白山市には地物の食材を使った、ちょっと変わったソフトクリーム「じわもんソフト」なるものがある。
以前より気になっていたので、先日、その一つを食べに行ってきた。
白山比咩神社を目指して
「じわもん」というのは石川県や金沢市で使われる方言で、家庭で食べられるようなおかずのことだ。また、地元の食材、「地物」の意味もある。
白山市には「まっとうトマト」や「とちの実」といった特産品があり、そういった地物を使ったユニークなソフトクリームが「地産地消推奨店」各店で売られていたりする。
これが、白山市の「じわもんソフト」なるものだ。
昨年は8店舗14商品だったものが、今年(2021年)は12店舗17商品に増えていた。
そのうちの一つ「どぶろくソフト」が以前より気になっていたので、先日、それが売られている「いっぷく処 おはぎ屋」さんへ足を運んでみた。
お店の地図
「おはぎ屋」さんは白山比咩神社の表参道にある。
そんなもので白山比咩神社を目指すと行きやすい。
このように
県道179号線を走っていると白山本宮駐車場の看板が見えてくる。
その下に「おはぎ屋」の看板もあり、矢印のとおり曲がるとお店はすぐそこだ。
ここ
神社の表参道の鳥居の直ぐ側に「いっぷく処 おはぎ屋」があるのだ。
神社の駐車場もあるので車でも来やすいところだ。
ただ、あくまで白山比咩神社の駐車場なので参拝以外で駐車することは基本的に禁止されている。
そんなものでまずは参拝してきた
自分、表参道から入るの、あまり経験がない。
ここから入ると聖域の雰囲気ある
山にある神社だな、という雰囲気もすんごく味わえる。
雨の日だったからかよりいっそうに
昼前なのにこのちょっと薄暗い感じが身を引き締められる。
というか、この石段、かなり長い。
登っていかなきゃいけないので、その意味でも身を引き締められる思いがした。
ご時世というものか「マスク着用」の呼びかけが…
最初の鳥居の前にもマスク着用の看板が設置されていたけど、次の鳥居にも横断幕で呼びかけているのだから徹底している。
しょうがないからちゃんと掛けていたけど、マスクしながらこの石段を登るのはかなりハードだった。
息が切れる。夏場のもっと暑いときだったら危険なんじゃなかろうか。
まるで修行場だ。
あ、狛犬発見
2つ目の鳥居の脇に狛犬がいた。
この吽形、角が生えている。
もちろん反対側にも
こちらは阿形。
狛犬写真家を自称しようかと目論んでいる自分としてはついつい反応して撮ってしまう。
古くて時代を感じさせるかわいいやつだ。
石段を上りきるとここに出る
現れた門を抜けると、もう拝殿だ。
到着
拝殿の前の狛犬は相変わらずいかつい。
人間並にでかいしね。
いつ見ても迫力がありますな。
ということでちゃんと参拝してきました。
家を出る前は雨が降っていたのだけど、駐車場についてこうして参拝しているときは雨もやんでいたのだから自分は運がいい。
毎年のようにこの神社には参拝しに来ているので、信じるものは救われるといったところだろうか。
どぶろくではなくつぶあんおはぎソフトを
参拝も終わって再び表参道へと戻る。
登ってそれなりに疲れただけに、下りきったところにいっぷく処があると、たしかに立ち寄って休憩したくなる。
ということで一服
中に入ってみると、お土産屋のようでいて且つ食事も取れるお店だった。
十割そばとか美味しそうであった。
でも今回の目的はソフトクリームだ。
ソフトクリームのお品書き
実際にお店にやって来てみて驚いたのは、ソフトクリームの種類がこのお店だけで8つもあることだ。
どれもが個性的だ。
この中で白山市の今年の「じわもんソフト」に数えられているのが「つぶあんおはぎソフト」と「桑茶ソフト」と「どぶろくソフト」だ。
「どぶろく」というのは米と米麹と水を使って発酵させただけのお酒で白山市鶴来(神社のすぐ近く)がこのお酒を作れる特区になっている。
以前、ここではないがやはり特区になっている中能登町のどぶろくを飲んだときにかなり印象に残ったので、どぶろくでソフトクリームを作る発想に惹かれるものがあった。
ということで狙いは「どぶろくソフト」と家を出る前から決めていたのであるが、これまた実際にお店についてみると衝撃の事実が発覚した。
写真にも写っているソフトクリームお品書き、その「どぶろく」の横に「お酒」と書かれてあるのがわかるだろうか?
