県民からすると「ああ、原発がある所」となって、なんだか色んな意味で厳(いか)ついイメージを持ってしまうその場所に、いまにも地中海の香りがしそうな海に面した花のミュージアムがあるのをご存知だろうか。
はっきり言って、自分は知らなかった。
能登の志賀町に、花に囲まれながら優雅なひとときを過ごせる癒やしの空間があったのだ。
それが花のミュージアム「フローリィ」だ
アルファベット表記は「FLEURI」だ。
自分には読めなかった。
英語ではなくフランス語のようで、その意味は「花いっぱい」らしい。
その名の通り、500種類を超える草花が植えられている。
日本ではないと思える建物を突っ切って屋外庭園へ
このフローリィには二つの庭園がある。
一つは「ガーデンハウス」と呼ばれる温室庭園、もう一つは「シーズガーデン」と呼ばれる屋外庭園だ。
上の写真で言うと、左奥のガラスの建物が温室庭園になる。
右側手前のレストランのような建物を通過した先にあるのが屋外庭園となっている。
このオシャレなレストランのような建物のせいで、自分は最初ここが植物園であるとは思えなかった。
中に入ってみるとさらにすごく、まるで南欧の金持ちの別荘のようであった。
内装がもはや日本じゃない
こう書くと失礼かもしれないが、明らかに能登半島じゃない。
庶民の自分には不釣り合いだなと思いながらこの建物の中を突っ切ると屋外庭園へと出る。
そこには季節の草花が植えられていて、それぞれでいろんな表情を見せてくれる。
出口ではスタッフの手書きだと思われる見頃の花の紹介もあり、読んでいると写真で撮りたくなった。
その一例
やはり手書きは良いですな。
てんとう虫ポピーとも呼ばれるこの「ポピー・ピエロ」は入り口にも植えてあり、その際立つ赤色から自分としても案内を読む前からカメラを向けていた。
鮮やかな赤色をした花だった
こうまでくっきりと赤いと撮る側としても色々と試したくなる。
最近ホワイトバランスを自分で調整して撮っているその延長で、今回はホワイトバランスの補正まで手動で行っていた。
アンバー(赤め)を強めて撮影
雰囲気に変化が出る。
色鮮やかな花はもちろんコレだけではない。庭園内には彩度のある花がそれこそいっぱいある。
カメラをする者からすると、このフローリィはホワイトバランスの補正を調整して彩度の変化を試すのにうってつけの場所でもあるのだ。
気がつけば次々とシャッターを切っていた
彩度が低いものも
自分のカメラのホワイトバランスの補正では「ブルー」「アンバー」「マゼラン」「グリーン」のマトリックスで調整できる。彩度がないものも合いそうな色を想像してあれこれと試せた。
こちらはボリジ
青めのものはブルーを強めにしながら撮っていた。
星型のこの花は下を向いているので下から覗き込むようにして撮っている。
こちらはエスコルチア
黄色のものはグリーンとアンバーをともに上げて撮っている。
ただ、まだまだ初心者の自分にはそれが正解であるのかは不明であった。
白いものも
何という花かは不明。(カモミールかと思っていたけどなんだか違う気がしてきた)
白はあえて補正しないでいた。
とまあ、こんな感じで撮っていた。
これらはまだ一部だ。すべてを撮りきることは不可能であったので気になったものを中心に撮っていった
「花が多い=被写体が多い」のである。
シーズガーデンはそれこそ見頃の花が毎月異なるようだ。
天気が違うだけで写り方も違うだろうし、もしかしたら同じ花でも一日一日で表情が違うのかもしれない。
シーズガーデンには噴水もある
ベンチもいくつかある
晴れている日に腰掛けながら庭園を眺めているだけでも季節を感じられる場所だ。
温室庭園の「ガーデンハウス」はまた優雅
地中海の金持ちの別荘のようなオシャレな建物と連なる、ガラス張りのガーデンハウスは、同じくやはり日本じゃない、能登じゃない雰囲気があった。
ガーデンハウスの中
宮殿って、こんな噴水あるよね。
そう思えてしまうくらい、イメージがどこかの宮殿の前庭みたいなのだ。
花に囲まれるベンチも優雅なら
水の音まで優雅
ほんと、能登に見えない
画面奥のガラスの外はテラスになっており、日本海を望むことができる。
その荒波を目にすると能登だと思うものの、このハウス内は能登じゃない。
