初心の趣

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白山麓の蕎麦屋でイノシシ肉を使った「ふもと鍋」を食べる

以前、羽咋市でイノシシ肉を特産品として紹介したが、白山麓でもイノシシ肉を食べようとの動きが活発だ。

山麓猪の「ふもと鍋」というプロジェクトが白山市にあるようなので、加盟するその内の一件に足を運んできた。

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「白山ふもと会」による自然肉イノシシのふもと鍋

先日、白山市の道の駅「瀬女」に立ち寄った時、そこのトイレでこんなチラシが張ってあった。

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「ふもと鍋」ポスター

用をたすところのちょうど目の前に貼ってあったので、用を足しながら眺め、さらにじっくり読みたくなったので道の駅の物販所にて同じものをもらってきた。

山麓の地域振興や自然保護に取り組む「白山ふもと会」という一般社団法人による、「自然肉イノシシのふもと鍋」というプロジェクトだ。

白山にもイノシシがたくさんいるようだ。

市内10店舗にてイノシシ鍋を提供してくれるらしい。裏面にはどこでどんなイノシシ鍋を提供してくれるのかも写真付きで書かれてあった。

見てみるとその10店舗には宿やホテル、料理屋が並ぶ。

鍋なので一つ1000円以上するものばかりで、中には1万円近くするものもある。また、10店舗中4店舗は予約制だったりする。

 

さっそく一軒に足を運ぶ

チラシを目にしたのが昼頃であった。

こうなると昼飯はその鍋を食べたくなった。

高すぎず、予約制でもないところ、という基準でチラシの裏面を見てみると「一揆そば 長助」というお店に目が止まった。

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そして早速行ってみた

白山市釜清水町にある。

暖簾を見てわかるようにお蕎麦屋さんだ。

田舎そばを食べさせてくれるお店だった。

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店の前にでかい釜がある

釜清水町だからだろうか。五右衛門の釜茹でに出てきそうなサイズだ。

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さらには水車もある

清水をイメージさせる。

釜と併せてやっぱり釜清水町にあるからだろうかと思ってしまう。

何にせよ田舎っぽい雰囲気のお店だった。

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店内の様子

天井が高かった。

小上がりの座敷の他に、縦長の木製テーブルを使ったカウンター席のようなものもあった。

額縁のひらがなで「そば」がストレートでわかりやすくて良い。

自分が到着したのが3時前で、混雑のピークは過ぎていたので、こうして贅沢に小上がりの座敷を広々と使わせてもらった。

 

「一向なべ御膳」をいただく

蕎麦屋なのでソバを食べたくもなったが、目的はイノシシ鍋なので、注文もチラシに書かれてあった当店のふもと鍋である「山麓猪の一向なべ御膳」にした。

お店の名前やその鍋からも一向一揆を連想させられる。

歴史を知っている人にはわかると思うが、この加賀地方にもかつて一向一揆があった。

一向一揆とは戦国時代に浄土真宗本願寺教団(いわゆる「一向宗」)の信徒たちが権力に抵抗した一揆のことだ。

白山の鳥越には鳥越城という、門徒集団「山内衆」の抵抗の拠点もあって、最後は織田軍の佐久間盛政によって鎮圧されている。

この地(鳥越)では「一向一揆まつり」というのも8月に行われていて、一向一揆と馴染みの深いところなのだ。

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こちらが白山麓猪の一向なべ御膳

鍋だけではなく、ご飯とお漬物と季節の小鉢もついていた。

こちらで1600円だ。

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鍋の様子

イノシシ鍋であるが鉄鍋の中には春菊、人参、えのき、ネギ、さらには白菜と野菜も豊富だ。中央に乗っかっているのは柚子味噌だ。自家製らしい。

自分は普段からまず先に野菜から食べる人間であるので、この鍋でも上の方にいる野菜から手を付けた。

水炊きのようなものだけど柚子味噌のお陰で野菜もしっかり味わえる。ちなみに野菜はどれも熱々だった。

野菜の他には白山麓の郷土食となっている「堅豆腐」も入っていた。

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こちらが堅豆腐

堅いと言っても木綿豆腐のような硬さとはまた違う。

一般的な絹ごしと木綿豆腐の中間ぐらいだろうか。

これも柚子味噌につけて食べるとまた美味しい。

そして、もう写真でも見えていると思われるが、この「なべ御膳」、底の方にソバがいる。

蕎麦屋だけにソバも食べたいなと思っていた所なので得した気分だった。

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ソバだ

自分としては久しぶりにカケでソバを食べる。

こちらのお店のソバは田舎そばだ。

極太だ。

食感が面白くて、つるつるしているとはいい難く、ではグニョグニョしているかと言えばそうでもなく、すすって噛んでみると舌に絡みつくようで、そうして旨味も口の中にねっとりと広がるような、そんな印象だった。

こちらも柚子味噌と一緒に食べると、薬味代わりになってまた一段と旨味が増していた。

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そしてイノシシ肉

イノシシ肉をソバ鍋で食べたのは初めてだ。

チラシにも書かれてあるように猪肉は高タンパクで低脂肪、低カロリーの食材だ。

こちらも食べてみるとものすごく味があっさりとしていた。

ダシも薄味でほぼ水炊きのような状態なので、特にそう感じさせられる。

ここで活躍するのが再び自家製の柚子味噌だ。併せて食べると、ミソの成分のせいか急に肉を食べている感覚がある。

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ご飯と一緒に猪肉

肉はどうしてもこう食べたくなる。

白米で受け止め甲斐があるほどもっと独特の獣臭があるかなと思ったけれど、ここの猪はそれほど癖は強くなかった。

どこまでもあっさりと、食べやすい肉であった。

使用しているのはイノシシのバラだそうだ。

バラでこのあっさりさは豚ではなかなか考えられない。

 

感想

初の「ふもと鍋」、なかなか美味しかった。

イノシシ肉、野菜、堅豆腐、そして濃すぎないダシ。どれもあっさりとしていて、ものすごく食べる者の健康に気を使った御膳のように思えた。

ものすごくヘルシーなのだ。

獣臭さがあまりしない点も食べる側のことを考えているかのようだった。

本末転倒になるが、これで肉がなければ精進料理みたいだなと思えたイノシシ鍋であった。

肉食をしない坊さんたち(一向宗)が、それでも戦うためにイノシシ肉を食べるとしたらこんな感じなのかもしれない。

なるほど「一向なべ御膳」とはよく言ったものだ、なんて勝手な解釈をしたくなった鍋であった。

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よく見ると箸袋に「白山百膳」の文字

白山百膳とは白山麓(石川、富山、福井、岐阜にまたがる)の山のもんを使ったヘルシーな健康ご飯を提供するプロジェクトだ。この「白山麓猪の一向なべ御膳」もその一つに数えられていた。

健康でヘルシーな御膳だなと思ったのは間違いではないようだ。

山のめぐみに感謝を込めて、ごちそうさまでした。