石川県の宝達志水町に「御菓子司たにぐち」という和菓子屋さんがある。
能登名物「おだまき」で知られるところで、ときどきお土産に貰うことがある。
味も色々とあり、その中には場所限定だったり季節限定のものもある。
限定… いい響きだ。
ずっとおだまきの限定商品を食べてみたいと思っていたので、宝達志水町ならびに羽咋市へと行ってきた。
国道159号線沿いにある本店へ季節限定を求める
「おだまき」というのは志雄町(現在は合併して「宝達志水町」)の家庭でよく食べられていた餅菓子だ。
宝達志水町にある御菓子司たにぐち(谷口製菓)さんが看板商品としており、自分などは「おだまき」=「たにぐちさんのおだまき」の印象しかなく、たにぐちさんのおだまきしか食べたことがない。
一年以上前に石川県出身の女優・浜辺美波さんが全国放送の番組でたにぐちさんの「おだまき」を紹介したこともあったそうなので、県外の人でも知っている人はまあまあいるのではないだろうか。
おだまきにはスタンダードな「つぶあん」の他に数種類の味があり、季節限定のものもある。その季節限定版というものを自分は一度も食べたことがなかったので、今回それを求めて本店へと向かった。
本店だ
本店は宝達志水町荻市というところにある。
国道159号線沿いにあるので、能登方面から金沢に帰る途中、よくそのお店の前を通っている。
でも実は、自分、これまでこの本店に入ったことは一度もなかった。
それはちょっと石川県人として損しているような気になったので、このたび思い切って入ってみることにしたのだった。
この看板が目印
159号線を走っているとこの大きな看板が目に入る。
写っている三角形の餅菓子が「おだまき」だ。
味も色々と種類がある。
いつも置いてある4種類の他に春夏秋冬ごとの季節限定商品があるのだ。
自分が足を運んだ2月はまだ冬。
冬限定は「金沢柚子」味というものだった。
そんなもので「金沢柚子」を購入
一つ140円。
金沢市の涌波地区で採れた柚子を使っているそうだ。
涌波は、自分が住んでいる地域からそう離れていないので、あの辺りの柚子だろうなと、イメージが湧いた。
淡黄色の生地
スタンダードな「つぶあん」は白色なのに対し、金沢柚子は生地が淡黄色をしている。
中の餡はもちろん、県産コシヒカリでできたモチモチの生地にも柚子が使われているとのことで、そのためにこんな色をしているのだ。
食べる前に嗅いでみると、ほのかに柚子の香りがする。
ちなみに生地のスジ模様は、「おだまき」の名前の由来にもなっている麻糸を巻いた束「苧環(オダマキ)」を模したものだ。
志雄町は鎌倉時代から麻糸の原料である「苧麻(ちょま)」の集産地だったそうなのだ。
かぶりつく
かぶりついてみると、柚子のおかげか想像以上にさっぱりとしている。
スタンダードな白い「つぶあん」と比べると味わいが爽やかなのだ。
甘いものや餅菓子って食べすぎると口の中も胃の中も重くなってくるんだけど、こちらはそういうのを忘れさせてくれる。
柚子の魔力だ。
自分、これ、かなり好き。
鼻腔を抜ける柚子の香りがまた「何個でもいけますよ」と自分の脳内に訴えてきて、気がつけば続けてもう一個食べてしまっていた。
美味い。
冬限定商品を食べれて一つ満足だ。
道の駅のと千里浜にも3種の限定おだまき
続いて羽咋市に行ってきた。
宝達志水町のお隣、羽咋市にある「道の駅のと千里浜」にもたにぐちさんの「おだまき」が置かれている。
しかもここ、本店には置かれていない「道の駅のと千里浜」限定の味が販売されている。
しかも、3種類も限定のものがあるのだ。
もちろん、のと千里浜にも行ってきた
この道の駅には年間とおして何度も足を運んでいるので、ここに「おだまき」が売られているのももちろん承知していた。
いつ頃からだろうか、やはり浜辺美波さんが番組で紹介した頃から、おだまきが目立つようになっていた気がする。
商品のポップがわりに浜辺さんの写真を使ったりしていたんだけど、彼女がおだまきをテレビ番組で紹介したということを自分はこの道の駅のその写真で知ったんだよね。
本店にはない味を3種類も開発しちゃうし、勢いを感じてしまう。こう、波に乗っている感じがする。
その道の駅のと千里浜限定の味というのが…
抹茶
ごま
黒蜜きなこ
この3種類だ。
実を言うと、たにぐちさんのHPを見る限り「抹茶」だけかと思っていた。思っていたら、実際に道の駅に足を運んでしっかり商品を目にしてみて初めて3つもあることに気づいた。