こういう結婚式場ある気がする
自分にはどこかのオシャレな結婚式場にも見えた。
もちろん花もたくさんあるので被写体には困らない。
屋外同様に色彩を楽しむことができる
こちらはおそらくゼラニウムだと思われる。
また、被写体に困らないだけではなく水をバックに撮ることもできる。
こちらは結婚式場に見える人工池近くにいたマーガレット
花があるとさらにブライダルっぽくなる。
もう一つ水をバックに
こちらはベゴニアラブミーだろうか。
池のそこには照明も仕込まれていて、昼間でもこのようにライトアップされている。
水の中でぼんやり浮かんでいるのはその灯りだ。
噴水にはこういった趣も
こちら、近くの花が偶然落ちてそこにいるわけではなく、切り花にして茎を水に浸しながらあえて一輪だけここにおいてある。
カフェもあれば体験コーナーも
このガーデンハウスと最初の建物とは繋がっていると記したが、建物の二階はカフェになっており、このガーデンハウスからも上がることができる。
カフェの様子
花に囲まれ、花を愛でながら、優雅なティータイムを送れるのだ。
テーブル一つ一つに小瓶に挿した花とメニューが置かれている
ハーブティーやお菓子だけではなく、ランチタイムには食事もとれる。
カフェへと上る階段にはこんな人形も
遠くから見た時、ホンモノかと思ったほどよくできていた。
材質はいまいちわからなかったが、おそらく植物の何かを使ってスタッフの方が作られているのだろう。
そう思えたのには一つ理由があって、実はこのフローリィではクラフトワークの体験もできるのである。
体験コーナーがある
プリザーブドフラワーと呼ばれる、特殊液につけて固めた生花や葉っぱを使ってブーケやデコレーションした小物などの制作を体験できる。
アートのようなものから、フォトフレームやコースターといった簡単なものも作れ、それぞれで価格も違っていた。
アートのようなものは1000円を超えていたけれど、フォトフレームなどは600円でできると案内には書かれてあった。
体験が始まる時間になると常連と思われるマダム(おばちゃん)たちが何人もやって来て、体験が行われるフリースペースがいっぱいになっていた。
地元の人もいるだろうし、駐車場の車のナンバーを見る限り県外から来ている人もおられた。
この花のミュージアム「フローリィ」、入るだけなら無料なので、どうやって利益を上げているのか、入館した当初は正直謎だった。
お土産屋さんもあるけど、それだけでは売上が心もとないだろうな、なんて考えていたら、このクラフトワーク体験が盛況していたので納得してしまった。
実際、フォトフレームくらいなら自分もやってみたくなった。
ただ、マダムたちに囲まれて男一人で参加するには心の準備が足りなかった。
なので、代わりにおみやげコーナーでフローリィ限定のスイートを買って売上に貢献していた。
限定オリジナルジェラートだ
能登の契約牧場で育った牛の搾りたての新鮮ミルクで作っているそうだ。
しかも、「ころ柿」味だ。
この志賀町は実は「ころ柿」でも有名だ。
ころ柿というのは干し柿の一種で独特の味と香りを持つ能登の特産品だ。
ジェラートには他にも、バニラ味、ブルーベリー味、バラ味というのがあった。お店の方にオススメを訊ねて、地元らしいものといえばコレという理由でころ柿味を選んでいた。
ちなみに自分は生の柿は食べれないが、干し柿なら食べれるという変な食癖がある。
お店の方に柿の味が強いかとも訊ねると、それほど強くないと言われた。それが決め手となって購入している。
中身の写真
小さな果肉も見える。
食べてみると、言われたとおり柿の味は強くなかった。
果肉も柿ではなく「ころ柿」のようで、全体的に干し柿の味がした。
気がつけば勢い良く食べていた。
干し柿のジェラートは想像以上にしつこくなく、美味かったのだ。
他にもフローリィオリジナルの焼き菓子なども売られていた。
オリジナルスイーツを求めて足を運ぶのもアリだろう。
花の写真も撮れて、プリザーブドフラワーのクラフト体験も出来て、限定スイーツやランチも食べれてと、想像以上に楽しめる施設だった。
まあ、一番想像を超えていたのは、日本にあるとは思えない建物の優雅さですけどね。
最後に改めて言いたい、能登じゃないと思えてならない、と。
(失礼をお詫びします)