初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

宇出津の「あばれ祭り」での神輿を叩きつけて川に放り投げる様を撮りたい

石川県の能登地方では夏になるとあちこちでキリコ祭りが始まる。

その先陣を毎年切るのが鳳珠郡能登町の宇出津で行われる「あばれ祭り」だ。

毎年7月の最初の金曜日と土曜日に行われるこの祭り、二日目には神輿を叩きつけて川に放り投げたりするという。

話を聞くだけで猛々しく、一度見に行きたいと昨年より思っていた。

ということで今年はそれらを狙って宇出津へ行ってきた。

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昨年に続き宇出津のあばれ祭りへ

当ブログでも記事にしたが、昨年、自分もあばれ祭りに足を運んでいる。その時は初日のメインイベント「大松明乱舞」を見に行った。

昨年の大松明を見に行ったときの記事はこちら

大松明は昨年見れたので、今年は二日目の通称「あばれ神輿」を撮りに行った。

2基の神輿を地面に叩きつけたり川や海に放り込んだりする、一見して罰当たりにも思える、その名の通り暴れる荒々しい祭りだ。

ひとまず地図で場所の確認

宇出津は石川県鳳珠郡能登町にある港町だ。

現在「町」としての宇出津は合併によって消失しているが能登町の宇出津地区として県民に認知されている。

二日目の神輿、ならびにそれを導くキリコたちは地図上の「酒垂神社御旅所」(スクロールしてやや下の方)あたりから県道137号を北上して「梶川橋」あたりを目指して進んでいくことになる。

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酒垂神社御旅所の様子

このあたりから、写真でいうと手前の方へと神輿が進んでいくことになる。

あばれ祭りって、この「酒垂神社」ともう一つ「白山神社」の宮司が「八坂神社」(すべて宇出津の神社)の祭礼に奉仕する祭礼のことなんだとか。

そのため神輿もこのあたりから出発するようなのだ。

見てわかるように夜だ。

昨年見に行った一日目もそうであったように二日目もまた夜の9時から祭りがスタートする。

2基の御輿のうち一つを追いかけながら、地面に叩きつけ、川に放り込む様を目にしてきたのでその写真を以下に並べたい。

 

叩きつけられる神輿

自分が今回追いかけた神輿は興能信用金庫の近くにあるちょっとした広場からずっとマークしていた。

二つある神輿のうち出発の順番でいうと2番めにあたるものだった。

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広場での出発前の様子

宮司がなにか祝詞を上げていた。

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担ぎ手の男たちはうつむいて拝聴

こういったシーンが道中何度も見られたが、このあと暴れる(叩きつける)のでパワーを充填しているようである意味物々しい雰囲気があった。

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通り(県道137号)ではキリコも動き出している

この40数本あるキリコたちがミコシの道案内&照明の役割を果たすのだ。

むかしは男だけが担ぐものだったそうなのだが、いまでは女性の担ぎ手も多かった。これも時代というやつだ。

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神輿も出発

比べてこちらは屈強な男たちだけで担ぐ。

叩きつけたりを考えると、女性では筋力的、体力的にさすがに難しいだろう。

なお、神輿の天辺には鳳凰の飾りなども見かけられたが、出発する前には取り外されていた。

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いろんな家でごお神酒ゲット

家と記したが主に企業(個人企業)の前でこうして止まっていた。

お酒をもらうとき、男たちは家の前で座し、宮司祝詞を上げているときはやっぱりうつむいて黙念としていた。

そういう感謝の示し方なんだと思われる。

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お神酒、注がれる

お酒は神輿の天辺に注がれていた。

そしてこれまた感謝を示すことなのか、きまってこのあと家の前で神輿を地面に叩きつけることになるのだ。

その様が、正直クレイジー(褒め言葉)で、なかなか他所では見かけられない。

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持ち上げて

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叩き

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つける

傍から見ればすんごく罰当たりかもしれないが、これがあばれ祭りだ。

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なんせ転がしたりもする

1枚の写真ではわかりづらいけれど、叩きつけた後に転がしたりするのだ。

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わかりやすいようにGIFにしてみた

回転の種類でいうとローリング回転させられている。

神輿からするとたまったもんじゃないだろうけど、見ている者からすると愉快だ。

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ほかにもこっち方向にも回転

横に倒された状態で旋回させられたりもしていた。

大きな石臼を回しているようにも見える。

ヒールレスラーのプロレス技のようにゴリゴリと地面に擦り付けられているので神輿からするとこれまたたまったもではないが、やはり見ていて面白かった。

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しまいにはこんなことまで

痛めつけていたと思ったら、なんかすんごい体勢にしていた。

担がれる神輿の本来の体勢からはかけ離れた姿なので、辱めを受けているようにも見えたのは自分だけだろうか。

痛めつけて辱める、なんとまあサディスティックなことか。

みなさん、やんちゃだ。

その暴れっぷりに写真を撮りながらなんども可笑しくなった。

なお、叩きつけられるシーンを見られるポイントは何箇所かある。

興能信用金庫の隣の家(今回縁あってちょっとお世話になった)の前や北國銀行宇出津支店の斜め前辺り、そこから宇出津新町交差点への新町通り商店街でも見かけるので、先回りして待機していると見物&写真撮影もしやすいかもしれない。

