福井県の端を目指し、滋賀県の琵琶湖まで行けたスロー運転の自分。そこから引き返して敦賀に立ち寄った話を、写真の傾きと共に前回記したが、敦賀には「氣比神宮」という神社もあったので立ち寄ってきた。
その目的の大半は相変わらず狛犬だ。
氣比神宮だ
いきなり右肩が上がっているように見える。
このとおり水平にはならない
やはりこの日は絶不調だった。
この氣比神宮だが、山中などではなく街の中にある。そのため大きな鳥居の目の前にはスクランブル交差点並みの大きな交差点があり、ちょっとしたビルや商店街が見える。
以前、金沢市の尾山神社がビジネス街の中に鎮座していると書いたが、こちら氣比神宮のほうが「街の中」度は高い。
その商店街や交差点を見守るように、
狛犬がお座りしている
背後から撮ると街の中度がよりわかりやすい
この狛犬、特に尻尾で見られる筋斗雲のようなクルッとカールした装飾が特徴的だ。
筋斗雲の尻尾ですな
顔もこのとおり髪や髭がカールしている
格好良く言えば溢れ出る霊気や妖気のような演出。
庶民的に言えば、天然パーマだ。
足首もクルッとしている
ビックリマンの天使によく使われていたようなデザインだ。
ひやかしてしまったが街を眺める眼差しはしっかりとしている
こうして見ると街全体の魔除けになる力強さがありますな。
ただ…
足元が水浸しでした
傍で地面から水が湧き出ていて、芝生の上を伝ってここまで流れていた。
おかげで撮りづらいのなんの。
もちろん阿形の獅子いる
こちらもデザイン的には吽形の狛犬とあまり変わらない。
ただ、鎮座している位置の都合から、背景に鳥居を入れながら撮りやすかった。
鳥居をバックに
この鳥居、「氣比の大鳥居」というそうで、旧国宝だ。現在は国の重要文化財とされている。
歴史は弘仁元年(810年)まで遡り、当時、東参道口に建てられたものの度重なる災害によって倒壊したため、正保二年(1645年)新たに再建され、時代時代の最新の保存修理を繰り返しながら今に残っているのだそうだ。
一本の街灯をバックに
この子も街中を睨んでいるが、昼過ぎでは太陽の位置の都合で街を背景に撮ってもあまりいい画にならなかった。単純に自分の腕の悪さかも知れないが…
彼らの腕や爪は美しい
シミのようなものもあるが、風雪に耐えた年季のようなものを伝えてくれてむしろ味があって好みだ。
大鳥居をくぐる
鳥居前の狛犬たちの勇壮な姿を撮り終えたところで大鳥居をくぐった。
日本三大の鳥居の一つと言われているそうで、下から見上げるとかなり高かった。
ここをくぐり、大きな社務所の前を通過して境内を歩くと、
社務所の正面には「氣比乃長命水」というのがあった
氣比神宮はもともと「伊奢沙別命」(いざさわけのみこと)一柱を祀る神社であったが、後に仲哀天皇に神功皇后、日本武尊、応神天皇に玉妃命、さらに武内宿禰命の神々が合祀され、御祭神が七柱になった。その際に神宮を修営したところ、その工事中に水が突然湧き出てきたそうで、特に武内宿禰命が長寿の神であったことから、御神徳がある水として、信仰されてきたそうです。
長寿だけに亀がモチーフ
手水として使えそうですな。
すぐ傍には手水舎もある
こちらの写真はやや傾いた…
寄りの画はまだマシに撮れた
さらに進むと芭蕉の像がある。
『奥の細道』で知られる俳人・松尾芭蕉のもこの敦賀に足を運んでいたそうで、この神社でも一句詠んでいる。
このとおり芭蕉の像もある
傾いていないと思ったら、土台を見るとやっぱり右肩上がり。
「月清し遊行のもてる砂の上」と彫られてある
ついでに傍の石碑も撮った。
「涙しくや遊行の持てる砂の露」の句碑だそうだが、自分には読めませんでした
何にせよ石碑はどれも傾かずに撮れた
でも調子に乗って像の前の松を撮ると、
やっぱり斜めった…
この松、「旗揚松」というらしい。
南北朝騒乱の時代に、氣比大明神の神旗が掲げられたそうだ。
まっすぐ格好良く撮ってやりたかった…
この松の後ろにさらに鳥居がある。
最初の大鳥居と比べると小さいが、それでも大きい
奥に見えるのが氣比神宮の外拝殿だ。その奥に本殿があるらしい。
自分は外拝殿で参拝し、中には入っていない。
外から撮った拝殿の中
俗世界から逃れられそうな静かさがあった。
そして、写真は相変わらず右肩上がりだった。
ついでに境内を広く撮っても斜めって写っていた
知らない人も写っちゃっているし…
縦に撮ってもこのとおり…斜め
縁結びのコレを撮っても斜める
コレ、一般的には「おみくじ結び所」というそうだ。
基本的におみくじは凶や大凶など悪いものが出た際に結ぶ。
大吉とか良いおみくじは持って帰るのが普通だ。
