車が走れる砂浜として知られる千里浜の終点の方に、毎年初夏から秋頃に砂像が現れる。
コロナ禍にある今年(2021年)も作られているというので、見に行ってきた。
能登千里浜レストハウスの駐車場に
能登ふるさと博のイベントの一つにも数えられる「千里浜砂像」は毎年5月下旬くらいから11月上旬くらいまで千里浜の終点に展示されている。
展示場所をもっと具体的に言うと能登千里浜レストハウスの駐車場だ。
地図
天気にもよるが、千里浜なぎさドライブウェイを車で通れるようならそこを走って最後まで行くと到達できるので、わかりやすいといえばわかりやすい。
なぎさドライブウェイを通らないとなると、のと里山海道の千里浜ICで下りてそこから少し迂回する必要があるので、慣れていないと分かりづらい。
迷子常習犯の自分は少し迷った。
ここに到達する
車も走れる砂浜である「千里浜なぎさドライブウェイ」の終点にあるドライブインだ。
今年2月にリニューアルされている。
自分、リニューアル後に来るの、これが初めてだ。
写真、建物の奥に見える車がたくさん止まっている駐車場の方へと歩いていくと、目的の砂像を拝むことができる。
自分は、この場所に展示されているいわゆる「千里浜砂像」を見に行くのも、実は今回が初めてだったりする。
なぎさドライブウェイを走ることはあっても、この終点まで来ることってなかなかなかったからだ。
駐車場の方へ
建物から駐車場へと向かうと、このような看板が見えてくる。
今年の砂像看板、ならびに協賛企業一覧である。
背後はなぎさドライブウェイの終点であり、千里浜海水浴場だ。
背後の方へ
こんなところだ。
海水浴場もあるので、家族連れやカップルで海を楽しんでいる客も多く、ご覧のように砂浜の方に停まっている車も何台も見られた。
シーズンだ。
自分は海に入ると何故か自分ばかりクラゲに刺されてしまうので、海水浴はあまり得意ではない。みなさん楽しそうでしたけどね…
まあ、そんな自分なので海水浴より興味はやっぱり砂像に向いてしまう。
先程の看板の写真にも少し写っていたと思うけど、看板の隣に砂像の作品が並んでいた。
2021年は4つの作品だ。
以下、その写真を順に並べていきたい。
砂像を拝む
まずはこちら
看板の右隣にはハート型の砂像が置かれていた。
作品にはだいたいそれぞれのタイトルも書かれていたりしていたんだけど、ハート型のこれには書かれていなかった。
後になって調べてみると、聖火リレーを表現したものらしい。
なるほど、右の女の子が手に持っているのが聖火ということのようだ。
間違ってもソフトクリームではない。
記念撮影していく人も多いみたいだけど、中央のハート型の穴は顔ハメパネルとは違うので、勘違いした撮影は控えたほうがいいだろう。
ハートの穴からは海を望む
海水浴を楽しんでいる人たちが、ちょうど穴の向こうにいた。
こうして撮ったほうが遠くの人物が気持ちくっきりと見えるから不思議だ。
あえて波打ち際に人を立たせて気持ち(愛情)を表現する写真とすることもできそうだ。
表現のイマジネーションが膨らむ砂像である。
そのとなりにはこんな作品が
小説「ザ・パキラ」と言うタイトルになっていた。
制作は田中民恵さんという方だそうだ。
このように作品名の立て札あり
これが立てられている作品が今年の千里浜砂像の正式な作品ということだろうか。
聖火以外の3作品すべてにこの立て札があったので、ハートの聖火がちょっと特殊な扱いになっているのかも知れない。
それにしても「ザ・パキラ」というもがどんな物語なのか自分はよく知らない。
もちろん読んだこともない。
中央には涙を流して祈る天使のような女子がいる
ファンタジーなのか、そうでないのかもよくわかっていない。
後になって調べてみたら、どうやら「ザ・パキラ ~善と悪 光と闇の物語~」という遊部香さんの作品らしい。
もともと脚本なのか舞台にもなっていて2021年8月15日~17日に北千住の「1010シアター」にて上演もあるそうだ。
一番右端にはこんな作品が
作品名は「滅」。
制作者は「田中5」という方になっていた。
