初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

穴水駅近くの穴水大宮の狛犬は体育会系のような顔

4月16日に能登鹿島駅の花見のイベントを見に行った際、一日フリーきっぷを利用して穴水駅まで向かっていた。

穴水駅で下りたことがなかった自分にとっては付近に何があるのかわからず、完全に観光旅行者の気分だった。

時間の都合上、駅からそう遠くに行く訳には行かなかったが、近くを散策してみるとすぐに神社を見つけたので、いつものように狛犬を撮りに行った。

その神社の名前は「穴水大宮」(あなみずおおみや)だった。

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能登鹿島駅から穴水駅

 

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出発は花見のイベントがあった能登鹿島駅から

最後尾の車窓から撮った景色だ。愛称名「能登さくら駅」の桜が遠ざかるのを眺めながら、のと鉄道を北上した。

穴水駅は、能登鹿島駅の次の駅であり、のと鉄道七尾線の最後の駅となる。

ちなみに、のと鉄道無人駅も多い。

もしフリーきっぷでなかったらどうやって清算するのだろうかと疑問に思ったが、実際に電車に乗ってみてその支払方法がわかった。

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整理券を取るのだ

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このように車内に運賃箱がある

電車の中には運転士がいて、降りるときに整理券と共に駅間によって決められた運賃を払うのである。

石川県内を走るローカルバスと同じだ。

 

穴水駅までは海の側の山の方を走る。

途中にトンネルがあり、そこを通り抜ける際にちょっとした趣向があった。

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トンネルに入ると…

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青い

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ライトアップ

百メートルほどの短い間にLEDライトが設置されていた。

写真ではわかりづらいが、「ようこそ のとへ」という文字も見える。

鹿島駅から穴水駅へと向かうときには、車内アナウンスでこのトンネルのライトアップのことと、いまからトンネルに入りますということを教えてもらえた。

だからこそこのように撮れた。もしそのアナウンスが無ければカメラを構える暇も無く通り過ぎてしまっていたはずだ。

それくらい短いトンネルである。

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能登鹿島駅から10分くらいで次の駅に到着する

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ここが七尾線の終点「穴水駅」だ

ホームに小さな櫓(やぐら)のようなものが設置されていて、その上に合羽を着たカカシのような人形が置かれていた。

謎だ。

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謎だと思っていたらこんな撮影用の顔ハメ看板もあった

これもホームに置かれていた。

その櫓の形は、先程の人形の櫓と同じ形のものだ。

何かこの穴水に縁があるものだろうかとあとで調べてみると、穴水の伝統的な漁である「ボラ待ち漁」と呼ばれる櫓であった。

その名も「ボラ待ちやぐら」だ。

高さ6メートルくらいの櫓から周囲25メートル四方に網を張り巡らして、網の中にボラの群れが入ってくるのをじっと待つそうだ。

しかもこれ、日本最古の漁法とも言われているらしい。

江戸時代から続いて1996年に漁が行われなくなっていたが、2011年に漁が再開されるようになったのだとか。

 

さらに穴水は牡蠣でも有名だ。

ホームの跨線橋では毎年冬季限定で「あつあつ亭」と呼ばれる牡蠣炭火焼き店がオープンする。

今回訪れた4月はもうシーズンオフであるものの、跨線橋を登るとその名残を見られた。

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牡蠣炭火焼きで使われていたテーブルや椅子が端に積まれていた

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壁にはお品書きも

こんなのを見せられると、次の冬には足を運びたくなる。

ついでに言うと飲み物のメニューの中には「能登ワイン」もある。

能登ワインが作られているのも、この穴水町だ。

美味そうなものがいくつもある町だ。

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いえ、穴水駅の駅愛称名もまさにそれ

まいもんの里駅」と呼ばれている。

「まいもん」とは能登の方言で「美味いもの」だ。

牡蠣やワインの他にも、このわた、くちこ、スイカや栗、しいたけやブタなども特産品として挙げられる。

考えただけで腹が減ってきた。

 

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ついでにこんなパネルも

 駅舎の入り口に立っている。相撲力士の「遠藤」関だ。

遠藤関はここ石川県鳳珠郡穴水町の出身なのだ。

 

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駅舎の外観

左上の壁に何かコードか蔦でも張り付いているのかと思ったら、よく見ると「のと」と書かれてあった。

写真にしてやっと気付いたくらいなので、観光客が現地で気づく可能性はそう高くあるまい。

さて、この駅舎を出てすぐに右に曲がる、写真で言えば左手側へと進むと、道路を挟んで神社が見えてくる。

それが穴水大宮だ。

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駅から一番近い鳥居だ

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よく見ると「正一位」(しょういちい)と書かれてある

これは神社における神階の一つで、神階の中では最高位だ。

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正面にももう一つ鳥居がある

この時点でもう狛犬の姿が見えている。

社の前で向き合うようにして座しているスタンダードな配置だ。

くぐってみると、左手にまず手水舎が見える。

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手水舎だ

水は溜まっていたが、水は出ていなかった。

 

