初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

絶メシで知られる志賀町の「ロードパーク女の浦」に立ち寄った

テレビ東京で放送されていたドラマ『絶メシロード』に石川県志賀町にある「ロードパーク女の浦」というドライブインの食堂が登場していた。

石川県民なのに行ったことがなかったので、先日、能登方面に用事があった際に立ち寄ってきた。

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県道36号線沿いにあるお店

最近、特にコロナ禍になってからサブスクリプションで動画を見ることが多くなった。

石川県に住んでいてもテレビ東京などのドラマや番組なんかも見れたりするので楽しい。

気に入った動画を「お気に入り」や「マイリスト」でまとめたりもできるのだけど、自分のリストに『孤独のグルメ』や『ワカコ酒』『絶メシロード』なんかが並んでいるのを見ると、我ながら「一人行動を苦にしない典型的なB型のんびりマイペース人間」だと思う。

その『絶メシロード』(テレビ東京のドラマ)に石川県志賀町にある「ロードパーク女の浦」というお店が登場していた。

巌門近くにあるドライブインの食堂だ。

自分はこれまで行ったことがなかった。

あのあたりを何度か通ったことがあるものの「あったような気がする」という曖昧な記憶しかない。

絶滅しそうなお店の絶品飯をめぐる『絶メシロード』に登場していただけに、そんなに目立たないのだろう。

実際、ネットの地図で調べてみると…

こんなところにあった

金沢方面から巌門に向かう際に利用する県道36号線(志賀富来線)沿いにあることがわかる。

いまでは「のと里山海道」(旧有料道路)もあるし、国道249号線や159号線もあるので、輪島や珠洲といった奥能登へ向かうときにもほとんど使われなくなっている道だ。

しかも県道36号線沿いには、お店の正面ではなく背中が向いているので、36号線を走っているだけでは見落としがちなのである。

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正面に回り込む

こちらが「ロードパーク女の浦」の正面。

このお店の真ん前には何があるかと言えば…

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海がある

国定公園能登金剛の「巌門鷹の巣岩」が見れるところなのだ。

右側に見える緑が茂る岩が鷹の巣岩だ。

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これですね

足元、崖なので眺めるときは注意が必要だけど、いい景色だ。

この日は雨、天気が悪かったのが残念だ。

お店の方いわく、晴れのときはもっといい眺めなんだそうだ。

 

