田畑の中にあって目立たないのに中はきれい…
廃駅の旅、26回目だ。
今回は旧能登線の南黒丸駅に行ってきた。
地図で見るとアバウトな場所に
のと鉄道の廃線になった輪島線や能登線を中心に使われなくなった駅をめぐる廃駅の旅も26回目だ。
今回は、前回の撤去されて何もなかった鵜島駅の次の駅に当たる南黒丸駅に行ってきた。
南黒丸はそのまんま「みなみくろまる」と読み、珠洲市宝立町南黒丸というところにある。
グーグルマップにも載っているのだが、どこで曲がって入っていけばいいのかちょっとわからないアバウトな場所を印していたので、迷子常習犯の自分としては正直困った。
なにはともあれまずはその地図
わかるだろうか?
周りに道のないタダっ広い平地の真ん中にそれはあるのだ。
おおまかな行き方としては前回、前々回同様に内浦海岸を北上していけばOKだ。
珠洲市宝立町南黒丸のあたりまで進んで、そこからどこで曲がれば駅跡にたどり着けるのか、そこが地図ではわかりづらくて、車で行こうとすると問題になる。
自分も現地で迷いながら、とりあえず目印になるものを自分の中で定めたので、以下に記したい。
こちら内浦街道
宝立町南黒丸付近だ。
右手に「北國新聞」と書かれた看板が掲げられた建物が見えるだろうか。
軒下には自動販売機が置かれクロネコヤマトの幟旗も出ている建物だ。
この北國新聞の看板が一番の目印になるかと思う。
この建物の次のT字路で左折すると目的の廃駅に行けるのだ。
ここ
グーグルマップにも載っていないココを曲がる。
曲がるとわかるんだけど、それなりに広い道なのにマップに載っていないから謎な道だ。
農道?
農道とかならグーグルマップにも載っていないということはしばしばあるので、そういうイメージを持って曲がってみたのだけど、しっかり舗装されているし広いし、耕運機が走るというより、普通の乗用車が走る道にしか見えない。
何にせよ、ここを進み、オレンジの車が止まっているあたりまで行くと、右折して入っていく、それこそ農道とよべる道がある。
ガードレールのある道がそれ
このあたりは周りが田んぼなので、このガードレールのある道は間違いなく農道だ。
曲がるとこんな景色
普通車が入っていくと迷惑になってあんまりいい顔されなさそうな道だ。
この道を進んでいくと目的の「南黒丸駅」に到達できるのだけど、どこにあるかわかるだろうか?
実はこの写真にももう写っている。
写っているのだけど、わかっていないと見えない。
この方向から見ても分かりづらいのだから、内浦街道を走っていて見つけられるものではないだろう。
田んぼに囲まれ目立たない廃駅
上の農道を真っすぐ進んだ先、右手に大きな木が一箇所に密集しているところがあるのがわかるだろうか?
目的の廃駅はその木々の密集しているところにある。
近寄ってみると…
ようやくわかる
木々の下にホームがあり、そこに待合室も残っていることに気づく。
というか、ここまで近づかないと気づかない。
木の枝の茂りっぷりがすごくて、ホームをすっぽり覆っているのだ。
周りが田んぼでタダっ広いところにあるのに、これじゃそこに廃駅があるなんて知らない人はわかるはずもない。
柵がグリーンカーテン状態
これ、意図的にホームの柵に蔓を絡ませたのか、完全ナチュラルでこうなったのか、もともとの木板がまったく見えないくらいに葉っぱがびっしりだ。
甲子園球場よりびっしりなんじゃないかと思うのは地元贔屓によるものだろうか?
待合室
近づいてみると待合室は形がそれなりに残っている。
窓ガラスや入り口の戸はすべて取り外されて吹き抜け状態だし、トタン屋根の一部には穴があいているが、時々ちゃんと掃除をしているのだろうか、内側は葉っぱやツタの侵食を受けておらず、残っているベンチはいまも座れるような状態だった。
このとおり中はきれい
雑誌が放置されていたり、床にゴミが落ちているようなこともない。
ママさんダンプの手前にゴミカゴもある
ゴミカゴがあるだけで清掃美化の意識があるのが伝わるのに、そのゴミカゴの中まできれい、ゴミひとつなしの状態を見ると毎朝掃除しているんじゃないかと、そんな情景すら思い浮かべてしまう。
ちりとりが置かれていたし
「のと鉄」と書かれたチリトリが待合室前に蚊取り線香の缶と一緒に置かれていた。
この、ゴミは一切ないのに掃除道具が放置された状態がアイロニーの雰囲気を醸していて面白い。
むしろここにチリトリが置かれていることで、朝の一仕事(掃除)を終えた感も出ているというものだろう。
周りは田畑だし、農作業のついでに掃除をしているじゃないかと、そんな景色まで勝手に空想してしまう。
これって用具箱?
物入れが外に置かれているところも少し変わっている。
開けていないので確認はしていないが、なんだろうか、ここに掃除道具が入っているのだろうか?
小学校の掃除の時間を思い出してしまう。
いやいや、これが外にあるということは、毎朝掃除しているのではなく、最近ドカンとまるっと大掃除をしてこれだけきれいになっているのかも知れない、なんて逆説的なことも想像してしまった。
目立たないところにあるのに中はきれい、このギャップに自分の勝手な想像力だけがたくましくなっていく。
ちなみに待合室からの景色はこんな感じ
広~い田畑だ。
野球ができるんじゃないかと思えるくらい広い。
ただただ広くて、やっぱり空想ばかりしたくなるところだ。
この広さを活かしてなにかできそうな気がしてならない。
まとめ
以上、現在の南黒丸駅の様子である。
ホームも待合室も残っているけど、広い田畑に囲まれて、おまけに樹の下にあるからか、なかなか分かりづらいところにあった廃駅だった。
ツルが絡まっているところも多く、また待合室の窓などは取っ払われてあちこちダメージを受けている箇所もあったが、それでいて内側はきれいに掃除されているというギャップがあるので、地域の方々の保全の意識の高さがうかがえるところでもある。
まあ、自分としてはあれやこれやと情景を勝手に想像をしてしまったわけだけど、そういう想像力をたくましくさせてくれるスポットというものは下手なアート作品よりアーティスティックに感じさせてくれるので自分にはかなり好みだ。
それだけ人の手がいまも掛かっているということで、そういう活動(ただの日課かも知れないけど)に、ハートウォーマーな何かしらを感じるのである。
ということで自分ももうちょっときれいに撮ってやりたい
自分の中ではよりきれいに、明るく、ほっこりするような写真にならないかと撮ってみた。
こうして見ると木陰に隠れた陰キャみたいな雰囲気は少しは払拭できたのではないかと思うのだけど、自画自賛というものだろうか?
晴れた空とも似合うじゃないか。