加賀市にはおもてなし喫茶メニューとして「加賀パフェ」というものが存在する。
市内六店舗にて食べれるそうで、その一つを山代温泉で見つけた。
パフェって女子向けの食べ物ってイメージがあるけれど、男子の自分も気になったので食べに行ってきた。
山代温泉の「はづちを楽堂」へ
以前、足湯の旅の山代温泉編にて総湯や古総湯のあるローターリーの写真を掲載したと思う。
そのロータリー周りには「はづちを楽堂」と呼ばれる文化や芸能を楽しみ交流する場所もあった。
ちょうどゆるキャラ「やましろすぱクロくん」の顔ハメパネルがあったところだ。
はづちを楽堂だ
「はづちを」という名前は、当ブログでも紹介した山代温泉のあのアゴがない狛犬がいる服部神社に祀られている機織りの神「天羽槌雄神(アメノハヅチヲノミコト)」からとったそうだ。
様々なイベントや教室が行われる「寿座」、加賀の伝統工芸品などを買える「丹塗り屋」、そして喫茶店「はづちを茶店」が並んでいる。
池には鯉も泳いでいた
山代温泉そのものもそうだが、日本情緒のある処だった。
その「はづちを喫茶」で目的のパフェが食べられる。
こちらが喫茶店の外観
古民家を活かしたところだった。
パフェを食べに行ったその日は雨が降っていたので、店の前の道には滑り止めのために筵(むしろ)が敷いてあった。細かいところまで古民家情緒を大切にしている処だ。
軒先のブラックボードに書かれたメニュー
これによればソフトクリームやぜんざい、団子といった甘味の他に野菜カレーも提供しているようだ。
そして店の前にはさらにこんなポスターも貼ってあった。
お目当ての加賀パフェだ
これを食べに山代温泉までやって来た。
ご覧のように6種類あるが、それぞれ出す店が違う。
ここ「はづちを茶店」は六番目のものだ。
はづちを茶店に入って食べる
囲炉裏がある店内
店に入るとすぐ囲炉裏がある。
囲炉裏の周りには木の長椅子もあり、ここを席にすることも出来るようだ。
他の席もテーブルや椅子は木がベースとなっている。古民家の香りを残しながらリラックスできる雰囲気の良い空間だった。
注文は厨房前のカウンターにて行う。先払い制だ。
パフェという女子が好きそうなものを男(しかも大人)の自分は恥じらいもなく頼んだ。
ちなみに自分以外のお客さんはみんな女性の方だった。
そんなもので注文する際はなかなか度胸がいった。自分としては最終的に開き直っていたが。
注文したとき、パフェは少し時間がかかると言われたものの10分~15分ほどで出てきた。
こちらがこのお店の加賀パフェ
「加賀棒茶とれんのあずきのパフェ」という名だ。
加賀パフェは加賀市の6つお店でそれぞれオリジナルのものが提供されている。
オリジナルと言っても加賀パフェとはなんたるかの定義もあるので、それに則っていなければらない。
その定義ことルールは計16項目あり、パフェは5層になっていなければならないとか、1層目は「色鮮やかなゼリー」であるとか、「ブロッコリーアイス・味平かぼちゃアイス・温泉卵など」を使用しなければならないとか、けっこう細かい。
このパフェを持ってきてくれたとき、店員の方(店長さんかもしれない)が丁寧にパフェについて説明してくれたのだが、曰く「温泉卵を乗せないといけないだとか無理難題を言われていまして」だそうだ。涙ぐましい努力の末に考案されたパフェなのだろう、面白い話だった。
一番上の層の様子
このお店のものも例外なく加賀パフェルールに従って5層になっている。
一番下の層が1層目と呼ばれるので、この一番上の層は5層目になる。
先の「ブロッコリーアイス・味平かぼちゃアイス・温泉卵など」を使用というのはこの5層目のルールだ。
黄色のかぼちゃアイスの上に乗っているのは「れん永昌堂のあずき」だ。同パフェのタイトルにある「れんのあずき」とはこのことだ。
それら二種類のアイスに…
温泉卵も乗っている
無理難題と言っていたそれだ。でもちゃんと乗っている。
