石川県野々市市御経塚には遺跡があるらしい。
石川県人でありながらそのことをずっと知らず、もちろん足を運んだこともなかったので、先日見に行ってきた。
旧御経塚イオンの近くに遺跡
先日、久しぶりに石川県19市町の「いいとこ」(特徴)を集め、その写真を使って作られたトランプ「石川トランプ」の箱を開いて見ていたところ、野々市市には遺跡があることを知った。
これが石川トランプ
このトランプを購入した数年前にそのカードを一度目にしているはずなんだけど、すっかり頭から抜けていて「え? そうなの?」と今更のように驚く自分がいた。
実際に足を運んだことがないと、そういうものなんだろう。
ということで、一度見に行ってくることにした。
御経塚のどこにあるかもわかっていないので、まずは地図を見てみた。
ちゃんとグーグルマップにも「御経塚遺跡」と載っている
なんでも国指定史跡になっているようだから、そりゃ載るだろう。
地図によるとどうやら8号バイパスの側だ。
リサイクルショップの「浪漫遊」も近くにあるので、あの交差点のあたりかとすぐに気づく。
あの交差点というのは「御経塚交差点」のことだ。去年まで角にイオン御経塚があった信号機のところだ。
自分は御経塚サティ時代にワーナーマイカルシネマズ(映画館)をよく利用していたので懐かしい。そして、どうしても「サティ」と呼んでしまう。
サティのあの辺りに遺跡なんかあったっけ?と、昔あの交差点をよく曲がっていたにも関わらず思い出せない。
もともと自分は迷子常習犯で地理や地図に弱い人間なので仕方ないといえば仕方ないが、あのあたりって住宅街だったし、お店も多いしでとても遺跡なんてものがあるようには思えないのだ。
とりあえず地図に書かれた住所へ行ってみることにした。
あった
住宅街の中に広い公園があって、その公園こそが「御経塚遺跡」だった。
こんなところに本当にあるとは… むっちゃ町中じゃないか。
復元した住居もあるようだ
能登町の真脇遺跡でも復元された家屋があったが、ここ御経塚遺跡でもそれはあった。
遺跡整備平面図もある
これからもわかるようにホント、8号バイパス沿いにある。
ただ、植えられた木々に囲まれるようにあるので、8号からではそこに遺跡があるとはなかなか分かりづらいのである。
8号バイパスなんて毎週のように通っているのに、自分は長年ずっと気づかなかったよ。
遺跡発掘調査図なるものも
これによると御経塚遺跡は縄文時代後期から晩期にかけて営まれた径200メートル以上の環状の大集落跡のようだ。
近づいてみるといくつもの土坑
土坑とは発掘の際に発見された縄文の人たちが掘ったと思われる穴のことだ。
穴の解説
このころの住まいって地面に円形や方形の竪穴を掘って壁と土間の床を作って、柱を立てて藁葺の屋根を吹き下ろした家屋が普通だったそうだ。
土坑もそれら住居の竪穴かなにかということだろうか。
くっきりと残っているものも
雨降ったらちょっとした溜池になりそうな穴じゃないか。
なんかいっぱいある
復元された家屋の周りにその土坑がたくさんあった。
第五十六号土坑なんてものもあったから、50個以上発掘されているようだ。
こうしてみると穴だらけで自分などは『らんま1/2』の呪泉郷を思い出してしまう。
漫画『らんま1/2』全巻… 甥っ子に貸してから5年以上戻ってきてないな…
復元住居と注意看板
遠くから見ていた復元された住居にももちろん近づくことができる。
はい、このとおり
ただし、扉には錠がしてあって中に入ることはできない。
チェーンで開かないようになっている
町中にある公園で誰だって近づくことができるし、管理者が周りにいないときはこうして入れないようにしておかないと、誰が入ってきてそこで何をするかわからないのだろう。
なんだったら住めてしまうかもしれないし、猫が居着くなんてこともありうるだろう。
防犯カメラも作動しているようだ
見上げるとたしかにそれっぽいものがある
セキュリティがしっかりしている。
縄文時代の住居とはいえ復元なのでハイテクだ。
こんな注意看板も
「復元住居のカヤをぬかないでください。」とある。
そんなことをする不届き者がいるのか?とも思うけど、中学生時分の自分の同級生だとか酔っ払った大学生だとかを思い出すと、つい出来心で悪さをしてしまう輩はどうしてもいる。
「文化財を大切に」
うむ、たしかにそのとおりだ。
というか、ここの遺跡、歩いてみるとこの種の看板がいくつか立てられていることに気づく。
どんな事が書かれてあるのか気になったので、注意喚起も合わせて見てみることにしたい。
「整備された遺構は歩径路から見学しましょう」
ここの遺跡にはいくつも杭が打ってあって歩径路が設けられている。
土坑や復元住居に近づき、見学する際は芝生の中に入って横切ることはせず、歩径路に沿って歩いて見てほしいようだ。
芝生も傷んでしまうしね。
「公園は国指定の史跡です。ゴミは持ち帰りましょう」
うむ、ゴミは持ち帰ろう。
この看板、公園内にほかに2、3箇所でも同じものが立てられていた。
そのおかげか、園内にゴミらしいゴミは落ちておらず、きれいだった。
ついでに「ゴルフ禁止」
ここでゴルフする人いるの?って思うけど、土坑や復元住居のあるエリアの隣に広場があるので、ゴルフとかしたくなる人もいるのだろう。
このとおり
隣が広場に
なっている
1枚の写真に収まりきらないくらいの広い。
これだけ広いと野球とかできそうだけどそれももちろん駄目だろう。
ここで夏祭りとか行われるのだろうか?
