえば、利家公の乗馬している姿だろうか。

市内沿道を行進しているとき利家公は馬に跨って進むので、騎乗姿を目にしたい方は沿道に出るしかないだろう。

逆に言うと、ちょっとレアな歩く姿を目にできるのは城内ということになる。

そのあたりの差が伝われば幸いだ。

ステージ上で行われる入城祝祭

市川右團次さん、なかなか真正面に捉えることはできなかったけど、いやぁ、その声、ほんといい声してた。

歴代利家公役の中でも1、2位を争うくらい声がすごく良かった。

その声を同じ場所で聞けただけでも今回現場に観にやってきて良かったと思った。

テレビで見るのもいいけど、ライブで見るのも同じ空気を吸えて、同じ盛り上がりを共有できて、やはりいい!

人が多くて大変だなと思うこともあるけど、来年も生で見に行こうかな。