5層目にはトッピングとして「加賀麩のラスク」や「季節の加賀九谷野菜のチップ」も乗っているので、それらを使って食べると良いようだ。
なお、トッピングとして加賀九谷野菜などを使用することもルールの一つだ。
4層目~2層目にかけての様子
4層目(上から2層目)は「ポン菓子」だ。ここをポン菓子にしなければならないというのもルールだ。
続く3層目は「小松菜のシフォンケーキと平松牧場ソフトクリーム」であった。この3層目には「野菜のスポンジケーキ」を入れなければならないというルールがあるのだ。
そしてその下の白い薄い層になっているのが2層目だ。「加賀のはちみつ入り生クリーム」で構成されている。この2層目を「はちみつ生クリーム」とするのもルールで決められている。
食べ進んだときの断面図
3層目のケーキの芯部にちゃんとソフトクリームがいるのがわかる。
2層目の生クリームと混同されやすいが、ちゃんと3層目にソフトクリームがいるのだ。
そして最後にたどり着く1層目の様子
最後は「加賀棒茶のゼリー」だ。
1層目が「色鮮やかなゼリー」と決まっているので、こちらのお店では加賀棒茶のゼリーを使用している。
またルールには「名物菓子『吸坂飴』を使った各店こだわりのオリジナルソースをつける」というものもあり、このお店ではその吸坂飴(すいさかあめ)のソースをこのゼリーにかけて食べることになる。
こちらがその吸坂飴のソース
ソースの器は九谷焼、ついでにパフェグラスの受け皿も九谷焼だ。
それらに九谷焼を使用するというのも加賀パフェのルールになっている。
柄やデザイン(レイアウト)も協会によって統一されているようだ。
ソース投入
飴のソースで甘みを足しているが、ゼリーはしっかりと棒茶の味がした。
面白い味だ。
棒茶と言えばこんなものもセットでついてくる
急須に入れた献上加賀棒茶だ。
ゼリーでも棒茶を味わいながらドリンクとして加賀棒茶も飲むことになる。
自分はパフェを食べ終わった後にこの棒茶を飲んだ。
甘ったるくなった口の中を整えるのにいい。気がつけば急須のお茶、全部飲んでしまっていた。
もうわかることかもしれないが献上加賀棒茶を添えるというのもルールの一つだ。
さらに言うと急須の下に敷かれたコースターは「加賀手織」で、さらにその下のお盆は山中漆器だ。これらもルールで定められている。
ついでにこのスプーン袋も
協会指定のもので、これを使用するというルールになっている。
加賀パフェ、いろいろとすごい。
感想
加賀パフェにはいろいろと決まりがあって、こうして文章にしてみると「ルール」ばかりで面倒くさい食べ物のように見えてしまうが、実際お店で食べている時はそういったことを気にすることなく加賀パフェなるものを楽しめた。
地産地消にこだわるパフェでもあり、そのことがわかると納得もできるルールだろう。
上の層からどのように食べ崩していくかも面白く、温泉卵などをキレイに食べれて4層目(上から2層目)にたどり着くとちょっとした達成感もあった。
そう感じれるくらい、このお店のパフェは一番上の層のトッピング等がユニークであったとも言える(豪勢とも言える)。
温泉卵にしても、お店の人は「無理難題」とおっしゃるけれど、食べる側からするとラスクで掬ったりユニークな体験ができたので良かった。
味も、もちろん美味い。
自分は男であるが、今後も他のお店をまわり加賀パフェを一つ一つ制覇していきたいとそう思えた一杯であった。
最後になるが、今回のパフェはお茶などもセットで一つ880円だった。
「料金は980円以下」なんてルールが有ることも、これまた最後に添えておく。
これも美味しそう
この「はづちを茶店」には「温玉ぷりん」(300円)なるものもメニューにあった。
これも美味しそうだったので再びここに訪れた際は、たとえ他のお客が女性ばかりで男が自分だけであっても、こちらも食べてみたい。