3つもあるなら3つとも買うしかあるまい。
価格はどれも一つ190円。
道の駅限定品なのでスタンダードなものよりちょっとだけ高い。
もちろん食べる
この濃い緑色は「抹茶」こと宇治抹茶味だ。
表面にも抹茶パウダーが纏われていてほんのりと抹茶の渋みを味わえる。
それでいて中の黒餡、また生地自体も噛みしめるほど甘みが滲んでくるので、決して苦味が勝るわけではない。
抹茶の味と甘みを上手く共存させている一品だ。
自分はフレーバーで抹茶を選ぶことが多いので、こちらもかなり好みだ。抹茶好きにはぐっとささる。
なお、アクセントにベジブロスも使っているらしい。栄養ありそうだ。
「ごま」もがぶり
こちらも中は黒餡。
かぶりついたとき、カリッとしたゴマの食感があったので、餡にもゴマが使われているのがよくわかった。
ごまの風味もあるんだけど、使われているのが黒ごまだからか、そこまで立つような香りではない。
自分はゴマを日々食べている人間なので、このおだまきが栄養食の一つとして見えてきた。
〆は「黒蜜きなこ」で
写真からもすぐに伝わると思うけど、表面にきなこがまぶされている。
かじってみると、中もきなこ色(写真を撮るのを忘れた)。
黒糖を使った黒蜜餡なんだそうで、その黒蜜のおかげか、きなこの風味と味の濃さが更に際立って行く感じがあった。
正確には中の餡に行くほど甘みが増すので、きなこがより美味いと感じるのだ。
デザートとしては3つの中でこれが一番パンチ力ある。
どれも美味くて、また特徴も違うから、好みの順位をつけるのは正直難しかった。
さっぱりしたいときは抹茶、デザートとして求めるならきなこ、栄養を考えるならゴマといった具合に、用途やその時の気分で変わってくるだろう。
なにはともあれ、3つとも味わえて満足だ。
ごちそうさまでした。
後日、写真を届けた後にショコラ
御菓子司たにぐちさんの本店で金沢柚子おだまきを購入したとき、実はちょっとした出来事があった。
店頭に立っていたお店のお母さん(御歳80を超える方)に許可をもらってお店の外観ならびに看板の写真を撮っているとき、そのお母さんが私も一緒に撮って欲しいとおっしゃったので撮影することにした。
その撮ったものを記念に現像してほしいともおっしゃるので、それも引き受けることにしたのだった。
有名人と一緒に写真を撮ったり、撮った写真を飾ったりするのが好きなんだそうだ。
自分はプロのカメラマンではないし、そのことも伝えたけど、これも何かの縁だからとおっしゃるのだ。
購入した金沢柚子おだまきの他に、スタンダードなおだまきをお礼として数個頂いてしまったしね。
そんなもので後日すぐに現像して一週間後に再び来店し手渡したのだった。
そのとき、一週間前には気づかなかった珍しい「おだまき」を店頭で見つけたので、一つ購入してみた。
こんなケースに入ったおだまきもあったのだ
ケースに入っているものだから最初はこれがおだまきだとは気づかなかったのだけど、よく見るとちゃんと三角形で、麻糸の束を模したスジも入っている。
店頭には「ショコラおだまき」とも書かれてあったので、これもまたおだまきのようなのである。
見るからにバレンタインに合わせた限定品なのだろう。
限定品となれば購入せずにはいられなかった。
一つ200円。
おだまきの中ではちょっと高めだ。
後で知ったけど、なんでも二年ぶりの復活商品なんだとか。
なんか洋菓子感ありまくり
間違いなくおだまきなんだけど、和菓子、餅菓子の印象がパッと見てない。
パティシエが作った洋菓子に見えてくる。
その表面にはカカオパウダーがまぶされ、アクセントに金粉も乗せられている。
シックでゴージャス、こんな言葉が似合う餅菓子というのもなかなかないだろう。
やはりかぶりつく
中も餡というよりチョコレートクリームだ。
包んでいる生地がお米でできた餅なのでその食感はモチっとしているんだけど、以前よりチョコを増量してラム酒を利かせているという中のクリームのおかげで、もはや洋菓子に思えてならないのだ。
そして美味い。
チョコ好きとしては、これ最強なんじゃないかと、餅菓子や和菓子を否定するような感想まで抱いてしまった。
ちょっと高いけど、2つ3つ簡単に行ける旨さだ。
まさかこんな限定品もあるとは、そして出会えるとは、これもお店のお母さんの言う「縁」というものなのだろう。
本店に思い切って足を運んでみて心から良かったと思った。
また春夏秋にも限定おだまきが出てくるし、宝達志水町や能登方面に足を運んだらお店に立ち寄りたいものである。