参拝してから狛犬撮影へ 

手水舎の写真に写っている姿からもわかるようにここの狛犬は台座を重ねたなかなか高いところにいる。

おかげで撮ろうとするとどうしても見上げる形となってしまった。

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なんにせよまずは左側にいる吽形の狛犬

左側が吽形なのもスタンダードだ。

二体が正面を向き合っていると思ったが、体は向き合っていても首は鳥居の方を向いていた。

鳥居をくぐってくる参拝者をがっつりと睨んでいるわけだ。

この角度から撮ってみると、口元が少々影になり、アゴ周りの鬣(たてがみ)のデザインのせいもあって、ぱっと見た限りではまるで口が開いている阿形のようにも見えた。

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顔に寄る

口が閉じているのか開いているのかわかりづらい。

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別の角度からも顔

多少開いていて、口に玉のようなものを咥えているようにも見えてくる。

狛犬そのものが高いところにいて、顔を真正面から眺められないからどうしても分かりづらい。

おまけに、見上げながら撮っているからか目つきがギョロッとして写ってしまう。

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いつも通り爪も

目つきのわり柔らかそうな足をしている。

ただ、爪はしっかりと形を残していて、かつ鋭い。

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後ろ足にも注目

後ろ足の爪にもしっかりと鋭さが残っている。

鋭さを残しながら足の甲の丸みのおかげでかわいらしい。

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背中を見ても猫背のような丸み

尻尾も先がソフトクリームのようで、かつボリュームもあって、マンガのようなかわいさがある。

こうしてみると全体的にずんぐりとしている。

あの目つきとは随分とギャップがある。

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改めて顔

角度を変えると西日の都合でますます影となり、頭の角と合わせて鬼のような形相だ。

 

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阿形の獅子も見てみる

口を開けていることもあって、さらに怪物じみた形相だ。

それでいて手に注目すると毬のような玉を持っている。

手だけ見るとかわいいこのギャップが個人的に好みだ。

 

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その手に注目

一般的に狛犬たちが持っているこの丸いのを「玉」と呼ぶそうなのだが、自分にはどうしても毬に見えてしまう。

爪を持った前足で蹴鞠をしようとしているように見えてならない。

しかもリフティングするんじゃなくて怖そうな顔でトラップしてド~ンっと見栄を切っているようなので、いろいろ愉快だ。 

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ド~ンっと!

毬を取れるもんなら取ってみろと言わんばかりの顔つきだ。

その顔つきもこうして改めて見てみると、目だけではなく口周りもしっかり作らているのがわかる。というか、しっかり残っているという方が正しいのかも。

いずれにせよ口の中の「舌」まではっきりと認識できる。

なかなか生々しい。

その生々しさのおかげで体育会系の怒号や掛け声が聞こえてきそうな気がしてくる。

また、左前足の肩の筋肉の隆起もスゴい。ショルダーパッドを装着したアメフト選手のようにも見える。

ますます体育会系に見えてきた。

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後ろ姿はやっぱりかわいく見える

正面から見るとあれだけ殺気立った顔をしていたのに、この角度から撮ると毬に「お手」をしているように見えてくる。

こうなってくるともう体育会系にしか見えなくなってくる。

穴水大宮の狛犬はたしかに見上げる先にいて、その顔も鬼面のようだが、見方を変えると愛嬌がいっぱいなのだ。

 

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ちなみに、近くにこんなのもある

こちら、十二支の刻石に囲まれた名犬、能登「ひめ鏡」というものらしい。

撫でると願いが叶うという超パワースポットとして平成28年9月に誕生したそうだ。

かわいすぎるだろ…

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このかわいさはズルい

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比較として獅子の顔をもう一度

鬼コーチと生徒たちに見えてきたのは自分だけだろうか?

 

まとめ

急に穴水駅へとたちよって、目的もなく歩いてすぐにこの穴水大宮を見つけて狛犬の写真を撮れたことは、狛犬写真家を自称しようかと目論む自分としては運命的なものを感じた次第だ。

罰当たりにも体育会系なんて言葉でまとめてしまったが、そういった見方ができるのも狛犬の魅力であるということで許していただきたい。

今回、時間の都合上、駆け足で撮影し、そのせいで御朱印を頂くのを忘れてしまった。

ふたたびこの穴水大宮に参拝しに来たときには 御朱印も頂き、このブログでも追記したいと思う。