氷見市にある「まんがロード」とも呼ばれる潮風通り沿いに日宮神社というところがある。
GW中に氷見に寄った際にそちらにも足を運んでみたら境内にいた狛犬がどことなく『忍者ハットリくん』に出てくる獅子丸という犬に似ている気がしたので、紹介したい。
氷見市は藤子不二雄A先生の故郷
氷見市は『ハットリくん』や『怪物くん』で知られる漫画家の藤子不二雄A先生の故郷だったりする。
市内には「藤子不二雄Aまんがワールド」と呼ばれる区域もあり、観光スポットになっている。
ハットリくんとその仲間たちに会える街だそうだ
ってそんな街だったんだね。
氷見市ってキトキトの新鮮な魚が美味いっていうイメージがあったけど、今回でかなり覆された。
まんがワールドのマップもあった
地図内にある光禅寺というお寺がA先生の生家だったそうだ。
先生は高岡に引っ越す12歳くらいまで氷見で過ごしているとのこと。
こうしてみると、先日紹介した足湯があった道の駅氷見もその世界の一角にあることがわかる。
(道の駅氷見の記事は→こちら)
そういえば足湯の側にこんなのもあった
「ひみぼうずくん」というらしい。
氷見の海からやってきた愉快な海坊主の子供らしい。左の脇に抱えているのはブリだ。
こちらも藤子不二雄A先生がデザインしたものだそうだ。一度見たら忘れられなくなるような意匠だ。
まんがワールドを歩く
どうせなので、そんな氷見市の藤子不二雄Aまんがワールド内を歩いてみた。
ハットリくんの巨大壁画の前で信号(氷見漁港前)を右折して商店街通りに入っていくと、そこはもう「まんがロード」(「忍者ハットリくんロード」とも)と呼ばれているところだった。
このようにオブジェが通りに並んでいた
やっぱりA先生がデザインされたものらしい。氷見っぽいといえばたしかにそうだが、目がどこ怖いところが先生っぽくもある。
通りの反対側にはハットくりくんのオブジェなども見かけた。
変わったベンチが店先に置いてあったりもする
これはA先生とは無関係かもしれないけど、通りのとあるお店の前で見かけた。
なんか自由なところだなと思えた。
中央町の交差点
ここにも大きな壁画がある。
ギュウーーーン!の文字が気になって近寄ると…
『プロゴルファー猿』だ
ここ、ポケットパークにもなっていた。
遊んでいける
ポケットゴルフができるようだった。
近くのバス停には喪黒福造の像も
正面に立つと指さされる。だけど同じ様にこちらも指を差し出すとETごっこができなくもない。
なお市内を走っているバスはこんなラッピング
『怪物くん』だ。
虹も描かれていてカラフルだ。
こちらはまんがロードの続きである「潮風通り」
比美町商店街というところだ。
ハットリくんの像の他に「氷見のサカナ紳士録」と呼ばれるA先生デザインの魚のモニュメントも置かれていた。
こういうのが「氷見のサカナ紳士録」
こちらはしまだいで愛称は「シマシマ博士」とあった。
小学生時代、『コロコロコミック』を読んでいたものとしては懐かしさを覚える奇特なデザインだ。
ほかにも、えいの「エイチョウ」
かにの「カニ丸」
ぶりの「ブリンス」
とびうおの「トビー」
たこの「タコ八」
いかの「イカゾウ」
そして、あんこうの「アンボス」
計8体のモニュメントがある。
比美町商店街からA先生にデザインの依頼があったらしい。
これらのモニュメント、近くに寄ると内蔵されたスピーカーから自己紹介してくる。
もちろんハットリくんもいる
こちらはポストの上にいた。おんぶ姿が愛らしい。
泣いてるシンちゃんや
逆さのケムマキ
忍者猫の影千代もいた
どれも懐かしい。
むかしアニメでよく見てたなぁ。
シャッター以外にも色んな所でハットリくんの画が見受けられた。
これにはちょっと驚いたが
通りを歩いていて店のショーウィンドウにこれがいると何屋なんだとわからなくなる。
結局、何屋だったんだろう?
