廃線になった旧路線の廃駅を訪れる個人的な企画、その第6回目だ。
今回は旧能登線の、かつて秘境駅とも呼ばれた旧「鹿波駅」があった場所へと行ってきた。
たどり着くまでに…
個人的に廃駅をめぐるこの企画も6回目だ。
旧能登線だけでも20以上あるので、我ながらのんびりしたペースだと思う。
今回は前回の比良駅の次の駅である「鹿波駅」を目的地にした。
ここも穴水町にある。
ちなみに鹿波はこう書いて「かなみ」と呼ぶ。
先に言っておくと、たどり着くまでに結構苦労した。
それまでの旧能登線の廃駅では比較的町中や集落の中にあったけど、今回の駅は「海の近くの山の中」にある。
現役時代にも秘境駅の一つに数えられていたところでもあるのだ。
前回、比良駅の回でも記したが、廃駅の近くにはだいたい今現在バス停があったりするものなのだけど、今回の鹿波駅はそんなものもない。
一応「鹿波」という名のバス停(北鉄奥能登バス)は現在あるのだが、廃駅があるところからは随分と離れたところに設置されている。
こちらが鹿波のバス停
なんにせよ、ひとまずこちらに向かった。
写真左手は海だ。
ここからさらに海沿いに能登町方面へ向かって走っていくと、同名の寄り道パーキングなんかもある。
寄り道パーキング「かなみ」
海がきれいなところだ。なんてまったりはしていられない。
この寄り道パーキングまで来てしまうと、目的の廃駅からはさらに離れることになる。
パーキングにあった鹿波周辺のマップ
目的の廃駅があるところは、イメージとして「穴水まいもん体験農園」がある辺り(または方向)だと思ってくれて良い。
ひとまず引き返さなければならない。
かなり引き返す
バス停よりもさらに引き返す。
地図であった穴水アリーナからバス停に向かう途中、こんな石碑があるところに出る。
写真で言うと石碑のところで右折していくと先程のバス停がある。そんな位置関係だ。
石碑は「忠魂碑」
結構でかいので車で走っていてもすぐ目につくと思う。
この石碑のあるところで右折してくとバス停で、目的の廃駅は逆に左折していくことになる。
具体的にはここで左折
わかりやすく自分の車を置いてみた。(通行者にはちょっと迷惑だったけど…申し訳ない)
この行き止まりになっているところで左折していくことになる。
この道を入っていく
奥に民家も見えるが、民家があるのはそのあたりだけで、この道を進めば進むほど民家らしきものはなくなっていく。
ひたすらこんな道を走っていくのだ
山ですな。
正直、誰もいなくて心細くなるし、獣も出そうな雰囲気もあったので歩いていきたいとは思えない。
距離もあるし、もちろん車で向かった。
着いてみたら…
しばらく走っていると、そのうち左手に田んぼも見えてくる。
でもあいかわらず民家がないので獣に対する警戒感のようなものはとけない。
車もほとんど通らないところなのだけど、途中、観光地の案内板が見えたりもするのでそのときはちょっとホッとする。
看板発見
廃駅とは関係ないけどこんな案内が立っている。
「穴水まいもん体験農園 ふるさと体験村四季の丘 2km」とある。
先程の地図にも載っていた場所だ。なんとなくどの辺りにいるかがわかるかと思われる。
いい目印になるだろう。
というのも、この案内が見えた先、右折せずにもうちょっと前進した先のオレンジの車が止まっているところが今回の目的地である旧鹿波駅があった辺り(正確にはもうちょっと奥)だったりするのだ。
ちなみにここの曲がり角を右折しようとすると、旧能登線で使われていた跨道橋跡も見られる。
跨道橋跡
結構高い。
こんな高いところを列車が走っていたのかと思うとちょっと慄いてしまう。
でも、壁のようにも見えるのでクライミングしたくもなる。自分にはそんな能力はないが…
さて、ここを進んでいくと体験農園に続くわけだが、曲がらずに車の止まっているところに向かうとこんなものが立っている。
小さな待合所のようなものがあった
でもこれ、天井も低いし広さもないし、待合所としては小さすぎる。
これ、後から調べてわかったのだけど電話ボックスみたいなものだったらしい。
中を覗くとハローページ
ハローページ等、古い電話帳が置かれたままになっていた。
おそらくその隣には公衆電話も設置されていたのだと思う。
いまはその電話だけ撤去されて電話帳だけが余韻のように残されているといった具合だ。
この小屋みたいなものも駅の名残の一つだったみたいだが、肝心の駅のホームや待合所等々は、さてどこにあるのか?