あ、でも花火は駄目だよ
「花火やゴルフの練習はやめましょう」ともあった。
まあ、周りに住居がたくさんある住宅地なんだから火事になったら大変なので、そりゃ当たり前だろう。
自分の中学生時代もそうだったけど、中学生が花火をするとロケット花火を投げつたりして大人からするとデンジャラスだからね。
モラトリアムの時代の子って怖いもの知らずなんだよね。
とはいえ、ゴルフ禁止と言っていることからもわかるように、大人でもそういうモラルハザードなことやってしまう人はいるんだけどね。
「ゴミ・空きカン捨てないように」
ロータリークラブも訴えている。
子供の頃、ロータリークラブってなんなんだろうとわけが分からなかったけど、大人になって会社の社長とかが関わっていたりしているのを目にしているとある程度わかってきた。
自分もちょっと大人になったものだ。
犬の放し飼い禁止や散歩中のフンの後始末も
注意喚起していた。
これまた大人にも訴えた内容なので、子供だけじゃなく大人だって過ちを犯すものだとしみじみ思う。
でもまあ、何度も言うようにこれら看板の呼びかけのとおりゴミも落ちていなければ犬のフンもなかったので、クリーンな遺跡だった。
「芝生へ自転車の乗り入れはやめましょう」
そんなアクティブなことをするのはまだ幼い子供くらいだろうと思うけど、芝生も荒らされていることもなくキレイなものだった。
文化財を大事にしている近隣住民の方々の心意気がよく分かる。
道路を挟んで真ん前には埋蔵文化財収蔵庫もあるしね
野々市市による収蔵庫だ。
史跡御経塚遺跡保存会事務所でもあり、職員もいるので遺跡も含めて日々しっかり管理しているのだろう。
中にも入ってみたけど、御経塚の歴史資料館のようになっていて、御経塚の名前の由来なども知れて興味深かった。
この狸みたいなものが気になる
玄関前に置かれていた狸のような妖怪のような置物が気になる。
ジブリに出てきそうで出てこねぇだろうなと思わせるそのビジュアルがツボだ。
「世界平和」ならびに「コロナ禍退治」を唱えているので、このご時世にピッタリの守護天使みたいなものだろう。
この子もいるなら、そりゃ御経塚遺跡も日々キレイにされていると納得されてしまった。
御経塚遺跡で思い出づくり
以上、御経塚遺跡である。
史跡をキレイに維持するための注意喚起の看板がたくさんあり、実際ゴミひとつなく整備されている遺跡であった。
足を運んだ思い出としてなにか爪痕を残そうとしたのだけど、これだけキレイだと下手なこともできそうにない。
ただ、足を運んだ季節柄(1月だった)なのか、ゴミも落ちていない公園だけどドングリはよく落ちていた。
このようにたくさんどんぐりが落ちていた
特に隣の広場でだ。
本格的に雪が降る前に落ちたのだと思う。
自然のものだからか、除去されている様子もなかった。
思い出づくりのため文字をドングリで描いてみた
「ノッティ」という文字を描いてみた。
ユルキャラのようなものも存在している。
それがこちら(文化財収蔵庫内で撮影)
コミュニティバスの公式キャラクターから、今では野々市市の公式キャラクターにもなった子だ。
正確には「のっティ」と平仮名とカタカナを組み合わせた名前なので、自分がドングリで描いた文字は間違っていた。
キレイに維持されている公園で下手に思い出を残そうとすると失敗するよ、といういい例だろう。
みなさんもどうか気をつけていただきたい。
まあ、のっティも許してくれるだろう。のっティ、かわいいし。
縄文時代の人たちもこのようにドングリで文字を作ったりアート遊びみたいなことをしていたのではなかろうか?
そんなふうに縄文人に思いを馳せる自分がいたので、それはそれでいい思い出になった。
遺跡や文化財収蔵庫では縄文体験のイベントなんかも行っているみたい
これこそ思い出づくり。
いつか一度は体験してみたいものである。
体験した後は、端っこでどんぐりを使って「のっティ」の、今度は「絵」を描けないだろうかと、絵心もないのに空想するのであった。
なんか、楽しみが広がってきた。