カラクリ時計なんてものもあった
商店街を進んでいくと湊川が見え、そこに架かる「中の橋」と「復興橋」の間でそれを見ることができる。
朝9時から夜7時まで(夏は夜9時まであるらしい)30分毎にカラクリが動き出すとのことだ。
自分がここにたどり着いたとき、カラクリが始まる数分前であった。
動き出すとミストが噴射
この橋みたいなものがカラクリ時計だ。
ケムマキたちが現れ
ハットリくんたちも現れ
アクション描写もある
カラクリ時計なのでアクションそのものはゆっくりながら、音楽に合わせて動いてくれていた。
格闘の演出も噴水で
夏なら涼しくて良いですな。
とまあ、A先生の色が全開の街だった。
日宮神社の狛犬
そんなハットリくん色に染まった比美町の通りを歩いていると、途中で神社が見えてくる。
それが日宮神社(ひのみやじんじゃ)だ
プロゴルファー猿のところからカラクリ時計の方へと向かって歩いていると突然この石柱と鳥居が右手に現れた。
ほんと、商店街の途中にあるのだ。
境内そのものも広くない
おかげで町並みに溶け込んでいるような神社だった。
小さい神社だけど拝殿は派手目
朱色の柱に扉は黒&エメラルドグリーン系。なんでもありの自由な感じがする同商店街ならびにまんがワールドであるため、現代になって建立された神社かと思ったら、1000年以上の歴史があるところだった。
御祭神も天照大日靈尊(あまてらすおおひるめのみこと)、要するに天照大御神だ。
その拝殿の前に、今回注目してしまった狛犬がいる。
左に吽形
右に阿形
これらがそれだ。
現代の日本の神社でよく見かける岡崎現行型とはまたちょっとタイプが違う。
鳩胸で、たてがみから胸にかけて丸っとしているのがわかるだろうか?
その丸みが、どうにもハットリくんの獅子丸に似ているように思えて仕方がないのだ。
こちらが件の獅子丸
商店街にいたものだ。
獅子丸って、こうして見るとどこが頭でどこが首で、どこが胴体なのか分かりづらい。
全体的に丸型、もしくは卵型のような意匠だ。
もう一度日宮神社の狛犬を見てみる
横から見た図だ。首が、ないですな…
胴体だけを見るとしっかりと犬っぽい形をしているのに胸から上が寸胴のようでくびれがない。
より後方より
ここから見ると頭部の丸っぽさがよりわかる。
そのせいか手足もどこか漫画っぽく見えてしまう。
この頭部に、胴体を取っ払って手足を付けたら獅子丸みたいなデザインになるような気がしてならない。
頭部のみの図で見てみよう
そして獅子丸の図を改めてもう一度
似ているように見えないだろうか…
獅子丸のベロも阿形の歯にインスパイアを受けているように見えなくないだろうか…。
ちなみに台座を見ると「大正」の文字
「大正五年」とある。
大正生まれの狛犬なら、A先生も子供の頃に見ていたかもしれないのだ。
自分には、A先生が子供の頃に地元の神社のこの狛犬を見て育ち、記憶に残っていた意匠から獅子丸のデザインを思いついたのではと、そんな想像を勝手に膨らませてしまったのだった。
もちろん、それはあくまで自分の想像だ。
勝手な想像を肴のようにして氷見の町の散歩をより愉快に嗜んだわけだ。
感想
並べてみた
日宮神社の狛犬が獅子丸に似ている… いかがだっただろうか?
似ているかも…と少しでも思っていただければ幸いだ。
作品なんてものは一度世に出ると作者の手から離れるもので、こういった勝手な空想も許されるものだとの持論が自分にはある。
そうして、そういった空想は作品を見る上でも、作者のゆかりの街を歩くときにも新しい楽しさを加味してくれるものである。
当然悪気はない。むしろ、獅子丸も日宮神社の狛犬もかわいくて自分には仕方なく、その可愛さから二つを結びつけようとそんな想像を膨らませたようなものだ。
余談ではあるが、日宮神社の境内には琴平社という社もあり、そこにいた狛犬も可愛かったので最後におまけとして紹介したい。
こちらが境内の琴平社
すんごく小さい。社というか祠(ほこら)みたいだ。
そこにいた
狛犬たち
ちっこくって、めっさかわいい。
意匠も現代よく見られるものとは違っている。
琴平社の脇にはこんな台座の跡も
「明治」の文字が確認できる。これがその狛犬の台座であったなら、あの小さくて可愛い奴らは明治生まれの狛犬ということになる。
ならA先生も子供の頃に目にしていたかも、先生の描くキャラクターって怖そうながらも愛嬌があって可愛い奴らばかりだけど、幼い頃に目にしたこの子たちがそのデザインの礎になったのかも、なんてことをまた勝手に想像してしまうのであった。
戯言のような本記事を読んでいただき、ありがとうございます。
あしからず。