また山のほうか…と熊に警戒しながらむかしの駅をめぐる。
廃駅の旅10回目だ。
あけましておめでとうございます。
2021年ものんびり綴ってまいりたいと思いますので、こんなローカルでマイナーなブログですがどうぞよろしくお願いいたします。
今年一本目は一昨年、昨年より続けている「廃駅の旅」の続きです。
そういう区切りのところは前年中にやっておけよと言われそうですが、やっぱり根がのんびりなので、これも当ブログらしさということでご容赦いただきたいと思います。
では。
花園というところにある古君駅
廃駅の旅も10回目だ。
今回は前回の「前波駅」の次の駅に当たる「古君駅」に行ってきた。
ここは「のと鉄道」の旧能登線で穴水町にある駅としては最後の駅となる。
やっぱり穴水町古君という所にあるのかと思いきや、実はそうではない。
調べてみると「古君」(ふるきみ)というところの隣にある穴水町「花園」というところにあった。
いきなりややこしい話なので、どう行けばいいのか、まずはそこから記したいと思う。
最初の目印はこのバス停「花園口」
前回の前君駅から向かうとするとやはり県道34号線(能都穴水線)を走ることになる。
ただ、県道34号線沿いに目的の駅があるわけではないのでやはりちょっとめんどい。
とりあえずその道路を走っていると、花園というところに入った辺りでこの「花園口」というバス停が見えてくる。
少し引くとこんな感じのところにある
右手に花園口のバス停が見え、左手にお地蔵様が見える交差点がある。
目的の駅に行くにはこの交差点を左に入っていくことになる。
なかなか細い道を入っていくことになる
ひとまずお地蔵様に合掌。写っている佐川急便のトラックを追いかけるように進むことになる。
トラックが一台しか通れないような細い道なので車の行き来には気をつけていただきたい。
この道を入ってちょっと進むと…
こんなT字路に出る
見上げると跨道橋の跡もある。
こういうのを見ると駅に近づいてきているなとの実感がある。
廃駅を探している者からすると少し安堵する瞬間だ。
この曲がり角(ミラーがあるところ)で、今度は右に曲がることになる。
曲がった先の景色
これまたさらに細い道に出る。
ほとんど農道だ。コンパクトカーでも車2台通るのは難しい。
またまた分かれ道
突き当りでこんなY字路に差し掛かる。
ガードレールがある左の方に曲がって行きたくなるところだけど、目的の古君駅へは写真で言うところの真っ直ぐの道が正しい。
その道を入っていけば、もう道沿いに廃駅があるのだ。
ただ、Uターンも難しいくらいかなり狭い。
ちなみにY字路手前の右手にはこんなものも
ここでも跨道橋を目にできる。こちらは端のケタ部分が残っている。
なんとなくこの橋をくぐって行きたくなるけど、この道ではないのでご注意願いたい。
Y字路の先のこの道が正解
細い上に右手は林だ。
また熊などの獣が出てこないかと心配になる道であった。
林というか密林みたいな廃駅
林を右手に細い道をさらに真っすぐ進んでいくと、左へカーブする手前で右手に小屋のような物が見えてくる。
その小屋
物置みたいなもので、高さも2メートルくらいしかない。
こんな小屋がポツンと道沿いに一つだけ置かれている。
旧古君駅の場所もこの辺りなのだが、線路のようなものは見えないし、物置みたいなものしかないしで急に不安になった。
しかもこの小屋、見えている側が裏面なのか入口もない。
なんだこれは、そしてここはと思ってしまったけれど、これこそが旧古君駅で間違いないのである。
地図を確認
グーグルマップにも載っていたので確認してみた。
県道34号線から一度左折して、次に右折して、その先のY字路のようなところをさらに直進している。
間違いないのだ。
ではこの小屋は何なのかといえば、これこそが旧古君駅の待合所だったりするのだ。
小屋の周りの茂みを覗いてみる
小屋の左右は木々が茂っている。
林の手前に小屋があるような形で、その両脇の茂みを覗き込んでみると何やら鉄柵が見えた。
プラットホームのようなコンクリート製の足場みたいなものも目にできる。
俄然、ここが廃駅に思えてくるのであった。
さらにはこんなものも見つけた。
注意書き
小屋の壁面に貼ってあった。
「危険 線路上 歩かない 遊ばない」と書かれてある。
これがいつのものか知れないが、線路があったわけで間違いなく、これが鉄道関係の施設であり、旧古君駅で間違いないだろうと確信を持てたのであった。
では、この待合所の正面、並びにホームにはどこから行けるのか?