これを目にしたとき、一気に不安になった。
まあ、どぶろくはもともとお酒だし、その説明書きみたいなものだろう、ソフトクリームになったら関係ないだろう、なんて自分を慰めてもみたりしたのだが、実際にお店の方に話を聞いてみると…
「どぶろくソフトそのものがお酒」ということだった。
つまり「少量ながらアルコールが含まれている」ということだったのだ。
少量とはいえ、車を運転する人は食べれないという話なのである。
自分、車で来ちゃってます…単独で。
終了。
どぶろくソフトは諦めるしかなかった…
かわりに「つぶあんおはぎソフト」をいただくことに
マスクをして石段を登ったあとだけにショックで軽い目眩がしたけど、このお店にはまだ「じわもんソフト」に数えられるものが二種類あったので、そのうちの一つ「つぶあんおはぎソフト」を代わりにチョイスすることにした。
一つ380円。
「おはぎ屋」っていう名前のお店だし、このお店でいちばんらしさが出ているソフトなんじゃないかと思った次第だ。
面白かったのは、注文してから「おはぎ」をソフト製造機に入れていた点だ。
ただの「おはぎ味」なのではなく、「おはぎをそのまんま放り込んであるソフトクリーム」なのである。
一気に惹かれてしまった。
ちなみにこのお店、食事が取れるだけあって店内でも食べれる。
座敷もあったけど、自分はカウンター席でいただくことにした。
いただきます
目視でも確認できるように、食べてみるとつぶつぶの食感がある。
そこから口の中に広がるあずきのやさしい風味が、冷たさから頭を襲われるキンキンとした棘みをなくしてくれるので、アイスの一種ながらすごく食べやすかった。
さらに食べすすめると、つぶつぶの他にモチモチとした食感があることにも気づく。
おはぎをそのまま放り込んであるのだからモチモチして当然なのだけど、これがまたソフトクリームとしては新食感で驚きがあった。
あるいはそのモチモチが冷たさからくるトゲトゲしさを和らげているのかも知れない。
なんにせよ、この食感と小豆の風味は見事にソフトクリームと調和していて美味しい。
かなりユニーク、それでいて美味い。
じわもんソフト、たまげましたね。
もう一軒食べに行く
つぶあんおはぎソフトが想像以上に美味しかったからか、調子に乗ってもう一つ食べたくなった。
同じ店ではなく、どうせならハシゴしたくなったので別のお店のじわもんソフトを求めることにした。
ということで河内地場産業センターへ
通称、河内じばさんだ。
地元の特産品が売られ、地元の食材を使ったランチなどを提供するレストランもあるところだ。
地図
国道157号線沿いにあるので白山比咩神社からも直進するだけで行きやすく距離的にもそんなに離れていない。
ここに「そばソフト」なるものがある。
看板もあり
運転中にこんなの見せられると立ち寄ってしまいますわね。
蕎麦なのにクリームのところが緑色なのが気になりましたが。
ということで一つ購入
小と大とがあり、それぞれコーンの大きさから違っていた。
自分が選んだのは小の方だ。
こちらで一つ220円。
自分は甘いものが好きだけど、たくさん食べすぎると頭が痛くなる体質なので、小さい方にしてみた。
購入してみて驚いたけど、実物もクリームのほうが緑色だった。
茶色のツブツブとしたものは蕎麦の実なんだとか。
他にも蕎麦の粉を練り込んであるようで、さらには蕎麦の若葉も入っているという。
緑色なのは若葉によるものなのかも知れない。
いただきます
かじりついてみると、あらビックリ、そんなに甘くない。
蕎麦の実はぷちぷちとした食感があって、蕎麦の香りをほのかにさせてくる。
そのソバの香りよりも全面に出てくるのは緑の香りだ。
茶葉にも似た若葉の香りが爽やかに鼻を抜けてくるのだ。
なんでも甘さを控えめにして蕎麦の香りを引き立たせているようなのだけど、これは意表を突かれた。
「おはぎ屋」で食べた「つぶあんおはぎソフト」と全然性格が違う。
「大人のソフト」と称されていたけど、たしかに子供が食べて喜ぶような趣向ではないかも知れない。
でも、自分はコレ、かなり好きだ。
控えめとは言え甘くないわけではないし、もともと抹茶系のフレーバーも好き(エッセルのスーパーカップで言ったら王道の超バニラの次に抹茶が好き)なので自分の舌にはすごく合う。
若葉や蕎麦の香りをかいくぐり辿り着くほのかな甘味…
食したときのこの小さな小さな味の冒険が、少年時代をふと回顧させてくれたのだから不思議だ。
なるほど、確かに大人が食べるソフトだ。
うまい。
感想
以上、白山市のじわもんソフトを2軒ハシゴした話である。
どぶろくソフトに関しては残念であったが、おはぎ屋のつぶあんおはぎソフトも、河内じばさんのそばソフトも、どちらも性格は異なりながらもともに個性的で新感覚のソフトクリームで美味しかった。
今回食べた2つの共通していることと言えば、ツブツブが入っている点だろうか?
ソフトクリームって固形物をプラスしても成り立つんだということを今回初めて知った気がする。
じばさんではおにぎりも購入
塩だけのシンプルなおむすびなんだけど、甘くなった口の中をリセットするには丁度いい。
甘くなっていただけに塩味がいつも以上に美味しく感じられたりもしたんだから、意外といい取り合わせなのかもしれない。
白山市内にもまだまだじわもんソフトはあるので、これからも少しずつ味見していきたいものである。
いつか誰かを巻き込んで今回食べれなかったどぶろくソフトも食してみたい。