初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

能登町の宇出津あばれ祭の大松明とキリコを迫力いっぱいに撮りたい

7月7日と8日、鳳珠郡能登町の宇出津(うしつ)で「あばれ祭」が行われていた。

能登では夏になると各地でキリコ祭り等の夏祭りが行われるのだが、その先陣を切るのが宇出津あばれ祭だ。

あばれ祭は火がすごいらしく、以前より一度でいいから見てみたいと思っていたので、7月7日の七夕の日の夜に足を運んだ。

キリコと大松明の迫力を自分なりに工夫して撮ってみたので、その写真を並べてみたい。

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いやさか広場へ

自分は宇出津新港に設けられた臨時駐車場に車を停めた。

そこからキリコが集結する能登町の役場前まで徒歩で向かうことになる。

この初日である7月7日は、昼には神輿の巡行が、夜にはキリコが役場前の「いやさか広場」に集結して大松明を乱舞する祭事が行わられる。

自分が見に行ったのは、その夜の大松明だ。

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バリケードの内側で

いやさか広場と役場前の道路を隔てるようにバリケードが並べられていた。

キリコがすごい勢いでやってきて、大松明の廻りを乱舞するので一般見物客がキリコに巻き込まれたり、火傷しないように境界線を引いているのだ。

警官も何人も出動していて、キリコや大松明に見物客が近寄らないようコントロールしていた。

自分は律儀にバリケードの内側にてずっと撮影をしていたが、まあそこはさすが祭りと言うか、バリケードを超えて撮影している人が何人もいた。

それにしても最近の工事用バリケード、こういう動物系やキャラもの系デザインのものをよく見かける。

 

巡行前に花火大会

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まずは花火大会がスタート

キリコ巡行の祭事そのものは夜の9時から始まる。

その30分前から花火が何発も打ち上げられていたのでそれも撮ってみた。

もっと海側に寄って海面に映る花火も撮れればいいんだろうけど、この花火に関してはポジショニングを確実に間違えていた。

この役場前のバリケードの内側には、バズーカみたいなレンズを付けたカメラを持った人が何人も占拠していたので、あばれ祭初心者の自分もなんとなくそれに倣ってこの近くにいたのだが、もしかして大松明もバリケードの内側にいたんじゃきれいに撮れないんじゃないかと、このとき少し不安になった。

 

キリコ巡行、始まる

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橋の近くで焚き火のような火

花火が終わると、いよいよキリコ巡行が始まる。

橋の近くでいつの間にか焚き火のような火がついていた。

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と思ったらキリコもやってきた

焚き火のようなものは大松明とは違う。

大松明は広場に五本あり、そちらはまだ火がついていなかったので何を始めるのだろうと思って見ていたら…

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火のまわりを回り始めた

掛け声よろしく重いキリコを担ぎ手たちが持ち上げて火のまわりを旋回するのだ。

火も熱いだろうしすぐそこは海だし、息が合わずコントロールをミスれば火傷や海への落下になりかねないかと、あばれ祭初心者の自分は見ていて少しヒヤヒヤとする。

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なんか、燻されているかのようだ…

引田天功さんのイリュージョンみたいだな、とも思った。

そう思ったあたりで、自分のヒヤヒヤもなくなっていった。

というか、どのキリコも海に落ちることなく引火することもなく旋回していたので、まだこれは余裕なのだろう。

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そのころ大松明にも着火

五本あるうちの一本に火がついた。

五本まとめて火を着けるのではなく一本ずつつけていた。

なんでも各町内のキリコは大小合わせて40基近くあるようで、それらが順番にこのいやさか広場にやってくるため、まとめて火をつけてしまうとすべてのキリコがやってくる前に大松明が燃え尽きてしまうようなのだ。

そしてやはりというか、遠くからだと自分のカメラとレンズではその迫力を上手く捉えきれない。

自分のレンズでは近づかなくてはいけないのだ。

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キリコは近づいてきてくれた

端の方とはいえ、バリケードのギリギリのところに陣取ることができた自分の、ほんと目の前までキリコが接近してきた。

遠くから見ている限りではわからなかったが、近くで見るとその担ぎ手たちの迫力、そして大変さが息遣いで伝わってくる。

自分もむかし学生の頃に横浜で御輿を担いだことがあるが、肩の肉に食い込む重量と、体ごと持って行かれて容易にはコントロールできないあの難しさを思い出してしまった。

こんなギリギリ近くまでやってくるのだ、そりゃ警官の人たちも見物客を制止しようとするのがわかる。巻き込まれたら確実に怪我をする。事故だ。

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でも皆さん、どんどんバリケードの外側に行っちゃうんですけどね

改めていう、これが祭りというものなのだろう。

見てわかるように、キリコは大松明のまわりも旋回していく。

大松明は激しく燃えるし、火の粉も上がる。

担ぎ手の皆さん、絶対、火の粉をかぶっているんだけど、まるでそれを被りに行っているかのごとく旋回=乱舞していた。

 

ホワイトバランスを8000近くに調整して撮影

このキリコと大松明の迫力を自分のカメラでもより良く伝えられないだろうか?