入り口がないかと辺りをウロウロとしてみると…
ここから入れると発見
小屋の横には昔の駅で見られる木製の柵も伸びていて、その途中で切れているところがあった。そこからプラットホームの方へと入っていけたのだ。
写真で言うところの赤い矢印で指された辺りだ。
ただ、入ってみて驚いたけど、いや、これまでの写真からもわかると思うけど、木々の茂みっぷりがひどい。
おしゃれ着では通りたくないようなところだった。
そして獣が現れないかとすこぶる心配になった。
ここに行った時期が11月であったので、冬眠前の熊がウロウロしていないだろうなと、そんな不安がよぎるところだったのだ。
でも、入ってしまう。
秘境の駅と呼ばれていた鹿波駅のように目前まで来て山の方へと入っていけなかった後悔を繰り返したくなかったので、足を踏み入れてしまっていた。
(旧鹿波駅に行った時の話は→こちら)
そして目にしたものが…
この景色
確かにそこにはプラットーホームがあった。
そしてあの小屋は確かに待合所であった。
絨毯を敷いたように落ち葉で赤くなったホーム。
長年の風雪に屋根が朽ち果てて、その一部がプランプランしている待合所。
その景色は、捨てられ人々の記憶からも忘れられてしまった寂しい廃駅であった。
本当はもっと近づいて撮りたかったけど、獣の心配の他に壊れた屋根の一部が崩れてきやしないかとも心配になって、それ以上近づくのをやめにした。
あの小屋の裏に書かれた「危険 線路上 歩かない 遊ばない」の文字の、特に「危険」が鮮明に思い起こされたわけである。
線路も段差ありそうだし、屋根もいつ壊れるかわからないし、確かに「歩かない 遊ばない」なのだ。
感想
果たしてこの場所が、この廃駅が再びなにかに利用され、あらためて輝くときが来るのだろうか?
林の手前にあり、見た目はまるで密林の中にあるかのように木や枝が茂りすぎて人が入りづらいこの場所は、廃駅という言葉が似合いすぎて、廃れていく一方でしかないかのようであった。
でも、発想を変えるとその自然っぷりを楽しむ場所にできないこともないのではないだろうか?
写真を撮って帰り際にふとそんなことも思った。
プラットホームはそれなりに長さがあった
どこぞの廃駅じゃないけど、トロッコを走らせたくなった。
木々や茂みのアーチをくぐりながらトロッコでのんびり走ると、それなりに森林浴っぽいことができないだろうか?
なんだったら、トロッコじゃなく車で通れてもいい。
線路があったところをちょっと整備して車一台通れるようにしてくれれば、茂みの下をドライブ、なんてことも楽しめそうである。
…といったことが、むくむくと浮かんできたのである。
まあ、乗り物使わずに一人で散歩すりゃいいじゃないかってことも言われそうだけど、そこはやっぱり獣との遭遇を避けたい心情があるわけで… ご容赦していただきたい。
以上、廃駅の旅10回目、古君駅へ行った話だ。
やはり区切りとしてはこの記事、年末に上げるべきだったと思うけど、今後ものんびりマイペースに記したい。
こんなローカルでマイナーなものを読んでくれた方々、今年2021年もよろしくお願いいたします。