周りを見渡してもそれらしきものを目にすることができない。
事前に調べたところ、この電話ボックスみたいな小屋があったもうちょっと奥の方にホームや待合所があったようなのだ。
小屋の奥の、山に入っていくような小道を進む必要があるようなのだ。
ガードレールが沿っているこんな道
坂になっているこの道、草が茂りすぎてて獣道のように見える。
実際に足を踏み入れてみても、茂みが強くてそのうちマムシでも出てくるんじゃないかと、そんな怖さがあった。
ただのスニーカーしか持ってきていなかった自分としてはなかなか入りづらい。長靴がほしいと思った。
しかも近くの木々の方からボトッと枝なのか爬虫類なのか細長いものが落ちてきたりもしていたからさすがに進む気が失せた。
おまけに旧待合所があるところはこの坂みたいなところをもう少し進んだ先にある。
もうちょっと行った先にも登り口がある
草が茂りすぎていて分かりづらいが、車道を更に進んだ先にも坂になった小道がある。
先程の小道と繋がっているようで、これらを登ってさらに「く」の字に写真手前側に曲がってもう少し山の奥の方に入っていくと待合所があったところにたどり着けるようなのだ。
自分がここに足を運んだこのとき、まだ9月の頭の方で季節は夏だったのだけど、もうちょっと草木が枯れた秋終わり以降に来たくなったものである。
秋の終わりに
ということで11月にまた来た
そう、再びやってきてしまった。
夏と比べると草も枯れて道らしきものも見えやすい。
ただそれでも、さらに奥の方はジャングルのようになっていることにあまり変わりがなく、こんな秋の終わりでも入っていく気はしなかった。
見上げるとこんな感じ
草木だらけで何がなんだか、といった具合だ。
おまけに今年は熊の出没件数が多く、この石川県内でも襲われて被害にあっている人も例年より多い。
秋は秋で冬眠前だけに、むしろそのクマの心配のほうが自分の中で大きかった。
いや、マジで怖いと思った次第…
そんな心配もあって2回めにやってきたこの秋でも登っていくことは中止。
遠くから待合所らしき建物を撮影することにした。
待合所らしきものが車道からも見える
車道をほんのもうちょっとだけ進んで山の方を見上げてみると弦や草に覆われた建物らしきものが見える。
おそらくここが旧鹿波駅の待合所だ。
ジャングル状態だから車を走らせていて気づくようなものではない。
夏に一回目に来たときは正直言って自分は気づいていなかった。
ズーム
窓ガラスらしきものが確認できるが、わかるかよってつくづく思う。
夏にどこが旧駅かわからなくなって、ひとまず諦めて、家に帰ってからネットで調べてようやく大体の場所を把握したからこそ見つけられたのである。
そうして目にしたこのひどい弦の侵食ぶりに、この旅の限界を悟ったのであった。
クマも怖いし行けるかよって話だ。
感想
まあ、それでも、建物を目にできただけでも満足というものである。
秘境駅と呼ばれた旧鹿波駅は廃駅になってさらに秘境度合いが増していた。
この結論を導き出せただけでも良かったと思うのだ。
ちょっと角度を変えるともうただの山
ただの山、ただの茂みにしか見えない。
だんだんこれが天然の要塞で、先程のあの窓みたいなところから弓矢で狙撃されるんじゃないかと思えたくらいだ。
あの待合所に近づくのは、ああ命がけになるだろう。
でもいつかリベンジしたいものである。