小松市にある自動車の博物館
石川県の小松市には「日本自動車博物館」というものがある。
1978年の11月に日本初の自動車博物館として、北陸の実業家「前田彰三」氏(初代館長)が小矢部市に誕生させ、1995年に現在の石川県小松市に移転している。
その名の通り、「自動車」の博物館だ。
そこでは主にクラシックカーが所狭しと展示されている。
主に昭和初期から平成初期に作られた海外や日本の市販車を見ることができる。
古いものでは明治くらいのものもあった。
その数は500台くらいだ。
特に大人が「俺の以前の愛車がこれだった」「これむかし親父が乗っていた」と懐かしめる場所だ。
もちろんクラシックカーに興味のある若者にも楽しめるだろうし、自動車の歴史を学ぶこともできるだろう。
日本自動車博物館だ
外にも数台クルマが展示されている。
今の日本の道路ではまず見られないような貴重なクルマばかりだ。
しかもほとんどエンジンがかかる状態で保存されていると言うからスゴい。
これからも分かるように同館の主役はあくまでクルマだ。
そんな「日本自動車博物館」であるが、実は化粧室には世界のトイレ(便器)も並んでいる。
それも使用可能な世界のトイレだ。
本来クルマを撮らなくてはならないのだろうけれど、テレビや映画を観ていても背景のディテールなど変なものに注目してしまう自分は、気がつけばそのトイレばかりを撮ってしまっていた。
※本記事では以降、トイレの写真ばかりが並びます
世界のトイレに注目してしまった
こちらに注目してしまったのだ
珍しい世界各国の便器をそろえてありますと書かれてあるのだ。
そう書かれると自分は見てみたくなってしまったのだ。
はっきりと言っておくと、自分はトイレに詳しくもなければ、それまで興味を持ったこともなかった。
逆にクルマが好きで、それがためにこの自動車博物館にも足を運んでいる。
変わったものがあるとついついそっちに興味を抱いてしまうこの天邪鬼な自分の性格が、クルマ好きの自分の心を一時的に超えてしまったのだ。
自分は男なので男性用の化粧室へ
ここからトイレの写真が続くことになってしまうが、その全ては男性用だ。
さすがに女性トイレに入っていくような真似は犯罪になりかねないので自分には無理だ。
それでは早速、トイレ(小便器)の写真を並べてみる。
※しっかり洗われているとはいえ、使用もできる便器だけに、ご飯時などで見るのに抵抗があると思われる方は、この時点で「戻る」ことをオススメします。
世界のトイレ
まずはヨーロッパから並べ、次にアメリカ、そしてアジアの順に国ごとの小便器を並べていこうと思う。
並べてみると、形が違うのがわかる。
お国柄というか、国によって「らしさ」もあるような気がした。
ドイツ
ドイツ製
まずはドイツ製だ。
四角い形をしている。
日本ではなかなか見ない形だ。
こういう形の特徴はそれぞれのお国柄が出るものなのだろうか。
そういえばクルマでも少し前はメーカーの国によってお国柄が出ていると言われていた。
例えばドイツ製のクルマ(おそらくベンツのイメージだろうと思われるが)は無骨で頑丈といったイメージだった。
このドイツ製のトイレを見ていると、その四角いフォルム、骨太な縁などは、そのちょっと前のドイツ車のイメージとかぶるものがあるように思えてくる。
ドイツ製もう一つ
でもこういうのもある。
こちらはどちらかというと流線型のデザインだ。
無骨なイメージとは違うのでドイツの国柄云々の理屈は早くも破綻したかのように思えるが、最近のアウディなどは曲線の美しいクルマも多いので、自分としてはそちらを思い出してしまった。
フランス
フランス製
次はフランス製だ。
丸みがあって柔らかいデザインながら、ドイツのものと比べると縦に長く大きめだ。
この大きさは使いやすいという点で実用性があるだろう。
フランス車というと、自分などはルノーやプジョー、シトロエンなどハッチバックや大衆車をイメージしてしまう。
実用的という点では国柄が出ているのかもしれない。
フランス製もう一つ
こちらはやや先ほどのものと比べてサイズが小さいが、上部に反り返しがないところは共通している。
用をたす時に見やすいのは、これまた実用的だ。
イタリア
イタリア製(アメリカンスタンダード イタリア工場)
次はイタリア製だ。
イタリア車というと、フィアットを除けばフェラーリやランボルギーニと言った高級車のイメージがある。
この便器が高級そうに見えるということはないものの、その鋭角的なデザインは現在のランボルギーニのラインナップを想起してしまった。
レヴァントンやアヴェンタドールあたりから、ランボルギーニのデザインはシャープだ。
イギリス
イギリス製
イギリス車というとジャガーやアストンマーチンといった紳士の高級車をイメージしてしまう。そしてそれらは大概サイズが大きい。
比べると、こちらのイギリス製トイレの方は小さめだ。
ジャガーやアストンマーチンと比べるとイギリスっぽくないようにも思えるが、イギリス車にはロータスやTVRのような軽量スポーツカーもあるので、そのイメージとは重なる。
スウェーデン
ボルボの車といったら硬派な箱型シルエットのイメージがあるので、このトイレの縦長な卵のような流線型のデザインとは性格が真逆のように思われる。
ただ、ボルボには「ボルボ・エアロ」という航空機やそのエンジンを作るグループ企業もある。
このトイレの流線型は大気の壁を突き抜けて飛行する戦闘機の流線型と似たような美しさがあると思うのだが、いかがだろうか。
フィンランド
このトイレ、面白いことに便器本体がかなり床に近いところに設置されおり、下の方で受けることになる。
