6月2日(金)より三日間、金沢では第66回目の百万石まつりだ。
メインと言えば3日(土)のお昼から始まる百万石行列で、今年は前田利家公役を俳優の保阪尚希さんが、おまつの方役を女優の佐藤藍子さんが演じていた。
恒例の加賀鳶梯子登りや獅子舞、また初めて鷹匠による放鷹術も大行列に組み込まれて盛況していた。
主催者発表によると地元民や観光客あわせて約41万人の見物客がいたそうだ。
この昼間の大行列が一番盛り上がるのは確かであるが、百万石まつりはそれがすべてというわけでもない。
協賛行事として前夜には子供提灯行列や浅野川での灯篭流し、金沢城内では「盆正月」と呼ばれるイベントも行われている。
また、百万石行列が終わったその夜(18時から20時)に、南町から香林坊、広坂の方まで1万人を超える人たちが踊りながら歩く「踊り流し」というイベントもある。
踊られるのは盆踊りのようなもので、行列を作った全員で同じ踊りを踊りながら行進していくのだ。
その光景を、カメラの練習もかねて一度撮ってみたいと思っていたので、今回足を運んでみた。
さっそくやっていた
なお、世の中には肖像権というものがあるため、今回の写真はこのように背後から捉えたものばかりになる。
背後からの映像だけでどれだけこの踊り流しの楽しさを伝えられるかが今回自分が自分に架したミッションであった。
そのため今回同じような画が続く。
さらには、画像の羅列となる。あらかじめこれらをご容赦いただきたい。
団体で浴衣を着ている人たちも多かった
この百万石踊り流しは基本的に企業や団体、グループで参加するイベントだ。
その企業や団体ごとに衣装を統一する傾向にあり、このように同じ着物を着た人たちが長い列を作って踊っている光景を何度も目にする。
また、実行委員会がそれら踊っている人たちを団体ごとに審査もしており、踊りのできが良い企業や頑張って元気に踊っているグループは賞をもらえたりする。(お酒など副賞もあり)
唄によっては布きれを使って踊るものも
踊り流しで使われる民謡は3曲だ。
「ふれあい音頭いいね金沢」「金沢ホーヤネ」「百万石音頭」をそれぞれ10分ずつ踊って、計30分後に休憩、これが3セット行われる。
参加している皆さんは南町から広坂のルートを回遊魚のようにグルグル回りながら進んで三曲の唄に合わせながら踊っている。
中でも「金沢ホーヤネ」は、上の写真のように加賀友禅の布きれを振りながら踊るパートがある。
いっせいに振られるそれらは優雅だ。
ルートのあちこちにスピーカーが設置されている
ルートのどこにいても皆さん一斉に同じ唄に合わせて同じ踊りを踊れるように、このようにあちこちにスピーカーが設置されている。
ここから流れる唄や演奏は、会場の舞台にて実際に唄われているものであり、演奏されているものだ。
自分も最初はカセットテープやCDなど音源のデータがあって、それを流しているものだと思っていたけど、違っていた。
浴衣ではない団体もある
企業や団体、グループによって個性を出せばよいわけで、必ずしも和服である必要はないのだ。
見るからに私服の人も
基本的に企業や団体、グループで参加するこの踊り流しであるが、飛び入りで参加することもできる。
踊りがわからない時は、前を歩いている上手い人を参考にしながら踊れば良い。
それほど難しい動きもなく同じような動作がループするので、また何より1曲10分間、それが3セットもあるものだから、踊っているとそのうちカラダが覚えていくものだ。
りぃたくんを発見
りぃたくんは竪町にあるメイド喫茶「めいどりぃた」とゲームカフェ「ゲームっちカフェ」のマスコットキャラクターだ。金沢を勝手に盛り上げるため竪町を中心にあちこち出没している。
自分としてはその「勝手に盛り上げる」という考え方にシンパシーを感じてしまう。
このとき、りぃたくんは懐から金沢ホーヤネ用の布きれを用意していた。
さっと出せず、なかなか大変そうだった…
次第と日が沈んでいく
宵宮とよく言うけれど、祭りは日が沈んでからのほうが楽しくなってくる。
写真を撮る上でも、暗くなってきたほうが雰囲気が出てくると、この時の自分はそう思いながらシャッターを切っていた。
日が暮れた頃に二回目の休憩
休憩中に路上にて太鼓の演奏が行われていた。
踊っていた人たちが見にやってきて周りを囲っていた。
太鼓の生演奏はかっこいい。
太鼓の演奏が終わった頃に休憩が終わる。
そしてみなさん、休憩前にいたポジションに戻って踊りを再開するのだ。
一仕事終えた後の太鼓奏者の方々
女性の太鼓奏者の方々だった。
お面がシュールだ。
ここからは写真を羅列させて頂く。
踊り流しの魅力が伝われば自分としても幸いだ。
伝わらなかった場合は、それは踊り流しに問題があるのではなく、自分の写真の腕の問題であろう。
踊りも再開
中には歌舞いた人も
みんなで傾いていた団体も
もちろんだ男性もいる
子供だっている
コスプレしていた子供もいた
みんな自由だ。
全国的に知られた企業もいた
さすがに大人数だった。
大人数で同じ色の布きれを振られるとパレードの演舞のようだった
以上だ。
自分は正直、これらを撮りながら踊る方々の列の中に飛び込んで自分も踊りたくなった。
観ていて、それくらい樂しそうだったのだ。
ずっと踊っているだけで何が樂しいのかと言われてしまうとそれまでであるが、知っている人も知らない人も、一緒になって何かをやっているというあの一体感は、理屈ではない楽しさがあった。
しかも激しい運動ではないから気楽に参加できる。
阿波踊りでは「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」という言葉があるけれど、その気持ち、よくわかる。
確かに百万石行列のように有名人がやってくるイベントも見物していて面白い。さらに自分たちも参加できる行事があればなお樂しく思い出にも残りやすいだろう。
この踊り流しはそれらを満たしてくれるわけだ。
今回、後ろ姿しかない写真を羅列させたのもその百万石まつりの隠れた楽しみを伝えたかったからである。