そんな欲求が自分の中に働いて、あれこれ考えた。

考えた末にホワイトバランスをいじって8100Kにして撮影することにした。

こうすると赤みのある写真になるので火の熱そうな雰囲気だけでも伝わらないかと目論んだ訳だ。

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そんな頃、三本目の大松明にも着火

こんな感じで火をつけていた。

こうして見ると、大松明ってかなりでかい。

着火用の火もでかい。燃え移ったら大火傷間違いないだろう。

周りに集まってきている一般客、勇気あるな。

そして火がついたところで、色温度8100Kで撮影。

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なんか、それっぽいものが撮れてきた

どうだろうか。

赤みを増したことで写真全体から「燃えているな」と言う印象が増したように思えないだろうか。

少なくとも自分はそう思った。そして調子に乗って8100K固定で何度もシャッター切っていた。

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キリコの迫力も+

先ほどのキリコが接近した写真と比べても熱気が伝わる画になったのではないだろうか。

少なくとも先ほどのものは写真が青めで、こちらが赤めであることはわかってもらえるはずだ。

実際に見える大松明やキリコは、炎のお陰で赤く見える。その分、ホワイトバランスをオートにしておくと逆にカメラは青く撮ろうとしてしまうので、色温度の設定は8000Kくらいに高く設定して固定したほうが現実の色温度と近いものが撮れるわけだ。

 

露出補正もプラスにしてしまう

さらに、ここから自分は露出補正にも普段はやらない調整を始めた。

普段、露出計をプラスマイナス0くらいのちょうど良いところに合わせて撮っているが、この時はシャッタースピードも下げて、感度も上げて、露出計が+2ぐらいになるようにあえて設定し始めた。

+2くらいにすると、普通なら明るすぎて全体的に白くなってしまう。それでも背景が夜空で真っ黒なので白くなるくらいがちょうど良いように思えた。なにより炎をもっと明るく撮りたかった。

そしていざその設定で撮ってみると…

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火の粉がとんでもないことに

細かい火の粉がよく写り込むようになったのだ。

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縦に撮るとなお迫力増

火の粉が高い…

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なんだか火事

いや、そう思えるくらい迫力のある画になってきてくれた。

それにしてもキリコが炎に近い。

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顔がドクロの炎の生命体みたいにも見えてきた

カプコンの『ヴァンパイア ハンター』ってゲームの「パイロン」っていうボスキャラにこんな演出があった気がする。

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太鼓を叩く子供たちの後ろでも炎上

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太鼓と一緒にもう一枚

子供たちを見守る炎の魔神のように見えなくもない。

その圧倒的な火炎の迫力は祭りを楽しむ子供たちと比べるとシュールだけど。

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その炎に突っ込むかのようなキリコ

進路的に本当は突っ込んでいるわけではないのだが、そう見えた。

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改めて、キリコが大松明に近い図

キリコの上から見ている人って、どんな感じに大松明が見えていたのだろうか?

こればかりは参加してみないとわからない。

 

感想

どうにか迫力ある画にしたいと思ってホワイトバランスと露出補正を気にしながらあばれ祭のキリコと大松明を撮ってみたがいかがだっただろうか?

自分としてはいろいろな発見ができてかなり満足している。

特に一番の発見は「ナイトショットは露出補正をプラスに持っていったほうがいいのかもしれない」という点だ。

ただ、やはり祭りは参加したほうが楽しさも倍増するだろうなと、キリコを担ぐ人たち、その上で演奏している子供や女性たちを見ていて思えた。

参加しちゃったら撮影できないじゃないかってことになるので、カメラマンやカメラ小僧としては失格なのかもしれないけど、撮りながらそう思ったのだから仕方がない。

参加できる地元の人達がうらやましい。

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最後に今回一番のお気に入りの写真を

大松明が中央に来ているので構図としてはイマイチながら、大松明の明るさのお陰で空の右半分が真っ黒ではなく青のりみたいな明るい黒になった点が気に入っている。

これで天の川まで写っていたら自分の中でミラクルの出来だった。

 

なお、最終日の8日には神輿を海に放り込んだり、引き上げて火に放り込んだりする儀式も見られるそうだ。それはそれで面白そうなので、来年以降いつか見に行きたい。

その際、参加しながら撮れたら…理想だ。