珠洲市にて9月3日より始まり50日間開催される「奥能登国際芸術祭」に再び行ってきた。
前回は初日の9月3日、今回は翌週の9月9日だった。
初日にまわったスポットを「第一日目」と称してのんびりと数回に渡って紹介したが、今回は「第二日目」として、これまたのんびりと綴っていきたいと思う。
実際、現地をまわっている時も寄り道多めでのんびりとしていた。
結果を先に言ってしまうと、おかげで計2日間掛けてもすべてを回ることはできなかった。
この記事は「第二日目その1」とし、第一日目の最後で行けなかった正院エリアの残りと、いきなり寄り道していた様子と、ラポルトすずで回したガチャについて訂正しなければならないことがあるのでその点を記したい。
なお、前回第一日目にまわれた箇所は以下のスタンプのとおりである。
セーブポイントといきなり寄り道
セーブポイントだ(正院バス停)
第一日目の最後に撮影したスポットた。次はそこからスタートすればいいということで、勝手にセーブポイントと呼んでいる。
場所は正院エリアにあった、広域展示している作品番号37番のアレクサンドル・コンスタンチーノフ作「珠洲海道五十三次」の一つだ。
前回は夕方であったが、見てのとおり今回は朝だ。しかも気持ちいいくらい晴れていた。
朝である証拠だ(AM、PMで別れていないのであまり証拠にはならないが)
でも、もうすでに10時半だ。
公開時間が朝の9時30分からで、自分としてもそれに合わせて珠洲に向かったのであるが、このセーブポイントにたどり着いたのが1時間遅れのこんな時間になってしまった。
というのも、ここに来るまでに色々と寄り道をしてしまったからだ。
どうせのんびり紹介する記事なので、せっかくだからその寄り道の様子も先に記したいと思う。
朝早くから能登町にある「ケロンの小さな村へ」
金沢から珠洲市に向かうルートは何本かある。この日は途中、県道57号線を使って最終的に県道26号線から珠洲市に入るルートを選んだ。
その県道57号線に、以前3月終わりや5月にも遊びに行った「ケロンの小さな村」があるので、腹ごしらえのパンを求めて寄ってみたのだ。
がに股のカエルのまわりには稲が実っていた
こやつのがに股がかわいらしい。
稲架(はさ)もあった
これを見ると収穫の時期だと思える。
自分としてはここでこの稲架を撮りたかったのでかなり満足だ。
バジルも大きくなっていた
こんなに大きくなるんだね…知らなかった。
このケロンの小さな村に到着したのは9時ちょっと過ぎくらいだった。
毎週土日のみの営業で朝10時からなので、少し早かった。
代表の上乗(じょうのり)さんがいた
このケロンの小さな村は自然体験学習が出来て米粉を使ったパンやピザも売られているところで、上乗さんはちょうど焼きあがったパンを袋詰していた。作業場には奥さんもいた。
開店前で早めに来てしまったのだが、自分のことはブログにケロンのことを書いていた人と覚えてくれていて、珠洲市の奥能登国際芸術祭に向かう道中であることと、パンを食べながらいきたいとの旨を話すと、開店前だと言うのにパンを売ってくれたのだった。
こちらがそのパン
ブルーベリーのものとケロンの形をしたパン(チーズ入り)だ。
5月にピザを食べに足を運んだとき、最後に家族のお土産にここの米粉パンをいくつも買っていったのだが、自分の分を忘れていたので、前からずっと食べたかった。
米粉のパン、美味かった。米粉はやっぱりかすかにコメの味がする。小麦粉のパンに食べ慣れているとあの風味は新鮮だ。その風味がまたナチュラルで柔らかかった。
しかも上乗さん、ドリンクを一本サービスしてくれるし…いい人だ。
ちなみに上乗さんとも少しおしゃべりしていた。このように第二日目は珠洲市に到達する前からのんびりしていたのだった。
ラポルトすずでガチャを回す
珠洲市に入った頃には10時をまわっていたと思う。そのままセーブポイントに向かえばいいのに、第一日目その2でまた再び回しにきたいと言っていた作品番号26番の巨大ガチャを小銭のあるうちに回そうと「ラポルトすず」へと向かったのだった。
ラポルトすずに到着
館内にはこの奥能登国際芸術祭に合わせて開局した「FMすず」のブースもある。
土曜日の放送は正午~午後2時なので、自分が訪れたときには誰もいなかった。
誰もいないことを確認してガチャを回しに向かうと作品のある現場で黒板に書かれたこんな案内を見つけた。
「潮流 - ガチャポン交換器 -」のカプセルの作り方の説明だ
これを読んでいる時、受付にいた方が話しかけてくれて説明してくれた。