ちなみに自分は今年、尾山神社で引いたおみくじが大吉だったため、もう今年いっぱいは他の神社で引かないようにしている。それより良くないものを引くよりも、今年はずっと大吉でいたい。たぶん、最初に引いたおみくじが吉くらいだったらどこの神社でも引いていただろう。自分もまた俗人だ。
外から門を撮っても斜め
俗人は心が乱れているもんです。
さて、ここの神社、境内に氣比神宮以外の社がいくつかある。
いくつかというか、10以上ある。これはなかなか珍しい。
とくに外拝殿を正面にして左手に目を向けるズラッと並んでいるところがある。
この絵馬の隣の鳥居をくぐった先にまとめて10以上ある
もう見えているが、一つ一つはお堂のように小さい。
このとおりズラ~っと並んでいる
それぞれに「〇〇神社」と名前がある。最初の9つを「九社の堂」というそうだ。
そしてそれぞれに賽銭を入れる場所もあった。
一番奥の二つの社も撮影
こんどこそ右肩上がりを直そうと気合を入れて撮ったら、右肩下がりに斜めってしまった。
いまの自分なんてこんなものです。
大鳥居へと戻ってくると、鳥居のすぐそばに別の鳥居がある。
この写真では右手に見える、石灯籠のさらに右の石造りのそれだ。
猿田彦神社の鳥居だ
祭神は猿田彦大神で氣比神を案内する神様なのだとか。
くぐって奥に進み、左に折れる
すると、
拝殿が現れる
しかもちゃんと狛犬がいる。
大鳥居の前にいた街を眺める狛犬たちと比べると、サイズのせいか漫画っぽいかわいさがある。
こちら吽形
装飾に迫力があるのに、顔と体のバランス、足の短さなどからデフォルメされたみたいに見えてくる。
まだ新しいのか、赤いスミ入れがくっきりと残っていた。
新しいからこそ、デザインがどこかマンガっぽいのかも知れない。
顔のアップ
キバは鋭い。
爪も鋭い
でも、ちっとも怖くない。
阿形の獅子はまだ迫力がある
口が開いているからだろう。
手足は短いのに、顔にいかつさがある。
短くてもたくましい足と鋭い爪をしている
ただ、横顔だけを見るとそれほど恐くはない
牙以外の歯と舌の形が人間っぽいのだ。
むしろ、急に愛嬌が出てくる。
ただ、たてがみを隠すように撮ると再び形相が厳しく見える
撮り方で表情が変わらるとは、なかなかモデル気質の獅子だ。
さらに角度をつけて撮ると丸い突起がいくつも見えるおかしな画になった
負けじと吽形も斜め撮り
顔が穏やかな分、こうして撮ってもマンガ、それも昔の漫画の絵みたいな趣が出てしまう。
また、この猿田彦神社の鳥居の写真でもすでに見えているが、この神社には他にもう一対、狛犬がいる。
それもなかなか個性的な狛犬たちだったのであわせて撮った。
こちらがそれ…
なんか、首が斜めっています。
その斜めっぷり、たぶん、自分の写真の腕のせいじゃない。
そのせいかこの阿形、何だかぶっきらぼうに見える。
いや、ぶっきらぼうを通り越して「ぬけさく先生」にも見えた。
頭はオカッパみたいだ
小松市の安宅住吉神社で見かけた、スフィンクスのような頭をしたいわゆる「加賀白山型」の狛犬と似た雰囲気がある。
顔を陰の方からアップで撮るとちょっとゴジラっぽい
カビなのか苔なのか、彼らの胴体の大半が緑色に変色しているのだ。
しかも、台座ではなく胴体に文字が刻まれている
外人のタトゥの類を思い出してしまった。
でも、爪は丸くてかわいらしい
ギャップありすぎです。
吽形の狛犬も同じ色、同じスタイル
こうして見ると台座も低い。
メスだからだろうか、アップで見るとこちらは愛嬌がある
たぶん、日なた、日陰の違いもあると思う。
鼻の穴が丸っとして大きいのがまたかわいい。
別の角度から見ると鼻の頭に紅葉を乗せいていた
なかなかオチャメなところもある。
でも、同じく体に文字
体に経文が書かれた「耳なし芳一」も思い出してしまった。
背中にも彫られているのを見ると、ヤンキーの特攻服にも見えてくる。
いろいろと珍しいタイプの、ちょっと斜め上な狛犬だ。
これも因果というやつかもしれない。
余談だが、氣比大神を案内する猿田彦大神は交通安全の御神徳が高いそうだ。
ここを参拝したことでますます安全運転ドライバーになれそうだ。
最後に御朱印ゲットの報告
家に帰って後から調べて知ったことだが、この氣比神宮の境内にはほかにもあと3つほど社(摂末社)があるらしい。
境内の林のようなところを抜けた先にあるので、この時には気づかなかった。
狛犬がいる可能性もあるため、また敦賀に訪れた際にはチェックしておきたいものだ。
こちらがそれ…
…御朱印帳を押さえずに撮ったというのもあるけど、写真がまた斜めった。
この日は、そういう日だったのだろう…