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新町通りの本屋の前で

先回りしたら、このようにお神酒がセットされていた。

これを見かけると神輿も止まり、叩きつけも始まるのだとわかる。

 

川にも放り込まれる神輿

キリコたちに導かれながら新町通りを進み「梶川橋交差点」あたりまで神輿はやってくる。

今回のもう一つの目的、神輿が川に放り込まれるシーンは梶川橋交差点近くで見られる。

梶川が流れ、その橋(梶川橋)から放り込まれるのだ。

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こちらが梶川

端にはぼんぼりも焚かれ、夜だというのに明るい。

橋の欄干には神輿を一時的に乗せる木製の台も設置してあった。

まだ神輿が商店街のある通りを行進している頃にやって来ると、この川や橋の周りにまだそれほど見物客がいない。撮影の場所を確保するなら早めにやってくると良いと思われる。

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自分は橋の側で待機

先回りしたらまだ見物客が少なかったのでこんな近くを陣取れた。

なお、この日の天気は雨だった。

雨というか、大雨、嵐みたいな日だったので川に放り込んで大丈夫かと心配したけど、あばれ祭りは台風でも行っていた過去があるそうなので中止はない。

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雨の具合

降り過ぎだろう。

カメラやレンズを濡らさないのに必死だった。

川の水位も間違いなく上がっているだろうが、もともとそんなに深い川ではないのか、水位を調整しているのか…

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深さはこんな感じ

一般的な男性の腰くらいだったろうか。

川の流れも強くなく、これなら流されたり溺れたりもないだろうと一つ安心できた。

ということで、神輿もいよいよ川にやって来る。

この頃になると見物客も周りを囲むようにズラッと並んでいた。

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準備OK?

なんか変な光景だけど掲げているものを見ると、これも神事だと納得させられる。

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神輿もやってきた

欄干の傍の台に乗せられ、押し込めば落とせるという状態に。

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お神酒も撒きます

清めてから落とすわけだけど、ばらまき方も荒々しい。

カッコいいものだ。

何にせよ、これでいつでもOKという状態に。

そしてその瞬間もすぐにやって来る。

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神輿が

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飛んだ!

見事にダイブ。側面からザブン!だった。

連続写真で撮ったのでGIFでも見ていただきたい。

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はい、ドッパ~ン

自分はこれを見たかったのだ。

昨年には見れなかったこの瞬間を見に、カメラに収めに宇出津に再びやってきたのだ。

祭りに参加したわけでもなく、ただの見物客の一人でしかない自分であったが、この瞬間、ものすごい充足感があった。

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落とした後もまるでもみくちゃ

落下した後、男たちも次々と入水し、このように神輿を支えているのか、水の中でこねくり回しているのかわからない状態に。

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担いだと思ったら…

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また落としたり

地上でやっていたようなことを川の中でも行っていた。

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しまいには淵の壁に天辺をぶつけだす

床がないなら壁に何度もぶつけてこれでもかと痛めつけていた。

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見事にボロボロ

これくらいやって、これくらい破壊してこそ「あばれ神輿」なのだろう。

地上で叩きつけられていたときはマゾヒスティックな神輿だとも思ったけれど、そのうち死闘を演じた強敵、『北斗の拳』流でいうと「友」のように、その姿にどこか高潔さすら見えてきたのは…目の錯覚だろうか?

なにせが、その暴れっぷりがおかしくて楽しくて、すごい天気であったけど爽快であった。

 

感想

以上、今年撮影したあばれ祭り2日めの様子だ。

目的の叩きつける、川に放り込むを近くで目にできて、そして撮影できて満足であった。

川でも叩きつけられていた神輿はその後、やはり男衆の手によって持ち上げられ、再び陸にあげられていた。

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男衆も続々川から帰還

そうして再び担がれ、また家々を廻ってやっぱり叩きつけられていた。

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飛び込んだ後もこの迫力

そのときで夜中の1時くらいだったろうか。

みなさん、すごいスタミナだ。

自分は今回、このあたりで帰ってしまったが、祭り2日めはその後も続き、日が昇る頃の朝の5時くらいには再び川に放り込まれ、さらにはクライマックスとして火の中に神輿を放り込む、ということもやっていたそうだ。

想像するに凄まじく楽しそうなその光景を見逃したことが悔やまれるので、来年はその火に放り込むさまを狙って再びあばれ祭りを見に宇出津へやってきたいと思う。

三年越しで祭りの見どころを押さえる、というわけだ。

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キリコも綺麗だった

また来年も楽しみだ。