初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

「奥能登国際芸術祭2020+」をマイペースに回る第五日目その1(キムスージャ「<息づかい:珠洲>2021」)

11月5日で閉幕した珠洲市の奥能登国際芸術祭2020+へ、合わせて5回の鑑賞旅に行ってきた。

5回目に足を運んだのは、まん防も解除されすべての作品が鑑賞になっていた10月9日(土)だった。

紹介する作品も残り3つ。

第五日その1である今回はキムスージャさんの「<息づかい:珠洲>2021」を取り上げたい。

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ラポルトすずで検温

まだ鑑賞していない作品は残り3つ。

そのどれもが外浦側に展示されているものであったので、鑑賞前の検温(感染予防対策のため必須)は同じく外浦側にあるスズシアターミュージアムで行えばいいものを、この日は内浦側にある「ラポルトすず」で済ませてきた。

ちょうどその日、ラポルトすず前の芝生で「珠洲焼まつり」が行われ、また同時に「ひびのこづえ」さんの衣装をまとった「スズイレブン」によるダンスパフォーマンス『Come and Go』の公演もあったので、先にこちらに立ち寄りたかったのだ。

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ということで午前中のうちにラポルトすずへ

奥のイルカの絵が描かれた建物「さいはてのきゃばれー」前で検温を済ませてきた。

リストバンドも新しくもらって、しばらく珠洲焼まつりを見て回ってきた。

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珠洲焼の展示直売会が行われていたのだ

珠洲焼作家の方、数名が集まっていた。

同じ珠洲焼でも作家さんそれぞれで作風や作るものが違うので、見て回っていて楽しかった。

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自分もこちらで一枚皿を購入した

日常で使用する珠洲焼を手頃な価格で揃えているという、多間俊太郎さんのところで魚用の縦長の皿を一枚購入した。

珠洲焼の皿が一枚2000円から3000円くらいで買えた。

珠洲焼って黒いのが特徴なんだけど、窯の中の場所だったりでその黒みが薄くなったり濃くなったりもするそうで、薄いものは出来がイマイチらしく数百円さらに安くなっていたりもしていた。

裏側に積まれていたイマイチに属するものも見せてもらったけど、こういう事ができるのは直売会ならではだと思う。

 

3番 キムスージャ「<息づかい:珠洲>2021」

ラポルトすずから北上して作品No.3のある大谷エリアの鰐崎海岸に向かった。

キムスージャさんの作品はまん防のせいで一部だけ公開だった9月にも見に行くことが出来たけど、そのときは見れない箇所もあった。

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海岸に到着

9月にも一度やって来ているので自分にとっては二度目だ。

以降、9月に撮影した写真も交えながら紹介したい。

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駐車場から海岸沿いを歩くと見えてくる作品

キムスージャさんの作品は2つある。

小屋の中に入って鑑賞するものと、外にあるものだ。

小屋の中に入って鑑賞するものが、まん防中の9月には公開されていなかったのだ。

写真の右上に見えている小屋がそれだ。

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ここだ

10月に来たときは入口が開いていたけど、9月に来たときは閉まっていた。

それでも窓ガラスに施された虹色がかかった細工は外側からでも視認できたので、それなりに楽しめた。

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なにはともあれ3番だ

作品名「<息づかい:珠洲>2021」の中でも、こちらの小屋のものは「息づかい-旗」と呼ばれているものだ。

なんでも世界中の旗を一つの画像に重ね合わせているそうだ。

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入ってみるが…

特別に何かが置かれているわけでもない。

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左を向いても

ベンチが置かれているくらい。

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右を向いても

古い手洗い場が設置されているくらいだ。

ただ、どの写真を見てもわかるように、その窓には虹色がかかった何かが貼られている。

おそらくこれが世界中の国旗を一つの画像に重ね合わせたものなのだろう。

合わせすぎて国旗の要素が一つもなく、混ざり合わさってレインボーに化けている。

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「キレイだ…」

って言いたくなる。

レインボーのコントのように、世界の国旗を全部ひっくるめて「愛すな…」っていえる日が来ることを願いたくなったよ。

 

外にあるのがメイン

作者のキムスージャさんは二十年来、鏡面を素材としたインスタレーションを発表し続けている方であり、ガイドブックなどでの作品説明のされ方を見ていると鏡面の作品がメインだと思われる。

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外に鏡を使った作品が展示してあるのだ

ここからは、より天気もよく写真的にまだましに撮れた9月の写真を中心に紹介したい。

ご覧のように大画面テレビのようなサイズの大きな鏡が3枚置かれていた。

これ、テレビのインチで言ったらどれくらいあるんだろうか?

100インチはありそうな気がする。

そこに映し出されるリアルタイムで変化する景色だったり、自分自身を含む人物だったりを見て、撮って楽しむ作品だ。

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なにせが鏡面がすごくきれい

素材はなんなのか、外に置かれ続けているっていうのにその鏡面がすごくきれいで、映っている景色が、画素数のむちゃくちゃ高いカメラで撮った写真みたい見えて、興奮したり、感嘆してしまった。

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遠くから見ると…

緑の丘の前に海の写真、もしくは映像を置いているみたいじゃないか。

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なんだったら鏡に映っている方がきれい?

写真だとピントのせいもあるけど、鏡面に映しだされた方が美しく見えたりするからマジックみたいだと思った。

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何度も言いますが鏡に映った画です

綺麗すぎて、その枠の中に別次元のリアルが存在しているように思えてならなかった。

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自撮りもこのように

自身の顔ではなく、美しい景色をメインに自撮りもできる。

なんと便利なパネルではないか。

まあ、自分は自分自身を撮ることにまったく興味はないですけどね。

カメラを構えているときの自分って、こんな感じなんだね…

 

感想

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閉まっていたときのほうが虹色が強め?

二つあったキムスージャさんの作品、共に言えることは「キレイ」だろうか。

鏡面に映し出された景色が特にキレイ過ぎて、自分たちの住む石川県って、ロケーション的にこんないいところだったんだねと、再認識できた。

この景色をこれからも残したいとも思えたし、この鏡面パネルがあちこちにあったら、いろんなものがきれいに見えて、世の中もっと平和になったりするんじゃないか、とも思ったりもした。

作者は「多様な文化が重なり合って共存する社会」を表現してきたようなんだけど、その気持ち、すごく伝わった。