全体的に大きくもないので、男からすると、下の方を狙いながら用をたすことになる。
そういえばフィンランドにもバルメットなど自動車メーカーがあるが、ポルシェやアウディ、VWなどの下請けをやっていたという印象がある。
ダジャレのようになってしまうが、この便器の設置位置を考えると、なるほど車で例えれば国柄が出ていると思えてしまう。
アメリカ
アメリカ製
アメリカといえばマッチョなイメージがある。
クルマにしても大排気量エンジンを積んで、ノーズもテールも長く、デザインも角ばっていて全体的に迫力がある。
このアメリカ製トイレ、それほど大きくはなかったものの、最近のシボレー・カマロやSRT・チャージャー、フォード・マスタングの顔に見られる、「大胆に角ばっているのにどこか美しいフォルム」と似たものがある。
カナダ
カナダ製
カナダにはクライスラー傘下の「ウエスタンスター」というトラックメーカーがあるが、このトイレの角ばった厳ついフォルムとその迫力はボンネット型の北米トラックの迫力とかぶるものがあった。
ちょっとランボルギーニを想起させたイタリア製トイレとも似ている。
そういえばランボルギーニは元々トラクター(農業機械)の会社で、トラクターの形も普通の車と比べると迫力があるよな、といった脱線に近い連想までしてしまった。
オーストラリア
オーストラリア製
こちらのトイレ、馬面のように縦長で主に曲線で出来ている。
オーストラリアは家畜や天然含めて動物のイメージがあるので、このトイレのイメージはそれはそれでこの国らしい。
オーストラリアのクルマとなると、この国には「ホールデン」というメーカーがあるが、現在はGMグループ傘下としてアメリカンなマッチョ系のクルマを多く作っているので、このトイレとは逆のイメージがある。
ただ、そのホールデンもよく考えるとその始まりは馬具製造会社だったわけで、なんとなくこのトイレとも遠いところで繋がっているものがあるように思えた。
中国
中国製
このトイレのデザインはイタリア製のものと似ている。
イタリア製のものと比べると縁に厚みがないからか、同じような大きさでもさらに幅広に見えてくる。
中国にも第一汽車といった国内自動車メーカーがあるが、その第一汽車の「紅旗」というブランドのクルマは、この自動車博物館の展示で見る限りかなり大きな車であった。
もちろん紅旗の車はその車種だけではないのだけれど、「中国のクルマ=なんかでかい」という印象を抱いてしまった後では、これも国柄だろうかとこのトイレを見て思ってしまった。
台湾
形としてはイタリアやカナダ、同じアジアの中国とも似ている。
台湾にも自動車メーカーがあるが、主に他海外メーカーとのパートナー企業がほとんどなので、「似ている」という印象も「らしさ」なのかもしれない。
ただ、2009年には台湾初のオリジナルブランド「ラクスジェン」も出来たので台湾のイメージも今後変わっていくだろうと思われる。
ラクスジェンでは主にミニバン系やSUV系のクルマが作られている。
このトイレの奇をてらわない大衆的な作りは、ラクスジェンのラインナップと照らすとこれまた台湾「らしさ」と言えるかもしれない。
ベトナム
ベトナム製
ベトナム製(子供用)
子供用だけではなく大人用も小ぶりの便器だった。
丸みのあるフォルムもどこかかわいらしい。
ベトナムにもクルマメーカーがあり、「サムコ」などはトラックを作っている。
ほかにも乗用車で言えば「メコン・オート」がフィアットグループと提携してフィアットのクルマをOEM生産しているという。
このトイレの小ささは、トラックとはイメージが異なるものの、フィアットの小ささと重なるものがある。
日本製
最後に日本製
日本製の便器はそれこそどこにでもあるのでわざわざ取り上げる必要はないのかもしれないけれど、あまり見慣れない形のものがあったので、一つだけ撮った。
変わった形をしているが、メーカーはTOTOだ。
日本のクルマのイメージと重ねたいところであるが、日本のクルマというと安全装置や便利な機能が盛りだくさんのガラパゴス的大衆車のイメージしかない。
そんな見慣れた大衆車は、それこそTOTOの日本人には見慣れた一般的かつ世界から見ると便利すぎるトイレと重ねて「見慣れたガラパゴス」繋がりでくくれば良い。
こういう古いのか新しいのかもわからない少し変わった形のものとなると、なかなかどれと似ているというのは難しい。
あえて言うなら「光岡自動車」だろうか。光岡はレプリカカーなど見慣れないクルマを作ってくれるので、町で見かけるとまず「見慣れない」と思ってしまう。
まとめ
トイレの写真を羅列して、手前勝手な解釈を添えてみたがいかがだっただろうか?
我ながら、気がつけばお国柄なんてものもその国の車のイメージでしか語っていなかった。
しかも製造年など、歴史の背景もまったく考慮していない根拠のない妄想のたぐいのイメージである。
車メーカーからすると、あまりにもテキトーすぎて、おまけにトイレと比べられて不愉快だと思われたかもしれない。
思われたのであれば、ここにおいて謝っておきたい。
それでも、同館が世界のトイレも展示している理由にもあるように、現代では自動車もトイレも一日お世話にならないことはない、生活する上でなくてはならないものであることは共通している。
また、トイレ掃除をすすんでする経営者の話もよく耳にする。
この羅列された小便器の画像を不愉快なく見ることができる、できないは、その人の器量を計るリトマス試験紙のようなものになるのではないだろうか?
と、これまた勝手に言い訳のように付け加えておきたい。
いつも最後まで読んで頂きありがとうございます