輪島市の珠洲市境近くにある垂水の滝は冬、北風に吹かれて所謂「逆さ滝」になるという。
一度でいいからその景色を見てみたい、写真に撮ってみたいと思っていたので、先日思い立ったが吉日で足を運んでみた。
輪島市と珠洲市の境にある滝
「垂水の滝」はこう書いて「たるみのたき」と呼ぶ。
地図ではここになる
輪島から珠洲市にむかって国道249号を走っていると市の境でそれを見かけることになる。
目の前がもう珠洲市だ
見てみると道路の色も線を引いたように違っているので、そこが市の境なのだろう。
そしてこの場で振り返ると…
垂水の滝だ
寄り道パーキングになっていて駐車場もあれば公衆トイレもあるところだ。
見える山は「垂水山」という名でそこから落ちているから垂水の滝という。
トンネルも通っており、そこを抜けてすぐのところにあるので見つけやすいと思われる。
ちなみにそのトンネルは「新八世乃洞門トンネル」という。
八世乃洞門の旧トンネルが2007年3月に起きた能登半島地震で被災して通行止めになり、その代わりに2009年に完成したトンネルだ。
こちらが昔の八世乃洞門
いまでも封鎖されている。
そのトンネルの上に見えるのが垂水の滝だ。
右手はもう海
この垂水の滝、全国でも珍しく、山から直接海に注がれる。
そんな位置にあるものだから海風をもろに受ける滝でもあり、その風に煽られて落ちてくる滝の水が逆に吹き上げられていることがある。
そういうのを所謂「吹き上げの滝」または「逆さ滝」(水が落ちてこない状態)という。
それは冬場に見られる。
北陸の強い北風が、そうさせるのだ。
吹雪の予報の中、逆さ滝を撮りたい
逆さ滝を作るのは強い北風だ。
この日も強い風が吹いていた。天気予報でも吹雪の可能性とか言っていた。
天気が悪いと出かける気も薄れてしまうものだが、天気が悪いからこそ見れるものもあるもので、むしろそんな日に輪島にやってきた今だからこそチャンスなのではないかと思って垂水へと向かったのだった。
そしたらまあ、珠洲市に近づくほど天気が荒れる荒れる。
風が吹いて雪が横殴りだった。
波も高いのなんの
冬の日本海の荒波だ。
飛び込んだら確実に死ぬなと思わせる波の勢いだった。
でも、これくらい風が強くないと滝の水を吹き上げさせるなんてそう出来るものではないだろう。
また、これだけ海が荒れていたからこそ見れたものもあった。
波の花だ
波の花というのは荒れた海の波が岩に砕けて水泡となって雪のように舞う現象のことだ。
おそらく舞ったのだろう、道路の上に波の花が落ちていた。
波打ち際に出るとたっぷり溜まっていた
残念ながらキレイに泡が宙を舞っている姿を捉えることはできなかったが、こんなに波の花が溜まっているのを目にしたのは初めてかもしれない。もちろんカメラで撮ったのも初めてだ。
寄ってみると黄色い
できたてホヤホヤの波の花は白っぽく、宙に舞いやすいようなのだが、時間が経つと岩場の汚れなどを付着させてこのように黄色くなっていく。
ちなみに泡状になるのはプラクトンや海藻の粘膜(寒いと増す)によるものらしい。
だからなのかこの泡、近づくとかなり磯臭かった。
そんな波の花が出来るくらい波が荒れている風の強い日だからこそ、逆さ滝への期待も膨らむというものだ。
改めて滝の写真
ご覧のように滝の周りも天気が荒れていた。
だいたい吹雪いていた。
そんな中をカメラを抱えて近づいていった自分。
しかも寒いので駐車場から駆け足で滝まで向かっていたのだから、傍から見たら変なやつに見えたかもしれない。
そんな姿で撮った垂水の滝がこちらだ。
吹き上がっていた
滝の水が落下に逆らって霧状に舞い上がっているのがわかるだろうか?
吹き上がっていたのだ、北風に煽られて。
なんか静止画じゃわかりづらいという方のために…
GIFアニメにもしてみた
こうしてみると水は落下しているが…
少なくとも落下のその重力にあらがっているのが伝わるかと思う。
これが自分が撮った「逆さ滝」だ。
まとめ
垂水の逆さ滝、水が吹き上がるのは一瞬であった。
風が吹くたび一瞬吹き上がり、それが何度も繰り返されていた。
ずっと逆さでい続けるということはなかったのだ。
運がいい人ならもっと長い時間、例えば10秒位吹き上がっているなんて姿も見れるのかもしれない。
そう考えると、波の花同様パーフェクトな景色ではなかったと言えよう。
それでも初めて垂水の滝が吹き上がっている姿を目にして、そして波の花も見れて、北風に吹かれながら自分は興奮していた。
最後に八世乃洞門と海も入れてワンショット
天気が荒れて出不精になる日でも、その天気の悪さゆえに見れるものもある。
冬の輪島に旅行して天候に恵まれないなんてことになっても、逆にこういう観光スポットもあると覚えていただければ幸いだ。