能登うどんと珈琲を頂く

「ロードパーク女の浦」はお土産屋と食堂が一つになっている。

お店を正面にして左側がお土産屋になっていて、右側が食堂になっているのだ。

ドラマ『絶メシロード』の原案であるローカルサイト「絶メシリスト」でも記されているように、70歳を超えた、腰の曲がったおばあさんが運営していた。

むかしは旦那さんと運営していたようで、旦那さんがなくなってからは、手伝ってくれる女性の方とお店に立っている。

いまでも現役で厨房に立っていたのだからすごい。

ドラマ『絶メシロード』や原案のサイトでは「能登ラーメン」(650円)が名物として紹介されていた。さらには海鮮丼(1700円)も食べていた。

でもここ、能登ラーメンが登場する前は「うどん」が看板メニューだったらしい。

自分はやっぱり天の邪鬼(あまのじゃく)なところがあるので…

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うどんを頂くことにした

こちら「能登うどん定食」(900円)だ。

能登うどんは単品だと600円だ。定食セットだとご飯と漬物と他に一品がついてくる。

この日はお刺身が付いてきた。

海鮮も少し食べたいと思っていたのでちょうどよかった。

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わかめたっぷり

名物「能登ラーメン」もそうだけど、隠れ人気メニューであるこの「能登うどん」もワカメたっぷりだった。

カニイカの煮付けも乗っている。

基本的に能登ラーメンとスタイルは同じのようだ。

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いただきます

写真ではうどんを箸で釣り上げているが、うどんに行く前にまずはワカメから攻めている。

能登方面はワカメも特産品の一つだ。

この天然ワカメ、食感がコリコリ、でも固いわけではなく、ダシの甘みとすんごくマッチしていた。

乾燥したものではないから乾物の独特のニオイもなく、磯の香りをほんのりさせながらも、強すぎるわけでもなくて、ダシの甘みと掛け合わされてふんわりと優しい。

これぞ天然ワカメ、久しぶりにいいワカメをワカメとして味わえている感動がいきなりあった。

このワカメだけでもこれを頼んだ価値があったとそう思えてくるほど美味い。

そんなワカメと絡ませながらすするうどんはコシもしっかりして、柔らかい甘みの中で存在感を示している。

もちろんワカメとの相性もよく、お互い喧嘩せずにツルツルと舌の上を滑って喉を通っていってくれる。

庶民的な味を想像していたけど、その想像を超える「美味い庶民的な味」だったのが自分好みだ。

これはたしかに絶品だと思った。

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イカの煮付けも

こちらも臭みもなく甘うまい。

自分は子供の時分、イカやタコが食べれず、大人になってようやく味わえるようになったので、美味しいと思うものじゃないとあまり受け付けない。

そんな自分でもたくさん食べたくなる甘うまさと柔らかさがあった。

これまたうどんと喧嘩しないので、まとまりがとてもいい。

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ついてきた刺し身

水タコとブリに似た魚の刺身だ。

海鮮丼もいいなと思っていたので、少しとは言えこうして刺し身をいただけるのが嬉しい。

もちろん新鮮。能登の魚はいつ食べてもうまい。

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食べ終えてサイフォンを眺める

能登うどん、想像以上に美味しくてかなり満足。

気分良くカウンターの方に目をやるとサイフォンが置かれているのに気づく。

学校の理科室で見られるフラスコみたいなものがサイフォンだ。

(コーヒーを作っているときはもう一つビーカーみたいなものが上に乗っかっていて、お湯が移動していく。その過程が面白い)

このお店ではサイフォンでコーヒーを淹れてくれるとのことで、こちらも一つ頼んでみた。

自分、サイフォン式のコーヒーってあまり飲んだことがない。

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届いたコーヒー

こちら一杯400円。

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チョコレートも付いてきた

砂糖やミルクも付いてくる。自分はコーヒーをブラックで飲むのでチョコレートだけいただいた。

サイフォン式コーヒー、飲んでみると味に雑味や濃さ、クセをほとんど感じず軟水を頂いているような柔らかさがあった。

後で知ったことだけど、まさにそれがドリップ式とは異なるサイフォン式コーヒーの特徴のようで、スッキリとしていて飲みやすかった。

うどんもふんわり柔らかい味わいなら、淹れてくれるコーヒーもやわらかくやさしい味わい…

このお店の店柄というか、厨房に立つおばあさん、ならびに手伝っている女性の方の人柄が出ているようで、ほっこりした。

 

水槽を撮る

店内には水槽が置かれていて金魚が飼われていた。

お会計を済ませた後、その水槽の写真を撮ってもいいか訊ねたところ、普通にOKをもらえた。

それどころか、手伝っている女性の方にいろいろと説明もしてもらえた。

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店内に水槽が置かれているのだ

話によると、金魚はオーナーの息子さんの趣味だそうで、もらってきたりネットで購入したりしているとのこと。

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メダカがいる水槽もある

金魚の他にはメダカがいる水槽もあり、その水槽には貝の仲間の子供がガラスに何匹もくっついていた。

貝の仲間(タニシかな?)もあえて入れて育てているようだ。

なんでも、貝の仲間を入れておくと、水槽のガラスを内側から掃除してくれるそうで、藻で緑色になりにくいんだとか。

メダカは貝の稚魚や卵を食べないけど、金魚は食べてしまうそうで、貝の仲間が大きくなるまでメダカの水槽で育て、大きくなってから金魚の水槽にも入れているんだとか。

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大きなやつは金魚の水槽にもいた

そんな話を聞けるとは、勉強になった。

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水槽の他に池みたいなものも店内にある

大きな金魚がこちらに入れてあった。

中には金魚と思っていたら実は鯉だったという魚もいる。

カメラでは写せなかったが、たしかに髭のある魚がいた。

なんでもこの池の水、地下70メートルから引いている地下水なんだとか。

このお店、地下水を利用しているのだ。

もちろん調理場でも使われている。

水道水と違いカルキもないのでそれを飛ばさなくてもいいし、変なニオイもしない。

頂いたうどんやコーヒーの、ふんわりやわらかい優しい味わいの秘密の一つを知れたような気がした。

 

感想

絶メシで知られる「ロードパーク女の浦」で食べた能登うどんとサイフォン式コーヒー、想像以上に美味しかった。

あれだけワカメが入っていたらクセのある味を想像してしまうのだけど、それをいい意味で裏切ってくれていた。

天然ワカメってあんなに美味しんだな、うどんとも喧嘩しないんだなとの発見がうれしい。

帰り際、手伝っている女性の方(この方、もともとは常連客で、このお店を存続させるためにおばあさんを手伝っているらしい)が「また寄って」と気さくに声をかけてくれた。

そのアットホームな気持ちにさせてくれる一言もまたやさしい。

田舎の家に帰ってきたような気持ちになったよ。

味も雰囲気も心遣いも人情にあふれているお店だ。

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帰り際、ちょっとは晴れてきた

もちろんまた行く。

そのときは、能登ラーメンの方も試してみたい。

絶滅しそうな絶品飯である「絶メシ」のお店だけど、これからも長く続いてほしい。