第一日目に訪れた際は、作者の力五山のメンバーの方々のトークがちょうど終わった頃でバタバタとしていて自分は説明されていなかったのであるが、このガチャのカプセルの中身って珠洲市の人たちから集めた「思い出の品」なのだとか。個人的な「思い出のかけら」となるアイテムを、何でもいいからカプセルに入れてあるのだ。しかもこのアートの作品タイトルに「交換器」とあるように、ガチャを回しに来た人、またこの巨大ガチャを鑑賞しに来た人、誰でもその思い出のかけらを詰めるカプセルづくりをすることができるのだ。誰の手に渡るかわからないが、思い出のかけらを交換していくという参加型のアート作品だったのだ。
ガチャを回す時は100円玉が必要だが、カプセルに詰める際は無料でできる。
受付の方が言うには最初に珠洲市の人たちから集めて3000個のカプセルを用意したものの、回す人のほうが多いようでどんどん減っていてカプセルが足りなくなりつつあるそうだ。そんなもので、自分にも作ってみませんかと言ってくれる。こんな面白いことに参加しない手はないのだけど、いきなり思い出の品と言われてもあいにく何にも持ってきていないので、このときはさすがに作れなかった。
代わりにガチャを「回した」
前回望んだとおり再び回した。ガチャの景品のほうが減りつつあると言われた後なのに、回した。
今回も前回同様に缶バッチだった
缶バッチのタイトルは「なんだ これ…」と書かれていた
前回、当てた缶バッチを力五山のメンバーの誰かがデザインしたものだと思っていたけど、あれもこれも誰かが思い出のかけらとして詰めたものだったわけですな。
なお、カプセルに入れる思い出のかけらは、別に珠洲市で見つけた思い出の品である必要はなく、本当に個人的なものでも良い。さらにはカプセルに入らない大きなものでもOKだ。カプセルに入らない品物は番号を振った棚に入れておき、カプセルにはその番号だけを入れておくという仕組みをとっている。
こちらがその棚
前回は受付の方(今回とは別の方)に「アタリは出たかい?」と話しかけられて、この棚にある品々はそのアタリだと思っていたが、そういうのではなくカプセルに入らなかった品だったようだ。まあ、どれも大きく100円玉では買えそうにないものばかりなので、その大きさだけでアタリのような気もしないでもない。
中には松茸(マツタケ)と思われるものもあった
これは…たしかにアタリですな。すごいな、これ。
前回の受付の人が「アタリは出たかい?」と声をかけてきたのもわかる。
とまあ、こんな感じでセーブポイントにたどり着くまでにのんびりしていたのであった。
正院エリアもう一つの37番
冒頭のセーブポイントから正院エリア残り1つのアートである作品番号15番を見に行くまでの道中、広域展示している作品番号37番、アレクサンドル・コンスタンチーノフの「珠洲海道五十三次」がもう一つある。セーブポイントにしたところは「正院バス停」で、そのもう一つの場所というのは「珠洲川尻バス停」だった。
珠洲川尻バス停にもアルミパイプの装飾
このように37番では建物が古くなっているバス停をアルミパイプで囲んでアートにしている。もしかしたらこれ、補強の役割もあるのかもしれない。
そしてこのアルミパイプにはそれぞれで植物のモチーフも施されているのだとか。
正院バス停ではそんなのあったっけ?と印象に残っていない(写真を見返してもどれがそれかわからなかった)のだが、こちらのものはすぐわかった。
木のモチーフ
バス停に長屋のように接している後ろの家屋にまたがってあった。
正面からでは見落としがちなところにある。
なお、この37番は併せて珠洲市内に4箇所あるようだ。スタンプも4箇所すべてにあるようなのだが、鑑賞パスポートにその4箇所それぞれを押す必要がないので、一つ押せればそれで良い。
近くで神社を見つける
写真も撮れたので、いよいよ次の15番に向かおうかとしたのだが、この珠洲川尻バス停のその側で神社を見つけてしまった。
稲荷神社だ
せっかくなので参拝していこうと立ち寄ることにした。
この一日で奥能登国際芸術祭の作品をより多くまわるということを目的とするならタイムロスになるだろうが、狛犬がいるんじゃないかと思うと自分としては気になってしまうのだ。
拝殿だ
そしていました、狛犬が。
稲荷神社だと狛狐の場合が多いけれど、こちらでは「狛犬」がいた。
しかもなかなか年季が入っている
おまけに口を開けた阿形が子持ち
一般的には口を閉じた吽形がメスと言われているので、子持ち狛犬の場合、吽形が子供を抱えている場合が多いのだが、こちらでは逆だった。
稲荷で狛犬というのも、阿形が子持ちというのも珍しい。
鼻息荒そうで愛嬌もあるこの顔
手がまたでかい
