初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

白山市の唐辛子を練り込んだチョコ「ちょこっとなんば」は火を吹きそうな辛さだった

白山市には「剣崎なんば」という伝統野菜がある。

いわゆる唐辛子なのだが、これをチョコレートにした商品が市内の道の駅などで売られている。

怖いもの見たさで味見してみた。

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剣崎なんばを練り込んだチョコレート

バレンタインまで一ヶ月を切った。

チョコレートを食べると虫歯になってしまう自分にはあまり関係ないけど、せっかくなので石川県のお店の、または石川県の食材を使ったチョコレートでも紹介できたらなと考えていたら、先日白山麓の道の駅で変わったチョコレートが売られているのを見つけた。

その名もちょこっとなんば

黒を基調としたパッケージで長細い唐辛子が下の方で人間みたいに横たわっている、一見してチョコレートの箱には思えない商品であった。

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こちらがその「ちょこっとなんば」

唐辛子チョコレートだ。こちらで540円。

石川県白山市の伝統野菜である「剣崎なんば」(けんざきなんば)を練り込んであるという。

剣崎なんばとは、現在の白山市剣崎町で明治以前よりほとんどの農家で栽培されていたという唐辛子のことだ。

真っ赤で、長いものだと15cmくらいになる細長い唐辛子だ。

戦後に需要が減って供給も減ったものの平成になって再び生産、保存されるようになり、いまでは「まぼろしの唐辛子」と呼ばれるようにもなっている。

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「まぼろし~!」

そんなことを言っている、どこかナメている感じのこのキャラクターは「剣崎なんば君」だそうだ。

「長身でツヤツヤの男前。激辛だけど甘いところもあるんです」と、これまたどこかナメた自己分析をしてくれているユル~いキャラだ。

アンパンマン』に出演していても違和感がないんじゃないだろうか。

なかなか勇気りんりんな奴だ。

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箱の開け口

シールで封をされている。

アルファベットの「A」の形をしたこのマークは販売会社のロゴだ。

加賀市にある「Ante」(アンテ)という株式会社だった。

アンテは揚げ浜塩と地サイダーを作っている会社だ。地元の農産物や伝統技術を利用した商品開発を通して地域活性にも貢献しているという。

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蓋オープン

蓋の開け方が高級チョコっぽいのに、チョコ一つ一つの袋も「剣崎なんば君」の横たわる姿だった。

この「ちょこっとなんば」、実は2013年のモンドセレクションで銀賞(Silver Award)を受賞している国際的にも認められた食品だ。もっと格式高い感じにパケ等のデザインをまとめることもできたのに、このゆる~い感じなので庶民としては親近感が湧く。

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蓋の裏側

裏側には「ちょこっとなんばの歌」なんてものも描かれていた。

レコード風だ。アンプも昭和レトロだ。

そしてなんば君のギター姿だ。

こんなにゆるくてもモンドセレクション銀賞なんだから、なんだか勇気をもらえる。

 

怖いもの見たさで味見

当ブログでも何度か公言しているように、自分自身は辛いものが苦手だ。

わさびの辛さはまだいけるけど、スパイスの辛さが特に舌に合わない。

カレーだって基本的に甘口しか食べない(食べれない)。

そんなお子様のような舌を持つ自分だけに、トウガラシチョコなんてものは食べる前から合わないことはわかっている。

わかっていても、怖いもの見たさのようなものが頭の中で働いて、なんでも体験したがる好奇心から味見しようとしてしまう。

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ということで一つ手にする

剣崎なんば君、これから食べられるっていうのにタイの涅槃仏のように横たわってフレンドリーに余裕の表情を浮かべている。

辛いだろうなとわかっているから、今から食べようとしている自分のほうが、正直余裕がなかった。

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小袋からとりだす

チョコレートはほぼ正方形のブロックだ。

見た限りでは普通のチョコレートで、トウガラシのような赤々としたものも一切ない。

この見た目だと意外と平気なんじゃないかと、そう思えてくる。

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いざ、味見

勇気100倍にしてかじってみた。

はて、食べてみても普通のチョコレートの甘味とカカオの味がする。

トウガラシとあるけど、普通に食べれるじゃないか…それが最初の感想であった。

口に入れて10秒くらいの感想だろうか。

ところがすぐにそいつはやって来た。

唐辛子の、あの焼き付くような辛さが後からやって来て、すぐに甘みを追い越して、自分の脳髄を突き抜けていった。

辛ぇ…」

トウガラシをそのまま食べたときのような辛さが口の中いっぱいに広がったのだった。

冬だっていうのに火を吹けるんじゃないかと思えるくらい口の中が熱くなった。

辛いと感じてからは、最初の甘みなんてひとかけらもない。

10秒後に口の中で別の食べ物に化けたかのようだった。

自分にはもう罰ゲームのように思えた。

 

それでももう一つ食べてしまう魔力

味見してみて、口の中が焼けるんじゃないかと思えるくらい辛く、辛いものが苦手な自分には無理!と思えた「ちょこっとなんば」であるが、翌日にはもう一度味見をしてみたくなったのだから我ながら不思議な欲求だ。

あの辛さは気のせいだったのではないか、そんなことまで考えてしまって、そうして再び口にしてみると、やっぱり火を吹けるんじゃないかと思えるくらい口の中が熱くなっていたのだから、あの辛さは幻ではない。

ちなみに二つ目を手にした段階でこんなことを剣崎なんば君に言われている。

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箱の衝立状の所に隠しメッセージ

「辛!!とか言ってもう一個食べるんでしょ?」とある。

まったくそのとおりだった。

人間の欲求を心得ているイメージキャラクターだ。おそろしいくらいのマーケティングセンスだと思われる。

でも、なんで食べたくなるのか、やっぱり謎だ。

こういうメッセージ、他にもないのだろうかと思って袋を一つ一つ取り上げていくといくつかあった。

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「見つかっちゃった」

おまけにハートマークだ。

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さらには「それ、何個目?」と心配しているようなコメントも

作り手側もわかっているのだろう、辛すぎて何個も食べるようなものではないことを。

バクバクといくつも食べれる人は奇特人間であることを。

そしてそんな心配をしてあげると、ますます食べてしまうことを。

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最後には「また会おうネ」

甘さで釣って、辛さで大ダメージをあたえて、無理だとの拒否反応を引き出しながらも印象を残し、意識させながら心配するような素振りも見せて、最後にはまた会おうねとほっこりさせる。

まるで恋愛テクニックみたいに思えてきたのは自分だけだろうか。

意外と、本当にバレンタインデー向けのチョコなんじゃなかろうか…