「ハナミ」と読むから花見の季節に行ってみたい。
廃駅の旅、14回目だ。
今回は旧能登線の「波並駅」に行ってきた。
周辺が桜の名所だった廃駅
のと鉄道の旧能登線を中心に廃駅をめぐる個人的な旅、14回目の今回は前回の矢波駅の次に当たる「波並駅」に行ってきた。
矢波駅からは2km位しか離れておらず、同じく国道249号線沿いにあるので見つけやすい。
地図
国道249号線の中でも矢波から引き続き海沿いにある。
このあたりは旧線路沿いに桜が植えられているので、車で珠洲方面へ向けて走っていると右手には海、左手にはサクラを目にする事ができてえらく情緒がある。
ちなみに「波並」はこう書いて「ハナミ」と読む。
桜の植樹も花見(はなみ)にかけて行われたのではないかと思えてしまう。
249号線を走っていると見えてくる駅看板
行き方が難しくないので早速到着してしまう。
国道を珠洲方向へ走っているとこの堂々と駅名が書かれた看板が左手(やや小高いところにある)に目にできる。
桜ももう見えている。
廃駅となる前からここはサクラの名所だったらしい。
やっぱりというかバス停もある
看板の足元には国道沿いにバス停もある。
その名も「波並駅前」なのだから、迷うことはまずないだろう。
ただ迷うことはないものの、車で来ると駐車できるところが付近にないので、どこか邪魔にならないところに路駐するか、すぐ目の前にある漁港倉庫等に停めさせてもらう必要があるだろう。
桜を愛でながら
駅看板とバス停の待合所の間に小さな坂がある。
そこを登ると廃駅のホームに着く。
こちらがその坂
柵なんかは駅っぽい雰囲気をまだまだ残している。
それに沿うように桜が植えられている。
香りをかぎながら上れるので、これもちょっとした桜坂に思えてしまう。
ホームもすぐそこ
この木陰が個人的に好み。
日向にある桜の景色へ出る前のワンクッションとして、気持ちを整えられるというか、スイッチを入れ直すのに丁度いい。
到着
こうして見ると大きな桜の枝がホームの上でアーチを作っているようである。
幹の太さから何十年も前からあったであろう桜ゆえにこのあたりでは名所と言われていたのもちょっとわかる。
また、よく見ると線路があったところにも小さな桜が植えられている。
このあたりの賑わいを取り戻そうと廃線後に植樹されたもののようなのだけど、この小さなサクラのために、よりアーチのように見えた。
最初の駅看板
左手に最初に見えた駅看板は、ホームからだとこの位置にある。
下に走っているのが国道249号線なので、ここからもちょっとだけ高いところにあるのがわかるかと思う。
背後にあるのは海だ。能登の内浦だ。
さらにホームには待合室も残っていた。
近寄ってみるとここにも「波並」の文字
ご丁寧に「はなみ」に「HANAMI」とふりがなも記してある。
ますます「花見」を想起して仕方ない。
それにしてもどこを撮っても桜が写り込みますな。
廃駅の待合室などは鍵が閉まっていて中に入れないことも多いのだけど…
ここのは開いてました
中に入れた。
戸もスムーズに開いたし、普段から使われている感がある。
サクラの名所だったところだけに花見などでいまでも立ち寄る人がいるのだろう。
中に入ってみるとノート発見
中にはシーツが掛けられたベンチがあり、学校で使われているような机も置いてあった。
その上には駅ノートも置かれていたので、やはり訪れる人が結構いるようである。
覗き込んしまう自分
そして撮ってしまう自分。
海を求めてこのあたりに来る人もいるようだし、ここが桜の名所であると知られているようで春にまた来たいと記している人もいた。
自分としては、廃駅巡りをしている人が結構いることに驚く。
仲間がいるようでこれは個人的にちょっと嬉しい。
窓からの景色
旧ホームにサクラに、そして海だ。
この駅がちょっと特別なのかもしれないけど、廃駅巡りをしていると、たまにこういういい景色を見れたりする。
この景色を残しておきたいという意味でも、賑わいを取り戻そうと植樹するの大いに賛成。
ホームの端っこから
どこから撮ってもピンクの花、華。
少し残念なのはこのときまだ満開ではなかったことだろうか。
それでもさくらと廃駅って似合うなとしみじみと思った。
撮り方次第でいっぱい咲いているようにも
見えなくもない。
いつもより花がキレイに見える気がした
なんてこともしみじみと思うのであった。
それくらいこの廃駅は桜を愛でれる場所なのであろう。
波並駅はやっぱり花見駅だと思う。
感想
以上、現在の春の波並駅の様子である。
国道からするとちょっと小高いところにあるせいもあって、まず眺めが良い。
そこからは海を見下ろせ、さらにこの季節だと桜にも包まれる洒落たところだ。
都会の中のそれとは違う自然の中の洒落たところなので、心が洗われた。
廃駅なのに心のデトックスの場所としていまも活かされていると思うと、廃駅を巡っている者としてはうれしい。
見方を変えると、廃駅だからこそ、ちょっと心すさんだときには慰めうるのかもしれない。
廃駅という、落ち目を見た場所であるからこそ、そういう心理状態のときにはシンパシーを感じれる、感じ取ってもらえる、といった具合だ。
去り際にも撮影
なんか名残惜しくなる。
このちょっとした高さのせいでそこが別天地のようにも思えた。
もうちょっとのんびりしていきたくなったのだった。
桜がなくても海だけでもいいところかもしれないが、来るならやっぱりこの花見の季節だろう。
「ハナミ」だけにシャレのつもりでこの時期にやって来て正解であった…
と、自分を褒めてやりたい。