珠洲市飯田町の春日神社の狛犬も手がデカかった。このあたりの狛犬は手の大きいのが特徴なのだろうか。
阿形の口の中には玉も発見
子供は子供で玉を抱えている
これらのコンボもなかなかない。珍しいものづくしだ。
いまでは珍しいタイプであること、また表面のカビや劣化の具合から古い狛犬なのだろうなと思われるものの、作られたり奉納された正確な年月日はちょっとわからなかった。
台座には「皇紀二千六百年」の文字は彫られていたので、神武天皇即位紀元(皇紀)2600年を祝った昭和15年(1940年)くらいのものではないかと推測はできる。
狛犬たちのいる拝殿から観た景色
海が見える。
こうやって神社から海を望むというのも自分としてはあまり経験のないことだった。
狛犬写真家を自称しようかと目論む自分としてはいい出会いだった。
正院エリア残り1つの作品
15番 ウー・ジーツォン&チェン・シューチャン「Passing」
この正院エリア最後の作品である15番は、隣の蛸島エリアにある14番、13番の作品のすぐ近くにある。
そのため、これら3つのスポットは同じ駐車場から歩いて見に行けた。
14番、13番も本記事にてあげたいところだが、それらは「その2」で予定している「蛸島エリア」でまとめて紹介したいと思う。
ちなみにその駐車場の隣がカフェ兼お土産屋になっていて、大きなてるてる坊主がいたので思わず撮ってしまった。
使われなくなったガソリンスタンドを改装して出来たカフェだった
店のガラスには「珠洲を描こにする会」(だったかな)の文字も見えた。
おとん系(もしくは、おかん系)の笑顔をしたてるてる坊主がいた
おかげかどうかしらないけど、この日は晴れたぞっ!
15番だ
作者は二人いて、ウー・ジーツォン、チェン・シューチャンともに台湾のアーティストのようだ。
位置としては、てるてる坊主のいる旧ガススタのカフェの後ろのほうにあった。
旧漁業倉庫がその展示場
ここはもともと漁業用の網を補修するために使われていた倉庫らしい。
シャッターも閉じて窓も暗幕やカーテンで閉じているから中はかなり暗かった。案内にもあるようにフラッシュを使った撮影も禁止されていた。
暗いです
フラッシュ無しのカメラで捉えようとするとこんな感じで真っ暗になる。それでもよほどの鳥目じゃなければ暗すぎて歩いていけないというわけでもない。
光と影をつかったインスタレーションだった
天井の高い広い倉庫内にスクリーン(白い幕)が垂れていて、その後ろに倉庫に残されていた網や浮きなどを配置して影絵のように映し出してた。
その背後
このようにスクリーンの裏に回ることも出来、何が置かれているのか確認できる。
これはビンですな
スクリーンを真横から見た様子
きれいに境界線になっている。合成したかのように左右で明るさが違う。
さらに2階にも行ける
電球やら脚立やら車輪やら木の枝やら、いろんなものが置かれているのがわかる。
しかもこの影絵、特に網の影は上下に動いているように見えた。
同じ場所で観ていると…
明るさも変わって網の影も動いてくる
これ、よく見ていると設置された網が動いているわけではなかった。
動いていたのはこの照明
このライトが1階から2階へ、またその逆へと上下運動していて、その光の移動によって影も動いているように見えていたのだ。
改めてみると海底のような景色だ
「網は波のうねり」とも公式ガイドに書かれていたので、波と見ると魚のようなものはトビウオにも見えてくる。
そういえば珠洲では「あご煮干し」といってトビウオの煮干しがよく売られている。
当たり前だが、珠洲の海なわけだ。
感想とおまけ
以上、第一日目に行き残していた正院エリア最後の作品だ。
芸術祭の作品を一つ紹介するのにえらい時間がかかっているが、これが「のんびりまわる」だと思ってご容赦いただきたい。
第二日目はこの後もこんな調子であっちに行ったりこっちに行ったりで、途中から順番通りスイスイと回れていない。
予定としてはエリアごとに紹介していこうと思っていたのだが、それもあまりうまくできそうにないので、第二日目の途中からはエリアで区切らずアップしていくことになることを予め断っておきたい。当日の旅の時系列どおりに紹介することも出来ないだろう。
その一例として第二日目では作品番号を順にまわっていた途中で再びラポルトすずに戻っている。
ガチャのカプセルに入れる「思い出のかけら」となるアイテムを途中で入手できたから、この日のうちに入れに行きたかったのだ。
入れてきた
何を入れたかは秘密だ。
入れている時、楽しかった。この試み、かなり面白い。巨大ガチャの景品不足だというから皆さんもやってみてはいかがだろうか。
次回は蛸島エリアの作品を中心に紹介したいと思う。