「田中5」の「5」は誤字ではなく…
本当にそういう制作者名
正直、目を疑ってしまったけど、この多様なハンドルネームがあふれるSNSの時代においては珍しい話ではない。
で、肝心の作品だけど『鬼滅の刃』だ。
映画が日本の映画の記録を塗り替えているのに自分はいまだに『鬼滅の刃』をアニメで観たことも漫画で読んだこともない。
読んだこともないのに砂像で描かれている登場人物がどういうポジションの人なのかそれとなくわかっている(確か『柱』とかいう人達)自分がいるんだから、鬼滅の刃の日本における浸透範囲の広さがわかるというものである。
登場人物の名前は、覚えていませんが…
あ、映画の人
この人、映画のテレビトレーラー(予告)でよく目にした。
この砂像のタイトルのようにこの人達に「滅」してもらいたいのはやはりコロナ禍だろうか。
そんな意図があるのか、ないのか…
中央にはこんな作品が
他の3つより明らかにサイズが違う。
このひときわ大きい作品のタイトルは…
「今年で新型コロナさよぉ~なら!」
制作者は砂像クリエイターの古永健雄さんだ。
道の駅のと千里浜に置かれている大きな砂像だったりを作っているのもこの方だ。
輪島で塩による作品を直しているところを拝見したこともある。
(塩像を見に行ったときの記事は→こちら)
このいかつい閻魔様の表情を見よ
絶対許す気ないなと思わせる憤怒の顔をしている。
この閻魔様に裁かれているのが…
コロナだ
かなり擬人化されて表情も困っているような、でもユルキャラのような感じもするけど、そのスパイク状の頭はコロナだ。
隣のやつは許しを請うているのか土下座までしている。
コロナ禍収束の願いを込めての作品なんだそうだ。
自分としては脇の猿みたいな鬼にも目が行ってしまう
一緒にコロナウィルスを裁こうとしているキミらはいったい誰なんだ?と、そのあたりが気になって勝手な空想を始めてしまう。
表情は怖いけど、浅ましいようにも見えてくるから興味深い。
こういうのも目ざとく見つけてしまう
コロナとそれを裁く閻魔がどうしても注目されやすいだろうけれど、それらのさらに足元には溝から這い上がる人のような何かがいた。
自分なんかがこの動きを見ると映画『リング』のあれを思い出して笑ってしまう。
まあ、指で地面を引っ掻いている跡まで演出して作られているんだから、相当な執念で這い上がっているというのはわかるし、苦しむ人類という見方もできよう。
自分としては、誰がその溝を掘ったんだ?という点も気になるところで、誰かに罠を仕掛けられたのか、それとも自ら墓穴を掘ったのか、これまた身勝手な想像がムクムクと膨れ上がっていくのである。
古永さんの作品は細かいところでいろんな演出がなされているものが多く、その分あれこれと考えさせられるので、観ていて面白い。
まとめ
以上、千里浜砂像2021の作品の写真である。
でっかい砂像を一度に数体目にできながら、入場料は無料なんだからありがたい話だ。
大きいのになると完成させるのに2~3ヶ月かかるというし、ときに炎天下で作業は行われると言うんだからかなりハードだ。
少し前の新聞で、大ベテランの原田敏雄さん(75歳)と言う方が砂像づくりを体力的な理由から引退したという記事を目にした。
いまは古永さんと女性二人の計3人で作品制作をしているという。
ハートの聖火のものを抜かすと、今回作品が3つあったのはそういうことなのだ。
原田さんの作品をもう見れないと思うと残念だけど、本格的に砂像づくりをやりたいという後進が出てきているということだから胸熱だ。
引き継がれていくわけで、そんな観点からか、今回作品拝んでいて夏休みの夏祭りにも似た高揚感を覚えてしまった。
夜にはライトアップ(7月16日から)するというし、レストハウスや海の家で食べ物にもありつけるし、やっぱり祭りの雰囲気あるわね。
団子購入
こちらイカ団子、一本150円。
食べ歩きすると祭りの雰囲気増し増し。
海より団子の自分が言うのもなんだけど、海水浴ついでに、またドライブのついでに、砂像を拝んで(拝むという言葉がどうも似合う)みてはいかがだろうか。